マシニングセンタとは?簡単に解説|基礎知識とできること・できないこと

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マシニングセンタは、穴あけ・切削などの加工を一台で行うことができる工作機械です。
長時間の無人稼働が可能なため、さまざまな製品の加工に使われています。
この記事では、マシニングセンタをこれから使いこなしていきたい製造業の方に向けて、基本的な内容をわかりやすくご紹介します。

この記事の目次[非表示]

  1. マシニングセンタとは?NC工作機械との違いは?
  2. マシニングセンタの種類
    1. 立形マシニングセンタ
    2. 横形マシニングセンタ
    3. 門型マシニングセンタ
  3. 5軸加工機と3軸加工機の違いは?
  4. マシニングセンタでできること
    1. マシニングセンタで加工を行うメリット
    2. 切削
    3. 穴あけ
    4. 抜き加工
  5. マシニングセンタでできないこと
    1. ピン角
    2. アンダーカット
  6. マシニングセンタの価格
  7. マシニングセンタの適切な作業方法を検討しよう

マシニングセンタとは?NC工作機械との違いは?

マシニングセンタは、NCフライス盤にATCが付属した工作機械です。
ATC(Automatic Tool Changer:自動工具交換装置)とは、工具を自動で交換する装置です。

そもそもNC工作機械とは、数値制御装置が備わった工作機械のこと。
マシニングセンタも大分類ではNC工作機械の一つになります。

このATCにより自動で工具交換ができることから、工具交換のための作業時間が短縮され、連続した加工が可能になりました。


マシニングセンタの種類

次に、マシニングセンタの種類について見ていきましょう。
ここでは、代表的な3つの種類をご紹介します。

立形マシニングセンタ

立形マシニングセンタは、ワークの上面を加工する工作機械です。
ワークの垂直方向から、ツールを使って加工します。

上からの加工になるので、上一面だけを加工する金型加工に向いています。
ツールを交換することで、フライスや穴あけ、タップなどの繰り返し作業も可能です。
加工できるサイズは、マシニングセンタ自体のサイズにもよりますが、小型~中型となります。

横形マシニングセンタ

横形マシニングセンタは、ワークの側面から加工する工作機械です。
立形マシニングセンタと違い、ツールが横向きに取り付けられています。

側面の加工ができるため、箱のような立体的な形状の加工に向いています。
また、ワークの側面から加工することで、切粉が自然と下に落ちていき、途中で取り除く必要がありません。

さらに、多くの横形マシニングセンタには、APC(Automatic Pallet Changer:自動パレット交換装置)が標準で搭載されています。
APCは、別のパレットへ次のワークのセッティングを行い、段取りの時間を短縮するための装置です。
パレットのストックを用意しておくことで、横型マシニングセンタは長時間の無人稼働が可能になります。

門型マシニングセンタ

門型マシニングセンタは、名前の通り「門」の形をしたマシニングセンタです。
ワークの上1面と側面4面の合計5面を加工できるため、「5面加工機」とも呼ばれます。

主軸を支える柱が2本あるのが特徴で、本体そのものも非常に大きいため、発電所のタービンの部品など大型の金属加工に使われます。
主軸の上下のZ軸方向、左右のY軸方向、ワークのX軸方向に加え、クロスレールが上下のW軸方向に移動します。

5軸加工機と3軸加工機の違いは?

5面加工機と似た名称で、「5軸加工機」というものがあります。
ここでは、まず「5軸加工機」と「3軸加工機」の違いについて確認しましょう。

3軸加工機は、ワークを加工する主軸がX、Y、Zの3方向に動く加工機です。
5軸加工機はそれに加えて、さらにワークを固定する加工テーブルがX、Zの2方向に回転します。

5軸加工機のメリットは、主軸だけでなく加工テーブルが動くことにより、複数面の加工が一工程でできることです。
特に、ブロック形状などの複雑な加工では段取り(ワークの取り付け)の時間をカットできるため、作業時間の大幅な短縮が可能になりました。

