【2025.1月】 製造業における事業再構築補助金活用とは
製造業に携わる方々の中には、コロナ禍で売上が大きく減少し、今後の事業展開に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。新規事業に挑戦したいけれど資金面でのリスクが心配、あるいは競争力強化のために設備投資をしたいもののなかなか踏み出せない、そんな課題を抱えている企業も少なくありません。
製造業、特に金属加工分野において、事業再構築補助金は新たな事業展開や技術革新を支援する重要な制度です。この補助金を活用することで、そうした課題を解決し、新たな可能性を切り開くチャンスがあります。
本記事では、この補助金の概要や具体的な活用方法、注意点などを詳しく解説します。
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事業再構築補助金とは?製造業での活用事例と概要
事業再構築補助金は、ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために 中小企業等の事業再構築を支援するための補助金制度です。
製造業での活用事例としては、以下のようなものがあります。
- 自動車部品メーカーが医療機器部品製造に進出
- 金属加工技術を活かした再生可能エネルギー関連部品の製造開始
- 従来の切削加工から3Dプリンティング技術への移行
これらの事例は、既存の技術や設備を活かしながら、新たな市場や製品分野に挑戦する取り組みを示しています。例えば、長年培ってきた金属加工技術を基盤に、最新の3Dプリンティング設備を導入することで、生産性を向上させつつ新市場への参入を果たすことができます。また、既存設備をアップグレードすることで、人手不足を解消しながら効率的に新分野へ挑戦することも可能です。
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第13回公募 事業再構築補助金の概要
前回の事業再構築補助金からの主な変更点
新規応募の最終受付
事業再構築補助金の新規応募申請の受付は、第13回公募で終了となります。
ラストチャンスということで前回までと比較し、多くの企業の応募が見込まれるため、低採択率になる可能性が高いです。
事前着手制度の原則廃止
第12回公募からの継続で、第11回公募まで認められていた事前着手制度が、原則廃止されました。
これにより、これまで認められていた交付決定前の事業開始が、原則としてできなくなりました。この変更に伴い、多くの申請者は補助金の交付決定を受けてから事業を開始する必要があり、申請から事業開始までの期間が長くなる可能性があります。
一部の申請枠の廃止
第12回公募まで5つあった事業類型のうち、「コロナ回復加速化枠(通常類型) 」「サプライチェーン強靱化枠」の2つが廃止されました。
事業再構築補助金の申請枠と補助金額
事業再構築補助金には3つの事業類型があります。
- 成長分野進出枠(通常類型)
- 成長分野進出枠(GX進出類型)
- コロナ回復加速化枠(最低賃金類型)
事業類型 |
補助金額 |
補助率 |
---|---|---|
成長分野進出枠 (通常類型) |
【20人以下】100万円~1,500万円(2,000万円) 【21~50人】100万円~3,000万円(4,000万円) 【51~100人】100万円~4,000万円(5,000万円) 【101人以上】100万円~6,000万円(7,000万円) |
中小企業:1/2(2/3) 中堅企業:1/3(1/2) |
成長分野進出枠 (GX進出類型) |
中小企業 【20人以下】100万円~3,000万円(4,000万円) 【21~50人】100万円~5,000万円(6,000万円) 【51~100人】100万円~7,000万円(8,000万円) 【101人以上】100万円~8,000万円(1億円) 中堅企業 100万円~1億円(1.5億円) |
中小企業:1/2(2/3) 中堅企業:1/3(1/2) |
コロナ回復加速化枠 (最低賃金類型) |
【5人以下】100万円~500万円 【6~20人】100万円~1,000万円 【21人以上】100万円~1,500万円 |
中小企業:3/4 中堅企業:2/3 |
※()内は短期に大規模な賃上げを行う場合
同一法人・事業者での各事業類型への応募は、1回の公募につき1申請に限ります。申請後の事業類型の変更はできませんので、申請の際には十分にご検討ください。
事業再構築補助金の要領
事業再構築補助金の主な要件と補助対象経費は以下の通りです。
-
「事業再構築」の定義に該当する事業であること
新市場進出、事業転換、業種転換、事業再編、国内回帰、地域サプライチェーン維持・強靱化のいずれかを行う計画であることが前提です。 -
金融機関等または認定経営革新等支援機関と連携した事業計画を策定すること
金融機関から資金提供を受ける場合は、その金融機関による事業計画の確認が必須となります。 -
事業終了後3~5年で以下のいずれかを達成する計画であること
- 付加価値額を年平均3.0%~4.0%以上増加
- 従業員一人当たりの付加価値額を年平均3.0%~4.0%以上増加
- 付加価値額は、営業利益+人件費+減価償却費で算出
補助金の対象となる経費は幅広く設定されており、建物の取得や改修、機械装置やシステムの導入(リースも可能)、技術導入、専門家への相談、運搬、クラウドサービスの利用、外注、知的財産権の取得、広告宣伝、従業員研修、さらには廃業に関する費用まで含まれます。
例えば、製造業の方であれば、5軸マシニングセンタのような高度な工作機械を導入して、これまでにない複雑な形状の部品加工に挑戦し、新しい分野に進出するといった計画も、補助金の対象として認められる可能性が高いでしょう。
専門家への相談費用や従業員の研修費用も補助の対象になりますが、日常の業務研修や、事業計画に直接関係のない支出は対象外となりますのでご注意ください。
第13回公募事業再構築補助金のスケジュール
公募期間は、以下のスケジュールと想定さ入れます
- 公募開始:令和 7年 1月 10日(金)
- 申請受付:調整中
- 応募締切:令和 7年 3月 26日(金)18:00
参考資料:事業再構築補助金 公募要領(第13回)
事業再構築補助金の「対象」と「対象外」の取り組み
製造業が対象となる取り組み
製造業では、以下のような取り組みが事業再構築補助金の対象となります:
- 新製品開発:従来の旋盤加工技術を応用して医療機器部品の製造に参入する。
- 新生産方式の導入:最新のCNC工作機械や3Dプリンタを導入し、多品種少量生産体制を構築する。
- 新市場開拓:自動車部品製造の技術を活かし、航空宇宙産業向け部品製造に進出する。
例えば、以下のようなケースが補助金の対象となる可能性があります。
設備導入例 |
事業再構築の内容 |
---|---|
5軸マシニングセンタ |
複雑形状部品の一体加工による新分野進出 |
レーザー加工機 |
従来の切削加工から非接触加工への転換 |
ロボット自動化システム |
24時間稼働体制の構築による生産性向上 |
※ただし、単なる設備更新は補助金の対象外となりますので、新たな取り組みとの組み合わせが重要です。
対象外となる取り組みと注意点
以下のような取り組みは、事業再構築補助金の対象外となる可能性が高いので注意が必要です:
- 単なる設備更新や能力増強
- 既存製品の製造方法の小さな改善
- 研究開発のみを目的とした投資
- 既存事業の廃止のみを行う場合
- 事業再構築の定義に該当しない事業転換
例えば、古い旋盤を新しい旋盤に置き換えるだけの設備更新や、既存の生産ラインの小規模な改善などは対象外となります。
まとめ
事業再構築補助金は製造業、特に金属加工分野における技術革新と事業転換を支援する重要な制度です。
しかし今回の第13回公募で新規応募の最終受付となるため、補助金活用を検討している企業様は早めの準備と対応が大切なります。また他の補助金制度との併用を検討することで、より効果的な事業展開が可能となります。
私たち山善は、製造業における事業再構築補助金の申請支援の実績が豊富にあります。
補助金を活用したい方、申請手続きにお悩みの方は、ぜひ私たちにお気軽にお問い合わせください。