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【2025.9月】ものづくり補助金2025年最新版|第21次公募の要件と採択のポイントを徹底解説

現在、ものづくり補助金の第21次公募が開始されています。
先日発表された第19次公募の採択率は31.8%と、非常に厳しい状況が続いているのが実情です。

ものづくり補助金は平成24年度補正予算から続く歴史の長い制度ですが、実はここに落とし穴があります。
「以前利用したことがある」という経験が、むしろマイナスに働くケースが増えているのです。
制度のルールや要件が大きく変わっているため、過去の知識のままでは現在の制度を正しく活用できません。

本記事では、第21次公募に向けて、現在のものづくり補助金がどのような制度なのか、どうすれば採択される可能性を高められるのかを詳しく解説します。



この記事の目次[非表示]

  1. ものづくり補助金の現状と第19次公募結果
  2. 申請前に必ず理解すべき4つの基本要件
  3. 対象となる事業の条件|生産性向上だけでは不採択
  4. 第19次公募から見る採択される事業計画の特徴
  5. ものづくり補助金と省力化投資補助金最適な選択の判断基準
  6. 申請における重要な注意点と実務ポイント
  7. まとめ:第21次公募への準備と成功への道筋

ものづくり補助金の現状と第19次公募結果

第19次公募の採択率31.8%という数字は、多くの申請者にとって厳しい現実を突きつけています。
しかし、この状況を正しく理解することで、第21次公募への対策が見えてきます。

採択率が低下している背景には、国の政策方針の大きな転換があります。
従来の「雇用の拡大」や単純な「生産性向上」から、明確に軸足が変わったのです。

現在の補助金制度では、「省力化・省人化」「賃上げ」が重要なキーワードとなっています。
人手不足に悩む企業が多い現状を踏まえ、人が少なくても事業が成長できる体制づくりを支援し、同時に既存従業員の給与向上を強く求めているのが、現在の制度の特徴です。


申請前に必ず理解すべき4つの基本要件

ものづくり補助金には、全ての申請者が満たすべき4つの基本要件があります。
この要件を正しく理解していないと、申請自体ができない可能性があるため、詳細に確認しておきましょう。

付加価値額の増加

これは従来からある要件で、事業によって企業の付加価値額を向上させることが求められます。
付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の年平均成長率(CAGR)を3.0%以上増加させる必要があります。

賃金の増加

この要件では、以下のいずれかを選択する必要があります:

選択肢A:給与支給総額を年率平均2.0%以上増加
人員が増えれば達成しやすい一方、定年退職などで人員が減少すると達成が困難になります。
従業員数の変動が少ない企業に適した選択肢といえるでしょう。

選択肢B:従業員一人当たりの給与支給総額の年平均成長率を、
     事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上増加

人員数に関係なく達成できる一方、全従業員への賃上げが必要となります。
定年退職などで人員が減少する企業や、人材採用が困難な企業に適した選択肢といえるでしょう

また、未達成の場合は返還義務があります。

事業所内最低賃金水準の引き上げ

事業場内最低賃金を地域別最低賃金より毎年30円以上高い水準にする

申請時点ではなく、合格後に達成すればよい要件です。ただし、注意が必要なのは政府の方針です。
2029年までに全国加重平均の最低賃金を1500円にするという目標が掲げられており、今後数年間は毎年大幅な最低賃金上昇が見込まれます。

つまり、毎年上昇する地域別最低賃金に、さらに30円を上乗せした水準を達成し続けなければなりません。
都心部の企業にとっては影響が少ないものの、地方の企業にとっては相当な負担となる可能性があります。

こちらも未達成の場合は、返還義務があります。

従業員の仕事・子育て両立支援

従業員21名以上の企業では、「くるみん認定」または「えるぼし認定」の取得に向けた一般事業主行動計画を策定し、公表することが申請の前提条件となります。

ここで特に注意したいのは、これが加点項目ではなく必須要件である点です。
申請時に未対応の場合は申請自体ができません。
計画の策定と公表には約1ヶ月程度の期間を要するため、早めの準備が欠かせません。

対象となる事業の条件|生産性向上だけでは不採択


現在のものづくり補助金で最も重要なポイントがこちらです。
単なる「生産性向上」や「精度向上」を目的とした設備投資は対象外となっています。

この補助金は、あくまで「革新的な新製品・新サービスの開発」を伴う取り組みに限定されています
「革新的」の定義も厳格で、自社にとって新しいだけでは不十分です。
「同一地域内の同業他社において、相当程度普及していない」ことが求められます。

つまり、地域市場にとっての新規性が必要なのです。
申請にあたっては、自社の事業領域や地域における市場調査を行い、競合他社が同様の取り組みを行っていないことを客観的なデータで示すことが不可欠です。
例えば、既存の機械を新しいものに入れ替える単純な更新作業は、どれだけ性能が向上しても対象外となります。
今までは作れなかった新しい製品や、提供できなかった新しいサービスを生み出すための設備投資でなければならないのです。

