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【2026年1月最新】成長加速化補助金 |第2回公募の変更点と100億宣言の注意点

売上100億円超を目指す中小企業向けに、最大5億円の補助が受けられる成長加速化補助金。
採択率は第1回公募で約16.6%と決して高くありませんが、建物費まで対象になるという点が他の補助金にはない最大の魅力です。

ただし、この補助金には「100億宣言」という独特の要件があり、補助金の事業計画と宣言内容の連動性が採択を大きく左右します。本記事では、第2回公募(2026年3月26日締切)の最新情報をもとに、100億宣言の書き方や採択される企業の特徴を詳しく見ていきましょう。

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※本記事は、2026年1月15日に株式会社エフアンドエムの河合 幹雄氏が登壇した「令和7年度補正予算からみる補助金予想セミナー」の内容に基づいて作成しています。

成長加速化補助金の制度概要|建物費も対象

成長加速化補助金は、正式には「中小企業成長加速化補助金」という名称で、売上高100億円超を目指す中小企業の大胆な投資を支援する制度です。

対象企業と補助額

対象となるのは、売上高10億円以上100億円未満の中小企業に限定されています。売上10億円に満たない企業は申請できませんし、すでに100億円を超えている企業も対象外となります。

補助額は5,000万円から最大5億円で、補助率は1/2です。つまり、10億円の投資を行えば5億円の補助を受けられる計算になります。

また事業期間は交付決定日から24か月以内と設定されており、大規模な工場建設などにも対応できる十分な期間が確保されています。この24か月という期間は、建物の建設や大型設備の導入を考えると非常に重要なポイントです。

他の補助金にはない魅力|建物費が対象になる

この補助金の最大の特徴として、建物費が補助対象経費に含まれます。
ものづくり補助金や省力化投資補助金では、機械装置やソフトウェアは対象になりますが、建物そのものは対象外です。しかし成長加速化補助金では、新工場の建設費用、既存施設の増築費用なども補助対象になります。

工場や施設を建設するような大規模な投資を計画している企業にとって、この補助金は非常に有力な選択肢です。特に製造業で生産能力を大幅に拡大したい、新拠点を作りたいという場合には、他の補助金では対応できない建物費をカバーできる点が大きな強みと言えるでしょう。

採択率と申請状況|厳しいが実現可能な水準

第1回公募の結果を見ると、1,270社が申請し、211社が採択されました。採択率は16.6%です。

省力化投資補助金(一般型)の66.8%、ものづくり補助金の33.7%と比較すると、かなり厳しい数字に見えます。
実際、申請企業のうち約84%は落ちるわけですから、決して採択されやすい補助金ではありません。

「100億宣言」が必須|事業計画との連動性が重要

成長加速化補助金には、「100億宣言」を申請し、100億宣言ポータルサイトに公表されていることが必須要件になります。

100億宣言とは?制度の目的と内容

100億宣言とは、中小企業の経営者が「売上高100億円」という野心的な目標を自ら掲げ、その実現に向けた取り組みを内外に宣言する制度です。すでに100億円を超えている企業は対象外ですし、10億円に満たない企業も宣言することはできません。

経営者が内外に対して100億円を目指すと公言することで、従業員やステークホルダー(取引先、協力会社など)に対して会社の成長方針を明確に示し、組織全体のベクトルを合わせるということです。

宣言した企業の取り組みは経済産業省が運営するポータルサイトに掲載され、「見える化」されます。つまり、誰でも閲覧できる形で公開されるわけです。これは企業にとって一種のコミットメントであり、本気度を示すものと言えます。

100億宣言の記載内容

100億宣言 申請書 見本出典: 中小機構「100億企業成長ポータル」           

100億宣言には以下の内容を記載する必要があります。
 ① 企業概要(足下の売上高、従業員数等)
 ② 売上高100億円実現の目標と課題(売上高成長目標、期間、プロセス等)
 ③ 売上高100億円実現に向けた具体的措置(生産体制増強、海外展開、M&A等)
 ④ 実施体制
 ⑤ 経営者のコミットメント(経営者自らのメッセージ)

