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【2026年1月最新】省力化投資補助金|オーダーメイド設備の解釈と申請のコツ

令和7年度(2026年度)補正予算で継続が決定した省力化投資補助金。
採択率は第3回公募で66.8%と、ものづくり補助金や新事業進出補助金と比べて約2倍高く、8,000万円 (大幅な賃上げを行う場合は最大1億円)の補助を受けられる点が大きな魅力です。

ただし、第5回公募からは賃上げ要件がさらに厳格化される見込みで、早めの申請準備が重要になっています。
本記事では、製造業をはじめ運輸業や飲食業など多様な業種で活用できる省力化投資補助金の最新情報と、採択率を高める申請のコツを詳しく解説します。

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※本記事は、2026年1月15日に株式会社エフアンドエムの河合 幹雄氏が登壇した「令和7年度補正予算からみる補助金予想セミナー」の内容に基づいて作成しています。

省力化投資補助金(一般型)とは?制度の基本を理解する

省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業が省力化のための設備投資を行う際に、その費用の一部を支援する制度です。デジタル技術を活用したオーダーメイド設備の導入により、労働生産性を向上させることを目指しています。

補助額と補助率|従業員数で変わる上限額

補助額は従業員数によって異なり、以下のように設定されています。

例えば、従業員50人の企業が6,000万円の設備投資を行う場合を考えてみましょう。
中小企業(補助率1/2と1/3)であれば、以下のような計算になります。

例えば、従業員50人の企業が7,000万円の設備投資を行う場合を考えてみましょう。
中小企業(補助率1/2とする場合)であれば、以下のような計算になります。

7,000万円×1/2=3500万円
  > 3,000万円 (従業員数21~50 人企業の補助上限額)

  実際の補助額:3,000万円

※なお、大幅な賃上げに取り組む事業者については、従業員数に応じて補助上限額の引き上げが可能です。
 詳細は公募要領をご確認ください。

これは設備投資の負担を大きく軽減できる金額です。

なぜ採択率が高いのか?他の補助金との比較

省力化投資補助金の最大の特徴は、その採択率の高さにあります。

省力化補助金 採択率 比較主要な補助金の採択率を比較すると、その差は歴然です。

省力化投資補助金は他の補助金の約2倍の採択率を誇ります。50万円や100万円程度の小規模な補助金ならともかく、最大8,000万円 (大幅な賃上げを行う場合は最大1億円)もの補助金でこの採択率は、正直なところ他に類を見ません。


※なお、売上10億円以上で大規模な設備投資と建物建設を同時に検討している企業には、最大5億円の補助が受けられる「成長加速化補助金」という選択肢もあります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
成長加速化補助金とは?100億宣言の書き方と採択のポイント

省力化補助金の申請数と採択率推移さらに注目すべきは、申請数が増えても採択率が下がらない点です。
第3回は第2回の約2倍の申請がありましたが、採択率はむしろ上昇しています。通常、補助金は予算の奪い合いになるため、申請数が増えると採択率は下がる傾向があります。しかしこの補助金では逆の現象が起きている。これは予算が潤沢に用意されており、通りやすい証です。

エフアンドエム社の支援実績を見ても、この補助金の通りやすさは顕著です

第3回公募採択結果 (エフアンドエム社支援先のみ抜粋)

  • 第3回公募採択率:95.6%

  • 累計採択率:95.5%

20社申請して19社が採択されるという数字が出ています。これは申請書の作り込み、SWOT分析や事業計画の論理性を高めることで、ほぼ確実に採択を狙えることを意味しています。

第5回公募のスケジュール|2026年2月下旬 27日(金)締切予定

現時点でのスケジュールは以下の通りです。

省力化補助金 第5回 公募スケジュール

注意点として、第1回・第2回・第3回公募の採択者、および第4回公募申請中の事業者は、第5回公募へ申請できません。
第4回と比べ、第5回では賃上げ要件が厳しくなります。設備投資を検討しているなら、早めの準備をお勧めします。

「オーダーメイド設備」の解釈が採択のカギ

省力化投資補助金でよくある誤解が「オーダーメイド設備」の定義です。
「うちが買おうとしている設備は汎用品だから対象外だ」と諦めている企業が実に多いのですが、これは大きな勘違いです。

オーダーメイド設備の定義と実務上の解釈

公募要領には以下のように記載されています。


④人手不足の解消に向けて、オーダーメイド設備等の導入等を行う事業計画を策定すること
※汎用設備であっても、事業者の導入環境に応じて周辺機器や構成する機器の数、搭載する機能等が変わる場合や、汎用設備を組み合わせて導入することでより高い省力化効果や付加価値を生み出すことが可能である場合には、オーダーメイド設備であるとみなし、本事業の対象となります。
※単に汎用設備を単体で導入する事業については、本事業の対象になりません。

