【2024.3月】事業再構築補助金について詳細解説
第11回公募では、第10回から導入された新しい枠組みが継続され、「成長枠」「産業構造転換枠」などの申請枠で支援が実施されます。ポストコロナ時代を見据えた事業再構築に挑戦する中小企業の支援を通じて、日本経済の構造転換を促進する本補助金の概要を解説します。
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事業再構築補助金の概要
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
第10回目から枠の変更・追加など以前と内容も大幅に変更なり、ポストコロナ社会を見据えた未来社会を切り拓くための取組が重点的な支援対象となります。第12次公募以降に関しましては、従前の取組の⾒直しを⾏った上で公募を再開する予定となっています。
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事業再構築補助金の公募内容
第10次公募からの変更点とは?
事業再構築補助金は10次公募から内容が変わり、主に下記の様な変更点があります。
- 「通常枠」が廃止され、市場規模が10%以上拡大する業種・業態への転換を支援する「成長枠」が新設されました。
- 海外で製造する部品等の国内回帰を進める事業者(製造業)を対象とする「サプライチェーン強靭化枠」が新設されました 。
- 市場規模が10%以上縮小する業種・業態からの転換を支援する「産業構造転換枠 」が新設されました 。
- 「成長枠」を含めたいくつかの申請枠で、申請要件として賃上げ要件が課されます。
- 事前着手申請が可能な申請枠は「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」のみとなります。
※第11回公募ではサプライチェーン強靭化枠の公募はございません。
ただし「みなし大企業」(発行済株式の総数又は出資金額の2分の1以上が同一の大企業の所有に属している法人など)は対象外です。
対象事業
指針において、「新市場進出(新分野展開、業態転換)」、「事業転換」、「業種転 換」、「事業再編」又は「国内回帰」の5つを指し、本事業に申請するためには、これら5つのうち、いずれかの類型に該当する事業計画を認定支援機関と策定することが必要となります。
「新市場進出」の例(製造業の場合)
航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手し、5年間の事業計画期間終了時点で、医療機器部品の売上高が総売上高の10%(又は総付加価値額15%)以上となる計画を策定。
「事業展開」の例(製造業の場合)
プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定。
「業種転換」の例(製造業の場合)
コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し、5年間の事業計画
期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画を策定。
「国内回帰」の例(製造業の場合)
半導体製造装置関連の大企業(取引先)が、海外サプライチェーンを見直し、生産を国内回帰させるため、従来海外の取引先に依頼していた部品について、国内調達に切り替えるため、国内事業者(申請者)に生産要請。依頼を受けた中小企業(申請者)が、新たに日本国内に生産拠点を新設し、3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%(又は総付加価値額の15%)以上を占める計画を策定。
対象者
中小企業、中堅企業(資本金10億円未満、等)
予算額
予算額として、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予
算で6,123億円、令和4年度予備費で1,000億円、令和4年度第2次補正予算で
5,800億円が計上されています。
補助上限額
【成長枠 】
中小企業者等、中堅企業等ともに
- [従業員数20人以下] 2,000万円
- [従業員数21~50人] 4,000万円
- [従業員数51~100人] 5,000万円
- [従業員数101人以上] 7,000万円
【グリーン成長枠(エントリー)】
- [従業員数20人以下] 4,000万円
- [従業員数21~50人] 6,000万円
- [従業員数51人以上] 8,000万円
-
中堅企業 1億円
【グリーン成長枠(スタンダード)】
- 中小企業 1億円
- 中堅企業 1.5億円
【産業構造転換枠】
中小企業者等、中堅企業等ともに
- [従業員数20人以下] 2,000万円
- [従業員数21~50人] 4,000万円
- [従業員数51~100人] 5,000万円
- [従業員数101人以上] 7,000万円
※廃業を伴う場合は、廃業費を最大2,000万円上乗せ
【最低賃金枠】
中小企業者等、中堅企業等ともに
- [従業員数5人以下] 500万円
- [従業員数6~20人] 1,000万円
- [従業員数21人以上] 1,500万円
【物価高騰対策・回復再生応援枠 】
中小企業等、中堅企業等ともに
- [従業員5人以下] 1,000万円
- [従業員6~20人] 1,500万円
- [従業員21~50人] 2,000万円
- [従業員51人以上] 3,000万円
【サプライチェーン強靱化枠 】
- 中小企業等、中堅企業等ともに5億円
※建物費を含まない場合、 3 億円
補助上限額
【成長枠 】
- 中小企業者等 1/2
- 中堅企業等 1/3 ※大規模賃上げにより
- 中小企業 2/3
- 中堅企業 1/2に引上
【グリーン成長枠(エントリー)】
中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3 ※大規模賃上げにより
中小企業 2/3
中堅企業 1/2に引上
【グリーン成長枠(スタンダード)】
- 中小企業者等 2/3
- 中堅企業等 1/2
【産業構造転換枠】
- 中小企業者等 2/3
- 中堅企業等 1/2
【最低賃金枠】
- 中小企業者等 3/4
- 中堅企業等 2/3
【物価高騰対策・回復再生応援枠 】
- 中小企業者等 2/3(一部3/4※)
- 中堅企業等 1/2(一部2/3※)
【サプライチェーン強靱化枠 】
- 中小企業等 1/2
- 中堅企業等 1/3
(※1)従業員数 5 人以下: 400 万円、 6 〜 20 ⼈ 600 万円、 21 〜 50 ⼈ 800 万円、 51 ⼈ 以上: 1,200 万円までは3/4
(※2)従業員数 5 人以下: 400 万円、 6 〜 20 ⼈ 600 万円、 21 〜 50 ⼈ 800 万円、 51 ⼈ 以上: 1,200 万円までは2/3
各申請枠の要件の詳細は上記の公募要領をご確認お願い致します。
補助対象経費の例
- 建物費(建物の建築・改修、建物の撤去、賃貸物件等の原状回復、貸し工場・貸店舗等の一時移転)
- 機械装置・システム構築費(設備、専用ソフトの購入やリース等)、クラウドサービス利用費、運搬費
- 技術導入費(知的財産権導入に要する経費)、知的財産権等関連経費
- 外注費(製品開発に要する加工、設計等)、専門家経費 ※応募申請時の事業計画の作成に要する経費は補助対象外。
- 広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
- 研修費(教育訓練費、講座受講等
まとめ
事業再構築補助金は、製造業、特に金属加工分野において新たな挑戦を支援する強力な制度です。申請にはしっかりとした準備と計画が必要ですが、自社の強みを活かした事業再構築の提案、明確な数値目標の設定、具体的な実施計画の策定が重要です。
また、事業再構築補助金だけでなく、他の補助金制度も併せて検討することで、より効果的な事業展開が可能となります。
補助金を活用して、新規分野への参入や既存事業の転換などを模索されている方、補助金の申請に不安がある方、ぜひ私たちにお問い合わせください。
参考文献
資料:事業再構築補助金のリーフレット(経済産業省)
資料:事業再構築補助金の概要(令和5年8月31日更新 経済産業省)
資料:事業再構築指針の手引き(令和5年3月30日更新 経済産業省)
資料:「事業再構築補助金」11次公募要領(経済産業省)
資料:「事業再構築補助金」11次公募採択結果一覧 NEW!