
JIMTOFとは?世界4大工作機械見本市JIMTOF2024を振り返る
工作機械の世界で「次の10年の技術トレンド」を最も早く知る場所。
それが JIMTOF(日本国際工作機械見本市・ジムトフ)です。
JIMTOFは、EMO(欧州)・IMTS(米国)・CIMT(中国)と並ぶ工作機械における世界4大展示会のひとつとして、日本発の精密加工技術・自動化・デジタルものづくりを世界に発信し続けてきました。
製造現場で使われる設備投資の方向性、エンジニアの課題感、そして未来の工場像をつかむには、この展示会を避けて通ることはできません。
本記事では、「JIMTOFとは?」という基礎から、過去開催である JIMTOF2024の実績(来場者数・出展社数など公式数値)、そして現場の技術者が何を学べる場なのかをまとめています。
この記事の目次[非表示]
JIMTOFとは?世界4大工作機械見本市のひとつ
JIMTOFは、日本工作機械工業会(JMTBA)と東京ビッグサイトが主催する、2年に一度の国際展示会です。
工作機械、切削工具、測定機器、FA・ロボティクス、CAD/CAM、デジタル製造ソリューションなど、ものづくりの中核にある技術が一堂に会します。
特に日本は高精度加工・金型・治具・自動化分野に強く、世界中の製造業関係者が「日本の最新技術を見に行く展示会」として位置づけており、海外からの来場者数も年々増えています。
JIMTOFの概要と位置づけ
JIMTOFの最大の特徴は、研究開発段階の新製品がここで初公開されるケースが多いことです。
メーカー各社はJIMTOFを、工作機械の最新技術や製品を発表する場として重視しており、展示会そのものが「技術の節目」として扱われています。
また来場者もエンジニアが中心で、商談より「技術的議論」が活発に行われる点も特徴的です。
MECTとJIMTOFの違い
JIMTOFとよく比較される展示会に「MECT(メカトロテックジャパン)」があります。
MECTはJIMTOFと同じく2年に一度の展示会ですが、JIMTOFが開催されない奇数年に開催されます。
そのため国内では「JIMTOF(偶数年)→MECT(奇数年)」というリズムで最新技術をキャッチアップできる構造になっています。
MECTも国内最大級の工作機械展示会ですが、JIMTOFとは役割が少し異なります。
- JIMTOF:世界4大見本市。国際色が強く、最新技術の“世界初公開”が集まる場。
- MECT:国内ユーザー向けの実用展示が中心。中部圏の加工現場のニーズに強い。
MECTは設備更新や実際の導入検討に直結する実用的な展示が多く、現場目線で比較しやすいことが特徴です。
一方JIMTOFは、研究開発色が強く、世界メーカーが次世代技術を競い合う「技術ショーケース」的な性質があります。
ざっくり言うと、「MECT=国内実用展示」「JIMTOF=世界の最先端技術を俯瞰する場」という補完関係にあります。
世界4大工作機械見本市「EMO/IMTS/CIMT/JIMTOF」とは
世界の工作機械市場では、欧州のEMO、米国のIMTS、中国のCIMT、日本のJIMTOFが「世界4大工作機械見本市」として位置づけられています。
- EMO(欧州):ドイツを中心に開催される、ヨーロッパを代表する見本市。
- IMTS(米国):シカゴで開催され、北米の製造業トレンドを牽引。
- CIMT(中国):北京で開催され、世界最大の工作機械市場である中国の動向を反映。
- JIMTOF(日本):東京で開催され、特に高精度・高効率な日本の工作機械技術を世界に発信。
それぞれの4大工作機械見本市は巨大市場を背景に発展してきましたが、JIMTOFは「精度」「品質」「自動化」「省人化」「難削材加工」のジャンルで特に世界的評価が高く、「工作機械の本場 日本の最先端を見る展示会」とも言われているのです。
JIMTOFの歴史と開催サイクル
初開催は1962年。以来60年以上の歴史をもつJIMTOFは、日本の製造業の発展とともに歩んできました。
現在は2年に一度のサイクルで、東京ビッグサイトで開催されています。
この2年というサイクルは、各メーカーが次世代の技術や新製品を開発・発表するのに適した期間であり、展示会のたびに技術の大きな進化が見られます。