第19次公募から見る採択される事業計画の特徴

第19次公募で採択された事業計画を分析すると、いくつかの共通点が浮かび上がってきます。

採択されやすい申請書の5つのポイント

1.具体的な計画

事業期間中に何を行い、どのような効果を生むのかを具体的に記述する必要があります。抽象的な表現では評価されません。

2.客観的な自己分析

自社の強みだけでなく、弱みや課題を明確に分析することが重要です。
弱みを隠すのではなく、その課題を解決するためにこの補助金が必要だという論理構築が求められます。

3.革新性と差別化

市場における新規性や優位性を明確に示さなければなりません。

4.自社技術の活用

全くの新規事業ではなく、自社が持つ既存の技術やノウハウを活かした発展的な取り組みであることが前提です。

5.市場分析と販売戦略

誰に、どこで、いくらで、どのように売るのか。
製造業は「作る」ことは得意でも「売る」戦略が弱い傾向があるため、この点は特に重点的に記述する必要があります。


頻出キーワードから見る傾向

第19次公募で採択された事業計画には、「AI」「DX」「SaaS」「MA(マーケティングオートメーション)」といったキーワードが頻繁に登場しています。

これは偶然ではありません。
現在の補助金制度が、単なる機械の導入ではなく、デジタル技術を活用した事業変革を強く後押ししていることの表れです。
今後の申請を検討するなら、これらの要素を自社の事業計画にどう組み込むかが重要になります。

業種別では製造業の採択が多い傾向にありますが、新「サービス」開発という切り口であれば、様々な業種で採択の可能性があります。
既存の技術と既存の業態を組み合わせることで、新たなサービス価値を創造できれば、十分に評価されるのです。


ものづくり補助金と省力化投資補助金
最適な選択の判断基準

ここで重要なのが、補助金選択の判断基準です。

事業計画が「生産性向上」を主目的とするものであれば、ものづくり補助金ではなく「省力化投資補助金」の活用を検討することをお勧めします。

省力化投資補助金の優位性

省力化投資補助金は、生産性向上や業務プロセスの改善を目的としており、採択率が約7割とものづくり補助金に比べて格段に高くなっています。

対象となる設備は「IoTやロボット、デジタル技術を活用した設備」または「オーダーメイド設備」に限られますが、ここに重要なポイントがあります。

複数の汎用設備を組み合わせて導入することで、全体として一つのシステムとして機能し、高い省力化効果を生む場合、それは「オーダーメイド設備」と見なすというルールです。

実際に、複数の汎用調理機器を組み合わせて食品製造の自動化ラインを構築した事例などが採択されています。
このように、複数設備の組み合わせにより、ものづくり補助金に近い形で活用できる可能性があります。

適切な補助金選択の重要性

補助金活用で最も避けるべきなのは「決め打ち」です。
「この事業だからこの補助金」と短絡的に考えるのは危険といえます。

補助金にはそれぞれ細かい要件があり、事業の目的や企業の財務状況によって、最適な補助金は異なります。
国の補助金だけでなく、自治体独自の補助金も含めて検討する必要があるでしょう。

申請における重要な注意点と実務ポイント

交付決定後発注の絶対ルール

現在、ほとんどの補助金において事前着手は認められていません。
ものづくり補助金も含め、必ず「交付決定」の通知を受けた後に、設備の発注や契約を行う必要があります。
交付決定前に発注したものは、全て補助対象外となりますので厳重な注意が必要です。

専門家相談の重要性

補助金制度は非常に複雑で、ルールも頻繁に変わります。
過去の経験が通用しないことも多いため、専門家や信頼できる認定支援機関への相談が採択への近道となります。

採択後の義務も考慮に入れる

補助金は採択されて終わりではありません。
計画通りに賃上げなどを実行し、その状況を毎年報告する義務が生じます。
計画が達成できなければ、補助金の返還を求められる可能性もあるのです。

本当にその補助金に申請すべきか、採択後の義務を果たせるかどうかも含めて、慎重に検討することが重要です。

まとめ:第21次公募への準備と成功への道筋



ものづくり補助金の第21次公募は現在進行中です。
採択率31.8%という厳しい状況ではありますが、適切な準備と戦略により、採択の可能性を高めることは十分可能です。

重要なのは、4つの基本要件を確実に理解し、特に従業員21名以上の企業では事前の行動計画策定を忘れないことです。
そして、単なる設備更新ではなく、革新的な新製品・新サービス開発という視点で事業計画を構築することが求められます。

また、自社の目的に応じて省力化投資補助金という選択肢も検討し、最適な制度を選択することが成功への第一歩となるでしょう。

ものづくり補助金は、中小企業が新たな挑戦をするための強力な支援制度です。
しかし、採択されるためには、要件を満たすだけでなく、革新性や実現可能性をしっかりとアピールする必要があります。

本記事で紹介した要件や採択のコツを参考に、計画書の作成に取り組んでみてください。
また、他の補助金との比較や選び方について別資料にて詳しく解説しますので、ぜひご覧ください。

\ 他の補助金との比較については、こちらの記事をご覧ください。 /


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