重要なのは、②「目標と課題」では定量的な記載やグラフ等を用いた説明が求められることです。
単に「100億円を目指します」では不十分で、現在の売上から100億円に至るまでの道筋を、数値を使って具体的に示す必要があります。

例えば、現在売上60億円の企業であれば、2030年に100億円を達成するために、毎年どの程度の成長率が必要か、どの事業が成長の核になるか、そのために何に投資するかを明確に示す必要があります。

第1回と第2回の大きな違い|先に100億宣言の認定取得が必要

ここで非常に重要な変更点があります。第1回公募と第2回公募では、100億宣言の提出タイミングが異なります。

第1回公募
100億宣言と補助金の申請書を同時に提出することができました。両方を並行して準備し、一度に提出できたため、申請プロセスは比較的シンプルでした。

第2回公募(現在)
先に100億宣言を提出して認定を取得してから、補助金の申請書を提出しなければなりません。
認定後、補助金の申請書を作成するという流れになります。

変更点で重要なのは、100億宣言の認定を取得してから補助金の事業計画を考えるのでは遅いということです。

100億宣言では「2024年から2034年まで、こんな感じで100億円目指します」と書いておきながら、補助金の申請書では全く違う計画を書く。これでは整合性がありません。審査する側から見れば「この企業は何がしたいのか分からない」となり、採択される可能性は極めて低くなります。

100億宣言の申請自体は、申請書も作成しやすく比較的認定が下りやすい傾向にあります。しかし、安易な事業計画で提出し認定を取得してしまうと、後から補助金申請時の事業計画との整合性を保つことが困難になります。
とりあえず100億宣言だけ先に出しておこうという安易な考えは危険です。

採択される企業の特徴

では、実際にどのような企業が採択されているのでしょうか。第1回公募の採択結果から、興味深い傾向が見えてきます。

採択企業の数値基準(中央値)

採択された企業(211社)と申請全体(1,270社)の中央値を比較すると、明確な違いがあります。

売上成長率(年平均)

  • 採択企業の中央値: 23.7%/年

  • 申請全体の中央値: 15.7%/年

付加価値額増加率(年平均)

  • 採択企業の中央値: 25.7%/年

  • 申請全体の中央値: 15.3%/年

売上高投資比率

  • 採択企業の中央値: 44.0%

  • 申請全体の中央値: 23.9%


この数字を見て、どう感じるでしょうか。
売上成長率23.7%というのは、今50億円の売上がある会社が、4年後には売上 約120億円になることを意味します。
さらに売上高投資比率44.0%も注目してみると、売上50億円の企業が、今回の投資で売上の半分近くを投じる計算です。

つまり、採択されている企業は極めて野心的で、チャレンジングな計画を立てているということです。

100億円から遠い企業の方が採択されやすい理由

達成の難易度から言えば、「売上95億円の会社と売上10億円の会社だったら、95億円の方が100億円に到達しやすいから有利だろう」と考えが浮かびますが、実際に蓋を開けてみると、全く逆でした。
なんと採択企業の売上高を見ると、実は100億円から遠い企業の方が採択されやすいのです。

最新決算期の売上高

  • 採択企業:29.5億円
  • 申請全体:40.7億円

採択企業の売上中央値は約30億円で、申請全体の中央値より低くなっています。つまり、100億円からかなり遠い企業の方が採択されやすい傾向にあるわけです。

これには明確な理由があります。
この補助金は、100億円に遠い会社が行う野心的でチャレンジングな取り組みを支援することに重点を置いています。すでに95億円に達している企業は、この5億円の補助金がなくても、100億円に到達する可能性が高いでしょう。一方、30億円の企業が100億円を目指すには、相当大胆な投資と戦略転換が求められます。そうした企業を後押しすることこそが、この補助金の趣旨にほかなりません。

