【独占インタビュー】AI活用で実現する超多品種生産:和コーポレーションの革新的アプローチ
AIと最新設備を組み合わせた製造革新に挑戦する和コーポレーション。年間5万点もの図面を扱う超多品種生産の現場で、同社はどのようにして生産性向上を実現しているのか。取締役製造部長の安田哲氏に、AIシステム「COMlogiQ」導入の背景から、製造業の未来像までを語っていただいた。
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製造現場の自動化に挑む:和コーポレーションの取り組み
充実の設備と一貫生産体制
新潟県長岡市において、さまざまなモノ作り現場を支える製造装置やその構造部品を手がける和(やまと)コーポレーション。11の製造工場には70台を超える大中小のマシニングセンタや複合加工機、旋盤、放電加工機、レーザー切断機、ベンディングマシン、ロボットレーザー溶接などあらゆる金属加工に対応できる設備がズラリと居並ぶ。
1999年の創業以来、半導体製造装置やFA装置をはじめ、有機ELディスプレイ製造装置やエネルギー、医療関連など製作実績は多岐に渡る。これらの設計から各種加工、組立をワンストップで行える体制の構築に至ったのは、お客様の要求に応える短納期といった壁を乗り越えるためだった。
「部品や装置を作るにあたってボトルネックとなっていたのが、自社で賄えない部分の加工でした。こうした自社以外の要素に引っ張られて納期が長くなってしまうよりは、自社でリードタイムのコントロールを出来るようにするために、加工機のバリエーションを増やしています」
こう話すのは、同社取締役の安田哲製造部長。
写真=和コーポレーション・安田哲製造部長
「当社の強みは何といっても『鍛えられた従業員の対応力』の高さに尽きます。3Dデータから紙ベースでの図面まで、様々な発注を現場のオペレータさんが的確に対応してくれますし、新しい機械や新しい加工方法を導入する際も、現場主導で難なく自分のものにしてくれています。これまで多品種生産に対し、会社全体で積み重ねてきた知見の量が、高精度かつ短納期の加工を実現していると思います」
AI活用による生産革新:COMlogiQの導入
超多品種生産を支えるAIソリューション
現在、和コーポレーションが1年間に取り扱う図面は約5万点にも及ぶ。この「超多品種生産」をより効率化するために導入したのが、京都府で部品加工を手がけるHILLTOPが開発した、AIによる自動プログラミングサービス「COMlogiQ(コムロジック)」だ。HILLTOPもまた、月間数千点もの異なる加工を手がける超多品種生産と短納期を実現しており、和コーポレーションと共通する部分も少なくない。
加工機の稼働率向上に貢献するAIシステム
コムロジックは、3DデータをWEB上にアップロードするだけで、NCプログラムや使用する切削工具、治具、ワークのセッティング位置などといった切削加工手順書を自動で作成してくれる。
「多品種生産で加工機の長時間自動運転を目指すうえで、キモとなるのはNCプログラム作成や切削工具選定・準備といった加工の前段取りです。この前段取りにかかるインターバルを極力無くすことが稼働率の向上に繋がりますので、コムロジックの自動でデータを作れる魅力は変えがたいものがあります」
最新設備とAIの融合
現在は切削工具250本のATC、32パレットのチェンジャーを搭載し、自動化運転に定評のある松浦機械製作所の5軸MC「MAM72-35V」をコムロジック対応にし、高精度アルミ部品の切削加工にチャレンジしている。
写真= COMlogiQを搭載した松浦機械製作所「MAM72-35V」と同社オペレータ
「さらに当社のもうひとつの主力素材、ステンレスの加工もコムロジックのAIに学習させていただいており、大きな期待を寄せています」
製造業の未来を見据えた取り組み
技術革新がもたらす新たな可能性
これまで、加工におけるノウハウは中小加工業にとって「メシのタネ」であり、競争力の源泉とされてきた。これをコムロジックはある意味、オープンにするものでもある。
「これまでプログラム作成や段取りに割いていた人材を、ヒトじゃなければ出来ない仕事に活用できるようになります。日本の製造業は、今後ますます人手不足が深刻になり、より自動化や省人化が求められるようになります。コムロジックはこうした問題を解決する一助になると考えています」
自社のみならず、日本のモノづくり全体を盛り上げていきたい。和コーポレーションが目指す自動化には、そうした想いも込められている。
このようなソリューションを検討される方は、ぜひ私たちまでお問い合わせください。
【Profile 】
取材日:2022年12月
社名:株式会社和コーポレーション
所在地:新潟県長岡市青山新町8番地
1999年設立、社員90名
金属加工から機械設計から電機(回路)設計、制御設計まで各種製造装置の製作を手がける。
マシニングセンタや複合加工機を用いた切削加工、ロボットレーザー溶接による溶接加工まで一貫製作で高品質かつ短納期を実現し、多くの大手メーカークライアントを抱える同社の杉本修社長は「ゆくゆくは海外のお客様ともお仕事が出来れば」とグローバル化も視野に入れている。