また、5面加工機と5軸加工機の違いは、制作物の大きさです。
5面加工機は大型の工作物、5軸加工機は小型の工作物に適しています。


マシニングセンタでできること

マシニングセンタで可能な加工とはどんなものでしょうか?
まずは、マシニングセンタで加工を行うメリットから確認していきましょう。

マシニングセンタで加工を行うメリット

マシニングセンタで加工を行う大きなメリットは、作業時間の短縮と加工精度の向上です。

最初にご紹介したように、マシニングセンタは工具の自動交換ができる工作機械です。
通常、私たちが自分で加工を行う場合、工具の交換が必要となり、その度に機械を止めるなど大いに時間がかかります。

しかし、マシニングセンタは工具の自動交換ができるため、工具交換にかかる作業時間が短縮できます。
また、プログラムに沿って加工するため、加工精度を落とさずにくり返し加工することが可能です。
このように、マシニングセンタによる加工は製造現場の無人化、省力化、コスト削減が可能となります。

切削

マシニングセンタでできる代表的な加工が、切削です。
広い面を削り出していく切削のほか、細やかな面取りも可能です。
さらに、エンドミル(外周に刃がある切削工具)を利用して、側面加工にも対応できます。

穴あけ

マシニングセンタは、貫通穴を加工する穴あけや、ネジ穴のタップ、座ぐり加工も可能です。
刃がテーパ形状のテーパエンドミルを使うと、テーパ穴を加工することもできます。
工具の自動交換ができる特徴を活かして、穴あけ、タップ、座ぐりと、仕上げまで一気に行うことができます。

抜き加工

エンドミルを使うと、ワークに四角い穴をあける「抜き加工」や、穴を途中で止める「ポケット加工」も可能です。
ワークの大きさによっては時間がかかりますが、無人稼働ができるため、同時に他の作業を行うことができます。
また、エンドミルの刃の形状によっては、V字やU字などの溝加工も可能です。


マシニングセンタでできないこと

マシニングセンタは工具次第でかなり幅広い加工ができますが、構造上不可能な加工もあります。
ここからは、マシニングセンタではできない加工を見ていきましょう。

ピン角

ピン角とは、内角部が直角になっている角のことです。
マシニングセンタは、この「ピン角」の加工ができません。
エンドミルを回転させる動きでは、直角加工ができないからです。

マシニングセンタはエンドミルを回転させて加工するため、加工部分が丸い角となり、どうしても隅アールが残ることになります。
解決策としては、型彫り放電加工機、スロッター(キー溝加工機)、ワイヤーカットを使った加工方法があります。
他の工作機械を使うことで、制作工数が増えることを確認しておきましょう。

アンダーカット

アンダーカットとは、エンドミルが届かない場所にある加工部分のことです。
上の図のように、隠れた場所にある溝やポケットには、エンドミルが届きません。
エンドミルが届かなければ加工ができないため、作業方法を工夫する必要があります。

アンダーカット加工をするには、型彫り放電加工機を使うか設計変更を行うなど、工夫して対応しましょう。

図の形状では、部品を分割することでアンダーカット部分が表面に出て、加工できるようになります。

部品の分割を行うと、後の工程で分割部分の溶接、またはねじ止めをする必要がありますが、加工しやすい形状にすることで、全体的な工数を減らせる可能性があります。


マシニングセンタの価格

マシニングセンタは、最新機種であればあるほど、プログラムや段取りが容易にできるように機能が向上しています。
ここでは、マシニングセンタの価格相場を見てみましょう。

マシニングセンタの価格相場は、加工できるサイズや精度によって異なりますが、1,000万円から2億円以上とさまざまです。
かなり価格の幅が広いため、機能の過不足とならないよう、必要な加工要件に合わせて検討することが重要です。

ところで、なぜここまで価格の幅が広いのでしょうか?
その理由は、メーカーではなく商社によって価格が決まる「オープン価格」だからです。
メーカーは希望小売価格を決めてはいますが、公表されていないため、詳細な価格を知るには商社へのお問い合わせが必要となります。


マシニングセンタの適切な作業方法を検討しよう

マシニングセンタを使いこなすためには、できる加工とできない加工を見極めて、適切な作業方法を検討することが必要です。
加工方法についてお悩みの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
最新機種についてのお問い合わせはもちろん、「こんな加工がしたいんだけど、加工方法について教えてほしい」「この機種でこの加工はできるのか」といった作業に関するご相談もお待ちしております。
まずはお気軽にお問い合わせください。



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