製造委託先が廃業!?問題が起きないために今からできる対策とは?
製造工程の一部または全部を、それぞれの専門知識や技術を有する企業へ委託する「製造委託」は、製造業で一般的に行われています。自社のニーズに合わせて製造委託することで、社内リソースや生産にかかるコストが節約できたり、製品の品質や生産効率を向上させたり、製造委託にはたくさんのメリットがあるからです。
しかし近年、製造業では、少子高齢化による労働力人口の減少により、人手不足の問題が深刻化しつつあります。特に経営者の高齢化による後継者不足は顕著で、多くの中小企業・小規模企業が廃業リスクに直面しています。
もし突然、製造委託先が廃業したらどうなるでしょうか?
製造委託先の廃業により製品の供給が途絶えると、自社の生産ラインや事業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
この記事では、突然の製造委託先の廃業から考えられるリスクと、そのリスクを回避すべく対策を解説します。いざというときに困らないように、今から備えておきましょう。
この記事の目次[非表示]
「2025年問題」と中小企業・小規模企業が直面する廃業リスク
日本の人口は2010年を境に減少を続けており、2025年には国民の約5人に1人が75歳以上になると言われています(*1)。これにより、社会保障費の増大や労働力の減少など、社会や企業に深刻な影響を及ぼすと予測されています。これが「2025年問題」です。
2025年問題は企業の事業継承の側面でも例外ではありません。2025年には70歳(経営者の平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、そのうち約半数の127万(日本企業全体の1/3)が後継者不在による廃業や倒産の危機に直面するといわれています(*2)。
製造委託先が廃業した場合に考えられるリスク
実際、経営者の高齢化による後継者不足で黒字経営にも関わらず廃業を余儀なくされる企業が、近年増加傾向にあります。
製造委託先が廃業すると、「製品の供給が途絶える」「製品の納期が遅延する」などさまざまなリスクが生じます。それにより考えられるリスクをまとめてみました。
新たな製造委託先がすぐに見つからないリスク
製造委託先が突然廃業してしまい、急いで代替企業を開拓しようと思っても、すぐには最適な企業が見つからないものです。運よく代替企業が見つかったとして、なんとか納期に間に合わせようとしても、製品の品質が落ちたり、足元を見られ高額な費用を請求されたり、その上、納期に間に合わない...といった問題が生じる場合もあります。
自分たちにとって重要なパートナーとなる、新たな製造委託先を探すには時間がかかります。製造委託先が見つからないことにより顧客への納品がスムーズに行えなくなれば注文数が減少し、最悪の場合は他企業に乗り換えられてしまうなどというリスクも考えなければなりません。
製品の供給が途絶えるリスク
製造委託先が廃業すると、新たに委託先を探さなければなりません。代替企業がなかなか見つからなかったり、見つかっても連携がスムーズにできなかったりすると、製品の供給が途絶え、自社の生産ラインを一時的に停止しなければならないという自体が発生します。
納期遅延のリスク
製造委託先からの製品の供給が途絶え、自社の生産ラインが停止してしまうことで、顧客への納期遅延が発生する可能性が高くなります。納期遅延は顧客からの信頼を失うだけでなく、トラブルの原因にもなります。最悪の場合は債務不履行に基づく損害賠償責任を負うこともあります。
品質低下のリスク
製造委託先が廃業し新たな委託先に製造を委託した際に、納入されてくる製品の品質が低下するといった問題が生じることがあります。扱う資材の質の変化や技術や能力の違い、コミュニケーション不足による認識の違いなどが理由にあげられます。
コストの増加
急な委託先変更による短納期での作業や、コミュニケーション不足による作業内容の認識の違いなどから、コストが一時的に増加することがあります。
資金繰り悪化のリスク
製造委託先が廃業し代替企業が見つからなければ、自社の受注も減少する可能性があります。また、代替企業が見つかったとしても、先で述べたように、今までよりも発注コストが増加する可能性があります。その結果、急速な資金繰りの悪化に繋がります。
新たな製造委託先との関係の構築
製造委託先がとの関係が長ければ長いほど、お互いのことを理解し、スムーズに連携がとれていたに違いありません。また、長年の関係の中で製造委託先にはさまざまノウハウが蓄積され、それらは作業工数や作業コスト、製品の品質にも大きな影響を与えていたはずです。
製造委託先が廃業した際に、同じ条件で引き受けてくれる企業を見つけるのは容易ではないことを覚えておきましょう。
いざというときのために今からできる対策とは?
