<MECT2023出展者インタビュー>顧客に寄り添った加工ソリューションを提案 ~シチズンマシナリー 代表取締役社長 中島 圭一 氏~

――EMOショーから帰国されたばかりですが、現地での手応えは。

 「ボリューム的にはそれほど大きくありませんが、私が滞在した期間にいくつかまとまった案件もありますし、他にも会期中に売れたという報告を受けています。また数年前にお話を頂きながら、一度延期になっていた案件が再び動きはじめているものもありますし、今後の伸長が見込まれる医療分野の加工を手掛けるスイスやイスラエルのお客様から、数多くお話を頂いています」


 ――欧州ユーザーの設備投資意欲をどう見ていますか。

 「足元はあまり良くないように見受けられますが、サービスパーツは売れている、サービスに来て欲しいという電話も減っていない。つまり、お客様の機械は稼働しているのです。当社にもさまざまなお話があるのですが、これがなかなか決まらない、決めきれない。要は決断できる材料が乏しいのが現状で、ある程度先行きが見えれば積極的な投資に動くと見ています」


 ――エネルギー価格やサプライチェーンの問題を含め、地政学的リスクが大きく影響していると。

 「はい、ウクライナ情勢などを見極めているように感じます。欧州の今後の需要の動向については、まだもう少し状況の推移を見ないと判断できないと考えています」

 ――省人化・自動化ニーズに関してはいかがでしょうか。

 「先日、タイのお客様に伺ったところ、部品をワーク搬送、切削、測定、補正までを自動化されていました。お客様は『すごく高かったけれど、これで作業者が減らせた』と。いまのタイの最低賃金は320~355バーツほどで、これを現在の為替レートで邦貨に換算すると1000円超と、従来では考えられなかった賃金レベルになりつつあります。ですから自動化に関しては、欧州はもちろん、これからは世界的に需要が高まっていくと見ています」

 ――国内の需要動向はいかがでしょうか。

 「ずっと底を這っている状況が続いていましたが、最近になって引き合いが出てくるようになってきました。先日の会議でも、国内営業部長の顔つきが若干良くなっていました(笑)。もうあとは上がるタイミングだけだと考えています。波が無ければサーフィンはできませんが、波が来た時に備えて万全の体制を整えています」

■MECTは『注文を取る』展示会


 ――さて、いよいよMECTが開幕します。期待のほどをお聞かせください。

 「JIMTOFはコンセプトや方向性を打ち出す展示会という位置づけですが、MECTは『注文を取る展示会』と考えています。過去数回を振り返ってみても、MECTが終わってから上昇気流に乗ったケースが何度もあります。私の経験則からすると、MECTはラッキーな展示会というイメージがあり、今回もそうなればいいと期待しています」


 ――今後の景気を占う上でも重要な展示会という位置づけですね。

 「一般論として『2024年はいい』と仰る方が大勢いますが、その根拠はほぼないわけです。その点、MECTはどれくらいのお客様が来て、どのレベルの商談ができるのかがはっきりわかるので、来年の動向がある程度見えてくると思います」


 ――貴社ブースではどんな提案を。

 「テーマは『今ある価値の、その先へ』というテーマで、お客様のモノづくりを支えるトータルソリューションをお見せします。機械の展示だけではなく、切削ノウハウから自動化対応、環境への配慮まで、お客様ひとりひとりに合わせたオーダーメイドの提案が出来ればと考えております」

 ――CNC自動旋盤のベストセラー機「L20」シリーズの後継機種を出展されます。

 「MECTには『L20X』を出展します。今回のフルモデルチェンジでは、最新NCの搭載に背面主軸の高出力化に加え、LFV(低周波振動切削)技術での背面加工をⅧ、Ⅸ型に加えて、Ⅹ型、Ⅻ型でも利用可能にしました。また15インチの大型タッチパネルを採用し、お客様の使いやすさと生産性向上に貢献できるよう進化させました。会場では環境負荷の低減が図れるエアロゾルMQL加工を提案します」


写真2:MECTで初披露されるCNC自動旋盤「L20X」。切りくずを分断しながら加工し切削トラブルを激減する「LFV技術」が背面加工においても威力を発揮する。

 ――自動化についてはどのような提案を。

 「ロボットを移動しやすいカートに搭載したオンカートタイプは、計測ユニットを接合し最大3種類の自動計測が可能なシステムと、収納ユニットと搬送ユニットを組み合わせて24時間無人運転を実現するシステムを展示します。またCNC自動旋盤『BNA42SY』の機上に直交4軸のローダーを搭載し、ワークの搬出入を高速で行えるシステムも提案します」


 ――各社が数年来、自動化提案を行っていますが貴社の手ごたえは。

 「お客様はまだ『値段が高い』と感じている方の割合が多いように感じます。ただどこも省力化、自動化への取り組みは喫緊の課題となっていますし、実際に入れたお客様は効果を十二分に感じていらっしゃいます。ですから、相場観や自動化の持つ価値が浸透していけば、導入もさらに進んでいくのではないかと考えています」



(提供:日本物流新聞社)







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