つまり、重要なポイントは2つです

  1. 複数の汎用設備を組み合わせることでオーダーメイド設備とみなされる
  2. 最低1つはデジタル技術を活用した設備が必要

ただし「単に汎用設備を単体で導入する事業については、本事業の対象とはなりません」という但し書きもあります。フライヤー1つだけ買うのはダメだけど、前後の工程を含めて複数の設備を組み合わせるならOKということです。

これは企業にとってむしろ好都合ではないでしょうか。
1個だけでは申請できないが、3つも4つも組み合わせればOKということなら、この機会にまとめて導入してしまおうという判断ができるわけです。

具体例で理解する「複数設備の組み合わせ」

分かりやすい例として、唐揚げ屋のケースを考えてみましょう。
従来、手作業で唐揚げを揚げていたお店があるとします。手で一生懸命揚げるのも大変だし、油がはねて手も痛い。バイトの子も辞めてしまい困っている。そこで店長は省力化を図ろうと考えました。

NGパターン:フライヤー1つだけ購入
オートフライヤー(自動で唐揚げを揚げる機械)だけを買う

OKパターン:複数設備の組み合わせ
以下の4つを組み合わせて導入する。

  1.  パン粉付け機(衣をつける工程を自動化)
  2.  オートフライヤー(揚げる工程を自動化)
  3.  塩振り機(味付けを自動化)
  4.  ラッピング機(包装を自動化)

これら4つの設備を組み合わせることで、調理工程全体が省力化されます。単体では汎用品でも、これだけ組み合わせれば立派な「オーダーメイド設備」として認められるわけです。

では具体的な製造業の例も見てみましょう。



複数設備によるオーダーメイド設備の例

上記の例は、設備4つを組み合わせることで、溶接工程全体が自動化され、大幅な省力化が実現しています。単体では汎用品でも、組み合わせることで「オーダーメイド設備」として認められます。

重要なのは、「どの工程をどのように省力化するか」を明確に説明できることです。ただ設備を並べるだけでなく、それらがどう連携して省力化効果を発揮するのかを申請書で示す必要があります。

業種別の採択事例|製造業以外でも活用可能

省力化投資補助金は製造業だけのものではありません。
実際の採択事例を見ると、多様な業種で活用されています。

ケース①:鉄筋加工業
オーダーメイド設備の事例 鉄筋加工業
自動切断機とR曲機を組み合わせて導入した事例です。「切断」と後工程である「曲げ加工」を自動化することで省力化を実現しました。また、大規模案件の受注数増加にも寄与しています。

ケース②:生菓子製造業
オーダーメイド設備の事例 生菓子製造業
チェックセンサー付き自動包装機を導入した事例です。包装工程を自動化し、省力化を実現しました。
従来は不良率が高かったものの、自動化により精度も向上したため、人為的なチェック作業を大きく削減できました。さらに、余剰人員を製造に配置することで、製造量および売上アップにつなげることが可能になりました。

ケース③:土木工事工業

オーダーメイド設備の事例 土木工事事業
ICT油圧ショベルとチルトローテータ(アタッチメント)を組み合わせて導入した事例です。
従来、全行程 工程で9名必要だったところ、4名で対応可能となりました。結果として、余剰人員で受注数増加が可能になりました。省人化できる数字が明確であり、売上アップにもつながることが高ポイントとなっています。ICTというデジタル技術を入れていますが、アイデア次第で様々な組み合わせが可能です。

また、省人化して賃上げをする提案 が評価されやすい傾向にあります。


ケース④:運輸業
オーダーメイド設備の事例 運輸業
Web受付システム・販売管理連携/見積管理システム(オーダーメイドシステム)を導入した事例です。システム導入により煩雑な電話受付を省人化し、余剰人員を営業部門に配置転換しました。業務受注の効率化と顧客満足度の向上を図り、売上増加にも寄与しています。

このように、アイデア次第でさまざまな業種が対象になります。重要なのは「複数の設備・システムを組み合わせることで、どのように省力化が実現するか」「その結果、どのように生産性が向上するか」を明確に説明できることです。

賃上げ要件の変更点|第5回公募から厳格化

省力化投資補助金には賃上げ要件が設けられていますが、第4回公募と第5回公募では大きな違いがあります。

第4回と第5回の違いを比較

第4回公募の要件

  1.  労働生産性の年平均成長率が+4.0%以上増加

  2.  1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上
     または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加

  3.  事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準

  4.  次世代育成支援対策に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21名以上の場合のみ)の基本要件を
     すべて満たす3~5年の事業計画に取り組むこと。