以上のように、製造委託先が廃業するとさまざまなリスクが生じます。いざというときに困らないためにも今から対策しておきましょう。
新しい製造委託先を探す
製造委託先の廃業の通知を受けてから、慌てて代替企業を探すのでは間に合いません。
突然の委託先廃業により、自社の生産ラインへの影響を最小限に抑えるためには、現在の製造委託を継続しながら新たな委託先の確保を進めることが重要です。
現在の製造委託先といい関係を保ちつつ、早い段階から信頼できる製造パートナー探しを開始し、お試しをしながら、自社に合った委託先候補を見つけておきましょう。
実際に、新規製造委託先を探すにはどうしたら良いでしょうか。代表的な方法を以下にまとめました。
既取引企業への振り替え
既に取引のある企業に追加で製造を依頼すれば、スムーズに業務移管できるメリットがある反面、取引先のリソースにより納期などに影響する可能性があります。
現在の製造委託先(廃業先)からの紹介
現在の製造委託先の廃業が既に明らかになっているのであれば、そこから紹介をしてもらうのも一つの方法です。
廃業先が迷惑をかけまいとして積極的に紹介をしてくれたり、業務移管の際もスムーズに移管できるよう協力してくれたりするかもしれません。
同業者からの紹介
同業者と繋がりがある場合、そこから紹介してもらうのもよいでしょう。
同業者からの紹介ならば、自社が求めるニーズに適している可能性が高いですし、紹介元と既に信頼関係のある企業ということで、自社との信頼関係も構築しやすいかもしれません。
反面、場合によっては紹介元との関係を悪くする可能性もあるので注意が必要です。
電話やホームページなどから問い合わせをする
自社のニーズに合いそうな候補企業を見つけ出し、そこへ直接電話をしたり、ホームページから問い合わせをしたりします。探すのも問い合わせをするのも、全て自力で行わなければならないため、時間や手間がかかります。
交流会や展示会などへの参加
企業や自治体が開催する「交流会」や「展示会」などに参加し、その場で知り合った企業担当者と名刺交換や情報交換などを行い、新規製造委託先を探します。
お互いのニーズが合えば、その場で商談に進むこともありますが、一般的に交流会や展示会は、時間や場所、人数制限など、何かと制約があり、参加することが難しい場合があります。
新規取引先開拓に役立つサービスの活用
新規取引先開拓に役立つサービスとして、ビジネスマッチングサービスがあります。
インターネット上で希望条件を設定すれば、条件に合う企業と出会うことができます。忙しい合間にも効率的に探すことができるので、近年、中小企業・小規模事業者に注目されています。
製造委託先探しにおすすめ!「ゲンバトエンムスビ」のご紹介
山善では、製造業に特化したビジネスマッチングサービス「ゲンバトエンムスビ」を提供しています。
ゲンバトエンムスビとは?
「ゲンバトエンムスビ」は、案件を依頼したい企業と依頼を受けたい企業の出会いをサポートする製造業向けビジネスマッチングプラットフォームです。
案件を依頼したい企業は、「公募機能」を利用し課題を公募することで、多くの企業から提案を募ることができます。インターネット上のサービスなのでエリアの縛りがなく、広いエリアに募集をかけることができるので、商談に地理的な制約がありません。
また、「企業検索機能」を利用すれば、幅広い検索軸から、自社のニーズにマッチする企業をスピーディに探すことができます。今すぐの案件がなくても、どのような企業があるのかリサーチし、今から製造委託先候補をリストアップしておくのもよいでしょう。
ゲンバトエンムスビを利用するメリット
- 自社のニーズと合う企業を効率よく探すことができる
- 新規製造委託先を探すためのリソース不足を解消できる
- ものづくりに70年以上携わってきた山善が提供するビジネスマッチングプラットフォームだから信頼感がある
- 今なら無料で利用できる(※2025年6月末まで)
まとめ
日本の少子高齢化は深刻で、近年、多くの中小企業・小規模企業が廃業リスクに直面しています。
製造委託先の突然の廃業で自社の経営に影響が出ないよう、早い段階から新たな委託先の確保を進めておくことが重要です。新規製造委託先を探すにはさまざまな方法がありますが、効率よく探したい場合は、「ゲンバトエンムスビ」のようなビジネスマッチングプラットフォームの利用もおすすめです。いざというときに問題が起きないよう、今から備えておきましょう。
(*1)参考:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
(*2)参考:中小企業庁 中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題(2019年版)