次回はJIMTOF2026の開催が予定されており、2024年に開催されたJIMTOF2024の動向を踏まえたさらなる進化が期待されています。
JIMTOFの特徴と概要 来場者と出展内容
JIMTOFは来場者も出展側も非常に専門性が高い展示会です。
製造業の意思決定者、研究開発者、設備導入を検討する工場長・生産技術職の来場が中心で、「明確な課題を持ったプロ」が多く集まります。
来場者の職種・業種
JIMTOFの来場者には「エンジニア・技術者が多い」という特徴があり、主に以下のような層が多いです。
- 生産技術・設備技術・加工技術者
- 工場長・製造部長・経営層
- 工作機械・部品加工・金型・試作メーカー
- 自動車・航空機・半導体などの製造業ユーザー
- SIer、ロボットインテグレーター
業種もさまざまで、自動車産業、航空宇宙、医療機器、精密機械、金型加工など、工作機械を必要とするあらゆる分野の方が来場します。
出展ブースを覗いてみると、加工条件、切削点の温度、段取り時間削減、制御方式、工具摩耗、精度保証など、技術者同士で「具体的な課題」で会話ができ、自社の課題が最先端技術でどこまで解決できるのか?といった話をしている場面にもよく遭遇します。
出展カテゴリと主なゾーン
JIMTOFは工作機械だけでなく、製造業全般の技術を網羅しており、製造プロセスの上流から下流までがすべて揃う「フルライン展示会」です。
JIMTOF2024では以下のような出展内容でした。
- 工作機械(5軸・複合加工機・大型MC)
- 旋盤・研削盤・放電加工・レーザー加工
- 工具・ツーリング・治具
- 測定機器・三次元測定・非接触測定
- FA・産業用ロボット・自動化システム・IoT/AIを活用した生産管理システム
- CAD/CAM/CAE・IoT・AI・デジタルツイン
- 工場設備・省エネ・カーボンニュートラル関連技術・周辺機器
一つの展示会でこれだけ広範囲の「工場そのもの」を俯瞰できるイベントは珍しく、JIMTOFの価値そのものと言えます。
東京ビッグサイトでの開催規模と雰囲気
JIMTOF2024会場(出典元:JIMTOF記録写真より)
JIMTOFは、東京ビッグサイトの東・西・南展示棟をフル活用し、世界でも有数の大規模な展示会として開催されます。
広大な会場には、国内外の数多くの企業が出展し、巨大加工機が動く迫力、最新ロボットセルのライブデモ、工具メーカーの技術説明、最新鋭の工作機械が実際に動くデモンストレーションが繰り広げられます。
海外来場者も多く、日本語・英語・中国語が飛び交う国際的な雰囲気があり、また会場の雰囲気は活気に満ちています。まさに最先端の技術「ものづくりの未来」を体現できる空間です。
JIMTOFに行くメリット
新製品・最新技術を比較できる
JIMTOFの最大のメリットは、競合他社や国内外のメーカーの新製品や最新技術を、一度に、かつ実機で比較できる点です。
カタログやウェブサイトだけではわからない、機械の大きさ、動作音、実際の加工精度、操作性を自分の目で確かめ、技術者と直接議論することも可能です。
たとえば、同じ5軸加工機でも、メーカーごとの長所・制御方式・剛性・段取り性・自動化の考え方が全く異なり、現場の課題にどれが合うかを確認できます。
特に近年は、小型5軸・複合加工・ミネラルキャスト・AI制御・工具寿命最適化など技術の進化が速く、最先端の技術を駆使した機械が展示会で「動いている姿」を見る価値は非常に大きいと言えます。
自動化・省人化・スマートファクトリー事例
近年の製造業の大きなトレンドである「自動化」「省人化」「スマートファクトリー化」に関する具体的なソリューションや事例が多く展示されます。
- ロボット+加工機のワンオペレーション
- パレット自動交換
- 工具折損検知・AI異常検知
- 遠隔監視システム
- デジタルツインによる段取り短縮
- IoTでの可視化・加工条件最適化
- 工場全体のデータ連携
- 生産性向上を図るIoTプラットフォーム
これら自動化・省人化・スマートファクトリー事例を見て、現場で比較することで、自社の設備投資や技術調査の具体的な検討を進めるヒントが得られます。
技術者・ユーザー同士の情報交換
