
中小製造業における生産性向上の障壁、解決に必要な手立てとは?
OECD(経済協力開発機構)に加盟する主要34カ国の中で、日本の製造業の労働生産性は18位と低迷が続いています。*
2024年1月、全国の中小・大手製造業に従事する計1,048名を対象に「生産性・課題に関する意識調査」を実施しました。
本記事では、その調査結果をもとに、中小製造業の生産性向上を阻む障壁と、解決に向けて必要な手立てを考察します。
※公益財団法人 日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2023」より
<アンケート調査概要>
・ 調査内容:生産性・課題についての意識調査
・ 調査対象:全国の中小製造業・大手製造業 1,048名
(中小製造業523名:従業員数300名以下/経営層・役員、大手製造業525名:従業員数500名以上/経営層・役員・部長)
・ 調査方法:インターネット調査
・ 調査期間:2024年1月30日~2月1日
この記事の目次[非表示]
① 日本の製造業の労働生産性について、危機感は?
Q. 日本の製造業の労働生産性についての危機感は?

POINT:労働生産性について「危機感を抱く企業」が、大手・中小製造業ともに8割超え。
【考察】
大手・中小を問わず、製造業では労働生産性に対する危機感が広く共有されていることが分かります。
これは、2000年以降、かつて「ものづくり大国」と呼ばれた日本が、世界の中で存在感を発揮できていないことと無関係ではないでしょう。加えて、生産性向上に向けた効果的な対策を打てていないことも、危機感を増大させる要因になっているのかもしれません。
② 生産性向上のための取り組み状況は?
Q. (前問で「危機感を抱いている」と回答した方に対して)生産性向上のための対策はとれているか

POINT:「対策を検討しているが実行に移せていない」「検討も対策もしていない」が、中小製造業では8割近い。
【考察】
前問では、大手製造業・中小製造業ともに危機感が高い状態でしたが、対策の実行状況には大きな差が出ています。「企業で対策している」と回答したのは、大手製造業の56.6%に対し、中小製造業では23.1%にとどまりました。危機感を持ちながらも、実際の行動に移せていない中小製造業が多いのが現状です。
③ 生産性向上の障壁になっていることは?
Q. (中小製造業に従事している方に対して)生産性向上の障壁の中で最優先で解決したいことをお教えください
POINT:「人手不足」が突出しており、次に「技術の継承がうまく進まない」という回答に。
【考察】
この結果から、「人手不足」が生産性向上の大きな障壁になっていることが分かりました。次に多い「技術の継承がうまく進まない」という回答は、働き手の高齢化を反映しているととれます。さらに「新たな技術開発が進まない」は、中小製造業にとって、さらなる成長の足かせになっているかもしれません。中小製造業は、さまざまな課題に同時に立ち向かっている状況といえます。
④ 障壁を解決するための対策状況は?
Q. (中小製造業に従事している方に対して)最優先で解決したいことに対する対策について

POINT:「対策できていない」と回答した方は約9割という結果に。
【考察】
中小製造業は、「人手不足」や「技術継承」を解決しなければならないと分かっていても、ほとんどの企業が未着手のまま事業を行っていることが分かりました。どこから着手すればよいのかが分からず、行動に移せていないと考えられます。
⑤ 対策ができていない理由は?
Q. (前問で「対策できていない」と回答した中小製造業に従事している方に対して)対策できていない理由について

POINT:
「対策できる部署がない、人材がいない」が突出する結果に。
次いで「どこから手をつけていいかわからない」「IT/DXシステムの導入がコスト面で難しい」といった回答が上位に。
【考察】
ここでも、中小製造業の人手不足をはじめ、ノウハウ不足、コスト面でのハードルの高さといったリソース面がネックとなっています。自動化、IT、DXなどに取り組まなければならないと頭では分かっていても、初めの一歩が踏み出せていないのでしょう。
⑥ 生産性向上に投資できる予算は?
Q. 生産性向上のための対策について年間の予算はどの程度なら検討できますか?

POINT:
大手製造業では「3,000万円以上」が一番多かったのに対し、
中小製造業では「50万円未満」が一番多く、かつ500万円未満と回答した方が半数以上。
【考察】
この結果から、大手製造業と中小製造業では予算感に大きな違いがあることが分かりました。システム導入には高額な初期投資が必要になりがちですが、中小製造業では、やはり安価で手軽に始められるサービスが求められているといえます。
まとめ
今回の調査からは、危機感を持ちながらも、人材・ノウハウ・予算といったリソースの制約から、生産性向上への一歩を踏み出せずにいる中小製造業の姿が浮かび上がりました。
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