業種の傾向|製造業中心だがサービス業も

採択企業の業種を見ると、やはり「ものづくり・製造業」が中心です。部品加工、機械・金型関連、プラスチック・金属部品、精密加工などが多く、結果として地域にも偏りが出ています。

ただし、製造業以外でも採択例はあります。

  • 物流・倉庫・施設整備

  • 体験・観光・宿泊

  • 飲食・食品加工

  • DX・ICTソリューション系

これらのサービス業的要素のある業種でも採択されていますが、共通点があります。それは、単にサービスを提供するだけでなく、成長戦略・付加価値強化・体験型などの要素を組み込んでいる点です。

たとえば観光・宿泊・飲食などの業種で採択された企業を見ると、単なるサービス提供ではありません。独自の体験価値や高付加価値化、地域との連携といった要素を計画に盛り込むことで、採択につながっています。

賃上げ要件の厳格化|2次公募から大幅に変更

成長加速化補助金には賃上げ要件があります。そして、第2回公募からは大幅に厳格化されています。

1次公募と2次公募の違い

第1回公募の賃上げ要件
補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の「給与支給総額」または「従業員(非常勤含む)以下同じ)及び役員の1人当たり給与支給総額」と比較した、基準年度の3事業年度後(最終年度)の「給与支給総額」または「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、事業実施都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であること

第2回公募の賃上げ要件
補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の「従業員(非常勤含む、以下同じ。)1人当たり給与支給総額」と比較した、基準年度の3事業年度後(最終年度)の「従業員の1人当たり給与支給総額」の年平均上昇率が、全国における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率(4.5%) 以上であること

変更点を整理すると、大きく2つあります。

変更点①:役員報酬が計算から除外

第1回では「従業員及び役員の1人当たり給与支給総額」と書いてあったので、役員報酬を含めて計算できました。最悪の場合、社長の給料を上げることで要件を満たすこともできたわけです。

しかし第2回からは「従業員の1人当たり給与支給総額」に変更され、役員報酬は計算に入れられなくなりました。

変更点②:「給与支給総額」ORに「1人当たり給与支給総額」の基準クリアが必須に

第1回では「給与支給総額」か「1人当たり給与支給総額」のどちらかを選べました。従業員数を増やせば給与支給総額も増えるため、賃上げをしなくても要件を満たすことが可能だったわけです。

しかし第2回からは「給与支給総額」もしくは「1人当たり給与支給総額」のどちらの目標を掲げたとしても、従業員数の増減にかかわらず、1人当たりの賃金を必ず上げなければなりません。

実務上のリスク|全額返還の可能性も

この変更により、実務上かなり大きなリスクが生じます。

例えば、平均賃金500万円の会社があるとします。
ベテラン社員の賃金は毎年しっかり上げている。しかし同時に、新入社員を毎年5人、10人と採用している場合、新入社員の給与は当然ベテランより低いため、全体の平均賃金は下がってしまう可能性があります。

また、50代後半から60代前半の高給取りの社員が定年退職する年度も、平均賃金が下がる要因になります。
つまり、賃上げをしているつもりでも、人員構成の変化によって「給与1人当たり給与支給総額」の要件を満たせなくなる。これは極めて現実的なリスクです。

この要件を満たせなかった場合、受け取った補助金を全額返還しなければならない事態もあり得ます。5億円受け取った後に、賃上げ要件を満たせなかったため5億円返してくださいと言われたら、それは企業にとって致命的なダメージになります。だからこそ、この補助金を検討している企業は、申請前に必ず賃上げシミュレーションを行うことが極めて重要です。

賃上げ要件は2段階でチェックされます。
まず第1段階は、申請時の直近決算と比較して、補助事業完了年度(基準年度)で1人当たり給与支給総額(または給与支給総額)が下回っていないかの確認です。
第2段階では、基準年度からその3年後(最終年度)にかけて、年平均上昇率の目標を達成できているかが問われます。

そのため、今後5~7年間の採用計画、退職予定者、昇給計画を踏まえて、本当に要件を満たせるのかを慎重に検証する必要があります。要件を満たせなかった場合、未達成率に応じて補助金の返還が求められ、最悪の場合は全額返還となる可能性もあります。