JIMTOFは、出展者であるメーカーだけでなく、来場者であるユーザー同士が交流する貴重な場でもあります。
現場のエンジニアや生産技術職同士が、抱える課題や、他社での成功事例について情報交換を行うことで、新たな解決策やアイデアが生まれる可能性があります。
他社の導入事例や苦労した点、加工ノウハウなどを直接聞けるため、展示会そのものが巨大なコミュニティとして機能しています。
JIMTOF2024を振り返る|規模と技術トレンド
JIMTOF2024開催外観(出典元:JIMTOF記録写真より)
出展者数・来場者数・海外出展
開催年 | 出展者数 (海外出展者数) | 来場者数 ※重複なし |
2024年 | 1,268 (354) | 129,018 (10,423) |
2022年 | 1,087 (200) | 114,158 (4,815) |
JIMTOF公式発表によると、直近で開催されたJIMTOF2024は、2022年と比較しても出展者・来場者ともに増えており、とくに海外からの参加が増えています。
JIMTOF2024はコロナ禍を経て、JIMTOFの規模と国際性を改めて印象づける開催となりました。
自動化・DX・カーボンニュートラルの潮流
JIMTOF2024の技術トレンドは、大きく分けると以下の3点でした。
①自動化・ロボットセル
- 単純な自動化から、複数の機械とロボットが連携するセル生産システムへの進化
- 小ロット多品種でも柔軟に対応できるセルが増加
②デジタルものづくり(DX)
- AIやIoTを活用した予知保全
- 加工シミュレーションなどのソフトウェアソリューションが高度
- CAD/CAM連携
③省エネ・カーボンニュートラル
- 加工時間の短縮による電力消費の削減や電力最適化
- 省エネ設計の機械、新しい素材の提案など、環境に配慮した技術の発表
- 工場全体での省エネ
- ミネラルキャストの再評価
特に自動化は「全社が本気」という印象で、あらゆるブースが自動化・省人化をテーマに掲げており、これらの潮流は現在の製造業が直面している課題解決の方向性を示しています。
ちなみに私たち山善は、デジタルものづくり(DX)のトレンドに合わせ、図面管理や不良記録、設備管理など、製造現場のデジタル化をサポートするSaaSプラットフォーム「ゲンバト」をJIMTOF2024に出展し、多くの方に興味を持っていただきました。
▼JIMTOF2024の参加レポートはこちら
現場エンジニア目線で得られた学び
現場エンジニアにとっては、「何を導入するか」以上に「どの方式が自社現場に合うか」を考えるきっかけになる展示会でした。
JIMTOF2024が発表している結果報告レポートでは、「実際に会って話せたので必要な情報が得られた」「最新の製品を実際に見ることができ、自社で取り込みたいと思うものがいくつかあった」といったアンケート結果が掲載されています。
またXでもさまざまな方が投稿されていました。
まとめ|JIMTOF2024から次回JIMTOF2026への期待
JIMTOF2024は、自動化・デジタル化・省エネという「製造業が避けられない三つのテーマ」を明確に提示した展示会でした。
次回のJIMTOF2026では、AI制御とロボットの高度連携、複合加工のさらなる進化、工場全体最適のソリューションがさらに進むと考えられます。
製造の現場に関わる人にとって、JIMTOFは単なる展示会ではなく、事業戦略のヒントを得る場です。
2026年に向け、過去レポートをチェックしたり、SNSで最新情報を追ったりしつつ、目的を明確にして訪れることをおすすめします。
JIMTOF2026開催概要
JIMTOF2026 第33回日本国際工作機械見本市 | |
会期 | 2026年10月26日(月)~ 10月31日(土)6日間 |
会場 | 東京ビッグサイト |
最新の工作機械・製造業展示会についてさらに知りたい方は、「2025年最新工作機械 製造業展示会一覧」もあわせてご覧ください 。
もの研サイトJIMTOF2026特集「月間連載:JIMTOF2026注目技術×山善の視点」では、JIMTOF関連の新しい情報を発信してまいります。
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