EMO Hannover 2025レポートから考える|技術トレンドとJIMTOF2026の注目点

世界三大工作機械見本市のひとつである EMO Hannover は、海外展示会の中でも、工作機械・金属加工分野の最新技術や技術トレンドを把握する場として高い注目を集めています。

ドイツ・ハノーファー(ハノーバー)で開催されるEMOは、開催規模の大きさだけでなく、製造業の現場における自動化・省人化・DXがどこまで実装段階に入っているのかを確認できる点が特徴です。

EMO Hannover 2025では、派手な未来技術の発表よりも、工作機械や金属加工の現場改善に直結する技術やシステム提案が多く見られました。

本記事ではJIMTOF2026に向けて、EMO2025の開催概要や展示内容を整理しながら、そこで見えたトレンドをもとに、JIMTOF2026ではどこに着眼すべきかを考えていきます。
「海外展示会でどんなものが展示されているのか」「その流れは日本の製造業にどう関係するのか」を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次[非表示]

  1. EMO Hannover 2025 開催概要と規模感
    1. 開催概要・会期・開催地
    2. 出展社数・来場者数から見るEMOのスケール
  2. EMO Hannover 2025で目立った技術テーマ・トレンド
    1. 自動化・省人化は「当たり前」のフェーズへ
    2. AI・デジタル化は「派手さ」より「現場実装」フェーズ
    3. 工作機械単体からソリューション提案へ
  3. 現地レポート・参加者の声から見えたリアル
    1. EMO現地レポートから
    2. 国内メーカー参加企業の声
  4. EMO2025から読み解く、JIMTOF2026の注目テーマ
    1. 注目①:自動化は「ロボット」ではなく「工程設計」
    2. 注目②:工程集約・段取り短縮の実装レベル
    3. 注目③:課題解決ソリューションと運用・管理
  5. JIMTOF2026参加を「意味ある時間」に変えるための考え方

EMO Hannover 2025 開催概要と規模感

開催概要・会期・開催地

(出典元:Rainer Jensen氏、VDW提供、https://emo-hannover.com/

EMO Hannover 2025は、ドイツ・ハノーファー国際見本市会場で、2025年9月22日から26日まで5日間にわたり開催されました。

EMOは、ヨーロッパを中心に世界各国からメーカーやサプライヤーが集まり、工作機械や金属加工技術を軸に、製造業全体の方向性を示す国際展示会としての役割を担っています。

日本で開催されるJIMTOF(ジムトフ)が、国内の製造現場に近い課題や運用を意識した展示が多いのに対し、EMOは海外展示会ならではの視点で、世界的な潮流や考え方を提示する場という性格がより強いという特徴があります。

出展社数・来場者数から見るEMOのスケール

EMO Hannover 2025とJIMTOF2024の出展者数や来場者数を比較すると、それぞれの展示会の性質や規模感が大きく異なることも見えてきます。

JIMTOF2024 では 1,268社の出展者が参加し、5,743のブースが設けられるという過去最大規模で開催されました。国内外から多数のメーカー・周辺企業が集い、最新鋭の工作機械や自動化・デジタルソリューションが紹介されました。

来場者数でも、JIMTOF2024 は 129,018人を記録し、製造業関係者を中心に活発な商談・情報収集が行われました。海外からの来場者も世界の18か国以上から集まり、国内最大級の国際展示会としての存在感を改めて示しています。

一方、EMO Hannover 2025では 1,622社前後の出展者が参加し、約80,000人の来場者が訪れました。規模だけで比較すると、JIMTOF2024 の来場者数のほうが上回る一方で、EMO は世界各国からの出展者の多さと国際性の強さが際立っています。

EMO2025の来場者数は、前回のEMO2023と比較しても減っています。
欧州製造業は、特にドイツを中心に長期的な低迷が続いていることもあり、これが影響して来場者数が減少したのかもしれません。

EMO Hannover 2025とJIMTOF2024を比較すると、以下のような特徴に分けられます。

JIMTOF2024

国内最大規模の展示会として、来場者数の多さと幅広い製造業層の参加を獲得しており、現場技術者・購買担当者の「比較検討の場」として機能しています。

EMO2025

出展者数の多さと国際性を背景に、世界的な潮流や技術トレンドを俯瞰する場としての性格が強く、動向・方向性を把握したい層に響く展示会と言えます。

自社の課題と合致する技術・ソリューションについて、EMO Hannover 2025など最新の工作機械見本市でのトレンドなどを知っておくと、2026年10月26日~10月31日の6日間にわたって開催されるJIMTOF2026で得られる情報が、より実務的な価値に変わります。

EMO Hannover 2025で目立った技術テーマ・トレンド

自動化・省人化は「当たり前」のフェーズへ

EMO2025についてXや記事などで書かれたレポートで目立ったのは、自動化や省人化が特別なものではなく、すでに前提条件として扱われている点でした。
ロボット連携や工程集約といった仕組みは珍しいものではなく、それらを含めて「工程全体をどう設計するか」という視点での展示が多くありました。

単なる装置紹介ではなく、プロセスをどう組み立て直せば現場改善につながるのか、という問いが、各ブースの根底に流れていた印象です。

AI・デジタル化は「派手さ」より「現場実装」フェーズ

AIやデジタル化という言葉はEMO2025でも多く使われていました。
展示の中心は、設備の監視や稼働状況の可視化、条件最適化など、製造業の現場で実際に使われることを前提とした内容でした。

人を完全に置き換えるAIではなく、人の判断を支え、作業負荷を下げるためのデジタル化。EMO2025では、そうした現場寄りの実装フェーズに入っていることがはっきりと感じられます。