このような長期的な視点で、申請検討段階から綿密なシミュレーションを行うことを強くお勧めします。

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大規模成長投資補助金との使い分け

成長加速化補助金を検討する際、もう一つ知っておくべき補助金があります。それが「大規模成長投資補助金」です。

両制度の比較

成長加速化補助金

  • 対象:売上100億円を目指す中小企業

  • 補助率:1/2

  • 補助上限:5億円

  • 投資額:1億円以上

大規模成長投資補助金(100億宣言企業枠)

  • 対象:中堅・中小企業(常時使用する従業員が2,000人以下)

  • 補助率:1/3

  • 補助上限:50億円

  • 投資額:15億円以上 (100億宣言企業枠の場合)

大規模成長投資補助金は、成長加速化補助金のさらに上位版とも言える補助金で、補助額が最大50億円と成長加速化の10倍の規模となっています。

また100億宣言をすれば、この大規模成長投資補助金の「100億宣言企業枠」にも申請する資格が得ることができます。
つまり、100億宣言をすることで、2つの補助金のどちらにも申請できる選択肢が広がるということです。

どちらを選ぶべきか

大規模成長投資補助金は投資額15億円以上(一般枠では20億円以上)という要件があるため、投資金額が潤沢にある限られた企業向けの制度ですが、補助上限が50億円と非常に大きいのが特徴です。

ちなみに、第1回公募では併願も可能でした。同じ工場建設計画で、成長加速化補助金 / 大規模成長投資補助金の両方を申請し、採択の可能性を広げるという戦略も取れたのです。
ただし、第2回以降の併願可否については、まだ公表されていません。今後の公募要領を確認する必要があります。

まとめ|100億宣言と事業計画の連動性が必要

成長加速化補助金は、以下の点で非常に魅力的な制度です。

  • 売上10億円以上100億円未満の企業が対象で、野心的な成長を目指す企業を支援

  • 最大の魅力は建物費まで対象になることで、新工場建設などの大型投資に対応

  • 最大5億円の補助で、大規模な設備投資と建物投資を同時に実現可能

ただし、採択率16.6%と決して高くないため、戦略的な準備が必要です。

採択のポイント

  1. 100億宣言と補助金事業計画の連動性
    ・ 第2回から100億宣言を先にし、100億宣言ポータルサイトに公表される必要がある
    ・ 宣言内容と事業計画が矛盾していると採択は極めて困難
    ・ 100億宣言を作る段階で、補助金の事業計画も考えておく

  2. 野心的な計画と実現可能性のバランス
    ・ 採択企業の売上成長率は年平均23.7%と極めて高い
    ・ 100億円から遠い企業の方が採択されやすい傾向
    ・ ただし、実現可能性の根拠(市場調査、SWOT分析など)は必須

  3. 賃上げ要件の事前シミュレーション
    ・ 第2回から要件が大幅に厳格化
    ・ 役員報酬除外、1人当たり給与支給総額の基準クリアが必須に
    ・ 新入社員採用や定年退職で平均賃金が下がるリスクあり
    ・ 5~7年間の長期的な賃金シミュレーションが必須

大規模な投資で100億円を目指すなら、この補助金は有力な選択肢です。ただし、100億宣言と事業計画の一貫性、野心的だが実現可能な計画、賃上げシミュレーションの3点を慎重に検討してから申請することをお勧めします。

河合幹雄
河合幹雄
株式会社エフアンドエム 営業推進本部 副本部長 民間金融機関・政府系金融機関・各地信用保証協会と共同で企業支援策の立案及び実施を業としている。中小企業向け経営者セミナーに多数登壇。

<会社概要>
企業名 :株式会社エフアンドエム
事業内容 :中堅中小企業向け財務・補助金支援サービス 他 
本社住所 :大阪府吹田市江坂町1-23-38 F&Mビル
URL : 
https://www.fmltd.co.jp/corporate/outline.html

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