第5回公募の要件

  1.  労働生産性の年平均成長率が+4%以上増加

  2.  1人当たり給与支給総額の年平均成長率が3.5%(日本銀行が定める「物価安定の目標」+1.5%)以上増加

  3.  事業場内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準

  4.  次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表など(従業員21名以上の場合のみ)の
     基本要件を全て満たす3~5年の事業計画に取り組むこと


第4回と第5回の要件を比較して、最も大きな変更点は②の賃上げ要件です。主な変更点は2つあります。

変更点①:選択制の廃止

第4回では「1人あたり給与支給総額が最低賃金の伸び率以上」または「給与支給総額が+2.0%以上」という選択制でした。どちらか一方を満たせばよかったわけです。

しかし第5回からは選択肢がなくなり、「1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上」のみが要件となります。

変更点②:従業員数増加による達成が不可能に

第4回の「給与支給総額+2.0%」という選択肢では、従業員数を増やせば総額は増えるため、必ずしも一人ひとりの賃上げが必須ではありませんでした。極端な話、個々の賃金を据え置いても、従業員数を増やせば要件をクリアできたのです。

しかし第5回からは「1人当たり給与支給総額3.5%以上」に一本化されたため、この方法は使えません。従業員一人ひとりの給与を確実に上げる必要があり、しかも数値目標も明確化されたため、要件は明らかに厳しくなったと言えます。

申請前のシミュレーションが重要

実際に申請を検討している場合は、今後3〜5年間の昇給計画を踏まえて、本当に要件を満たせるのかを事前にシミュレーションすることをお勧めします。
特に、新入社員を多く採用する予定がある企業や、定年退職者が多い年度がある企業は注意が必要です。人員構成の変化によって「1人当たり給与」の平均値が下がってしまう可能性があるためです。

専門家に相談しながら、自社の状況に合わせた計画を立てることが、補助金を確実に活用するためのポイントになります。

補助金/税制優遇について問合せはこちら

省人化×賃上げのストーリーが採択のポイント

「 省人化して賃上げする」が今のトレンド

補助金の審査において、どのようなストーリーを描くかも重要です。

2020年、2021年頃のコロナ直後は、「雇用の拡大」や「従業員数の増加」が補助金の要件として重視されていました。失業率低下、雇用拡大というのが行政側のスタンスだったわけです。

しかし現在は方向性が大きく変わっています。
人手不足が深刻化する中、「人を雇いたくても雇えない」という企業が大半です。行政側もこの実態を理解しており、むしろ省人化・省力化によって少ない人数で高い生産性を実現し、その結果として賃上げを行うというストーリーが評価されるようになっています。

実際の採択事例を見ても、「従来9名で対応していた業務を、設備導入により4名で対応可能にする。余剰人員5名を営業部門や製造部門に配置転換し、売上拡大を図る」といった計画が高く評価されています。

つまり、省人化に併せて余剰人員を配置転換することで効率・売上が向上した結果、賃上げにつながるという流れを申請書で明確に示すことが、採択への近道になります。

まとめ|省力化投資補助金は早めの申請が有利

省力化投資補助金は、以下の点で非常に魅力的な制度です。

  • 採択率67%と他の補助金の約2倍通りやすい

  • 複数設備の組み合わせでオーダーメイド設備とみなされるため、幅広い設備投資が対象

  • 製造業だけでなく運輸業、土木工事業、飲食業など多様な業種で活用可能

  • 最大8,000万円 (大幅な賃上げを行う場合は最大1億円)の補助で大規模な設備投資にも対応

ただし、第5回公募から賃上げ要件が厳格化されます。詳細な計算方法はやや複雑ですが、実際に申請を検討している場合は、事前の賃金シミュレーションをお勧めします。

また、補助金制度は回を重ねるごとに要件が厳しくなる傾向があります。どの補助金も最初の回の方が比較的通りやすく、省力化投資補助金も例外ではありません。第1回で採択された企業の方が、第2回以降で採択された企業より要件が緩やかだったという実績があります。

設備投資を検討しているのであれば、第5回公募(2026年2月27日(金)締切予定)への早期準備をお勧めします。

河合幹雄
河合幹雄
株式会社エフアンドエム 営業推進本部 副本部長 民間金融機関・政府系金融機関・各地信用保証協会と共同で企業支援策の立案及び実施を業としている。中小企業向け経営者セミナーに多数登壇。

<会社概要>
企業名 :株式会社エフアンドエム
事業内容 :中堅中小企業向け財務・補助金支援サービス 他 
本社住所 :大阪府吹田市江坂町1-23-38 F&Mビル
URL : 
https://www.fmltd.co.jp/corporate/outline.html

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