工作機械単体からソリューション提案へ

工作機械単体の性能を強調する展示よりも、ソフトウェアや周辺機器と組み合わせたソリューション提案が増えている点も印象的でした。

加工精度や速度といった数値だけでなく、「使いやすいか」「現場が楽になるか」といった現場課題解決の視点が重視されていました。

現地レポート・参加者の声から見えたリアル

EMO現地レポートから

EMOハノーバー2025は、自動化、デジタル化、そして持続可能性が未来の製造業の鍵となることを示しました。ネットワーク化された自己最適化システムは、柔軟で自律的、そして資源を節約する生産プロセスを可能にします。
AI支援アシスタンスシステム、インテリジェントなクランプ・ツールソリューション、そして積層造形技術が、その鍵となる要素です。

引用元:Automation, AI and additive manufacturing: Highlights of EMO Hannover 2025 in retrospect - INDUSTRIAL Production (自動化、AI、積層造形:EMOハノーバー2025のハイライトを振り返る - INDUSTRIAL Production)

欧州製造業は深刻な人手不足が課題となっており、企業の規模を問わず製造現場では自動化需要が高い。EMOの主催者であるドイツ工作機械工業会(VDW)が、今回展のポイントの1つに「自動化」を掲げたことからも、市場の関心の高さが伺える。

引用元:欧州の工作機械展で多彩な自動化アプローチに脚光/EMOハノーバー2025|robot digest(ロボットダイジェスト)|産業用ロボットに特化したウェブマガジンrobot-digest

本来は自動車が主力のメーカーがジョブショップ向けの提案を拡充させた例が多かったのも象徴的だった。結果的に展示の方向性はバラけ、展示会の原点に戻って各社が工程集約や自動化など、実利に直結する領域で自社の最新技術を出し比べたのがEMO2025だったのではないか。
会場で30社ほどにヒアリングした限り、明確に景気が良いのは穏やかでないが防衛産業ほぼ一択だった。ここには豊富な予算が割かれ、銃やミサイルのサンプルワークを前面に出す欧州メーカーの姿も。航空宇宙(おそらく防衛含む)や医療、新エネルギーに活路を見出す声は多いが、防衛ほどは盛り上がっていない模様。

引用元:EMO2025を徹底レポートで振り返る|特集|Mono Que <モノクエ>

国内メーカー参加企業の声

日本メーカーの参加も多く、自動化・工程集約を一歩進めたソリューション提案など、日本の金属加工現場と親和性の高い展示が評価されたようです。

EMO2025から読み解く、JIMTOF2026の注目テーマ

注目①:自動化は「ロボット」ではなく「工程設計」

ロボットや工作機械単体の機能や最新技術に目が行きがちですが、JIMTOF2026を見る際には、それを工程に組み込んだとき、前後の作業や人の動きがどう変わるのかに注目すると、展示の見え方が大きく変わってきます。

加工だけでなく、段取りや搬送、検査まで含めて、どこまで人の手を減らせるのか、工程全体の流れがどう組み立てられているのかを見る視点が重要です。

注目②:工程集約・段取り短縮の実装レベル

EMO Hannover 2025では、工程集約や段取り短縮といった取り組みが、すでに実用段階に入っている事例としても紹介されていました。
加工工程の集約だけでなく、治具交換や段取り替えまで含めて、現場でどの程度の工数削減につながっているのかが具体的に示されていました。

JIMTOF2026では、自社の工程に当てはめたときに本当に使えるかどうかを見る視点が重要になります。

最新技術について知るだけでなく「現場で無理なく回せそうか」という感覚で展示を見ることで、判断の精度が高まります。

注目③:課題解決ソリューションと運用・管理

EMO2025では、工作機械単体の性能を強調する展示よりも、加工条件の管理や稼働状況の可視化など、日々の運用を支える仕組みまで含めて展示しているところが多くありました。

JIMTOF2026でも、工作機械単体が「高性能かどうか」だけでなく、設定や管理が現場で回るのか、担当者の負担が本当に減るのかという視点で見ることが重要になりそうです。

人の判断や作業をどこまで支えてくれるのかを意識して見たり話を聞いたりすることで、自社の課題解決において使えそうなソリューションなのかがよく理解できます。

JIMTOF2026参加を「意味ある時間」に変えるための考え方

展示会や見本市は、ただ何も考えずに回っているだけでは、人混みの中を歩き続けて疲れるだけで、本当に欲しかった情報が手に入らないことも少なくありません。

とくにJIMTOF2026は、東京ビッグサイトの全ホールを使って開催される非常に大規模な展示会です。
限られた時間の中で、すべてのブースを見ることは現実的ではありません。

展示会は、行ってただ回れば「答えがもらえる」場ではありません。
自社の課題や改善したいポイントを意識しながら見ることで、数多くの展示の中から、自社にとって最適な「答えが手に入る」場にもなります。
どこを自動化したいのか、どの工程を楽にしたいのか。
そうした視点を持つだけで、展示の見え方は大きく変わってきます。

EMO Hannover 2025で目立っていた技術テーマやトレンドは、JIMTOF2026では、さらに一歩進んだ形で具体的な提案として見られるかもしれません。
世界の潮流として見えてきたものが、日本の製造業の現場にどう落とし込まれているのか。
その違いや進化を意識して見ることも、JIMTOFの楽しみ方のひとつです。

もの研サイトでは、今後も「JIMTOF2026特集」で最新情報や見どころを随時まとめていきます。JIMTOF2026をより意味のある時間にしたい方は、ぜひメールマガジンにも登録して、最新情報をチェックしてみてください。

メルマガ登録

人気記事ランキング

logo_img
ページトップへ戻る