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【8月度 業界トピック】工作機械最新技術まとめ~高精度・自動化で生産性革命~

今月は、来たるJIMTOF2026の開催概要や半導体製造装置市場の最新予測、そして高精度化・自動化・省エネを実現する最新鋭の工作機械群をご紹介します。
私たちのものづくり現場が直面する課題解決に直結する内容といえるでしょう。
ビジネス戦略や設備投資のご検討に、少しでもお役立ていただければ幸いです。

この記事の目次[非表示]

  1. JIMTOF2026開催概要、月~土曜開催 動員13万人目指す
  2. 日本製半導体製造装置の販売高予測、25年度は2%増の4兆8千億円
  3. メーカー新製品情報
    1. ソディック、オールセラミック製ワイヤ放電加工機
    2. 村田機械、レーザー切断×切削の複合加工機
    3. 中村留精密工業、スピード特化の3タレット複合旋盤
    4. ヤマザキマザック、板金加工や付帯作業まで全自動化
    5. 松浦機械製作所、新パレットシステム搭載の5軸マシニングセンタ
  4. まとめ

JIMTOF2026開催概要、
月~土曜開催 動員13万人目指す

2026年10月26日(月)から31日までの6日間、日本を代表する工作機械見本市であるJIMTOF2026が「果てなき高度へ羽ばたく技術」をテーマに開催されます。今回展から月曜から土曜までの開催へと変更される点は、現代のビジネス形態に沿った日程になったといえます。
日本工作機械工業会(日工会)の柚原専務理事は、国内外の有力メーカーが最新の機械や先端技術を披露し、ユーザーの競争力強化に繋がるソリューションを展示することで、ビンテージ設備の更新を後押ししていきたいと説明しています。

一方で、東京ビッグサイトの大規模改修に伴い、東4、5、6ホールが会期中は使用不可となるため、展示スペースの効率的なレイアウトが求められます。
過去2回設けられていたAM(積層造形)エリアは無くなる見込みですが、目標来場者数は13万人とされ、展示面積の制約がありながらも、多様で魅力ある展示会の実現を目指しています。

日本製半導体製造装置の販売高予測、25年度は2%増の4兆8千億円

日本半導体製造装置協会(SEAJ)がまとめた需要予測によると、2025年度の日本製半導体製造装置の販売高は前年度比2%増の4兆8634億円に達する見込みです。
台湾ファウンドリーによる2ナノメートル(GAA)投資の本格化や、HBMを中心としたDRAM投資の底堅さが主な要因で、
生成AI関連の設備投資が市場をけん引しており、1月時点の予測から2000億円以上も上方修正されています。

2026年度には台湾以外の地域でも2ナノメートル投資が始まり、販売高は10%増の5兆3498億円まで伸びる見込みです。2027年度も3%増の5兆5103億円と予測され、世界半導体市場全体も2030年には1兆ドル市場への到達が予想されています。
この市場成長について、製造装置市場も同様、中期的に高い成長が見込まれるとされています。


メーカー新製品情報

ソディック、オールセラミック製ワイヤ放電加工機


ソディックのワイヤ放電加工機「EXC100L+」は、オールセラミック製のリニアモーター駆動で最小駆動単位0.01マイクロメートルの極めて高い寸法精度を実現。
AI需要を背景とした光通信ネットワーク向けの電子部品や半導体、医療機器など高精密加工分野での活躍が期待されます。
加工液処理の最適化により従来機比最大25%の電力削減も達成し、ナノ領域の高精度と省エネ性を両立する製品となっています。

村田機械、レーザー切断×切削の複合加工機


村田機械の複合加工機「LS3015MC」は、フライングオプティクス方式レーザー加工機に切削機能を付加し、中厚板材料の加工を1台で完結できる点が強みです。
最大16ミリ厚までのドリル・タップ・深ザグリ・皿ザグリ加工が可能で、20本工具自動選択のATC搭載により段取り不要を実現。
50キロ可搬ベンディングロボット「MBRS」との組み合わせで、直感的操作による曲げ加工自動化と省人化を推進します。

中村留精密工業、スピード特化の3タレット複合旋盤


中村留精密工業の複合旋盤「NT3Y-150V」(2026年初頭発売予定)は、上下3タレットと対向2スピンドルでL/R・上下同時加工で素早い生産を実現。
独自のアイドルタイム短縮ソフト「クロノカット」により加工サイクルタイムを従来比30%短縮する性能を発揮します。
剛性を高めた新設計主軸と熱変位抑制フレーム構造で、高切削条件での安定加工と生産リードタイム短縮を実現します。

ヤマザキマザック、板金加工や付帯作業まで全自動化


ヤマザキマザックの「MAZAK LASER FA SYSTEM」は、素材供給からレーザー・タップ加工、仕分けまで板金加工を自動化するシステムです。
自動仕分けセルは教示レスで多様な形状の製品を処理でき、ネスティングデータと重心位置情報に基づくロボットハンド制御が特徴。
20キロワット新型高出力発振器搭載ファイバーレーザー加工機との組み合わせで、厚板加工での高速・高品質切断を実現します。


松浦機械製作所、新パレットシステム搭載の5軸マシニングセンタ


松浦機械製作所の新タワーパレットシステム「PC7」は、フロア面積をほぼ維持しつつパレット枚数を4枚から7枚に増加。
このシステムを搭載した5軸立形マシニングセンタ「MX-520 PC7」と5軸複合マシニングセンタ「MX-520T PC7」の販売も開始されており、パレット枚数の増加により生産効率化と自動化のさらなる向上が期待できます。
スペース増は従来比わずか80ミリの中、3枚多いパレット収納を実現し、切りくず処理性能とメンテナンス性も強化。
長時間無人運転ニーズに応え、直感的な操作感を叶える設計となっています。

まとめ

今月の「Mono Que」注目記事からは、来るJIMTOF2026での最新技術の披露、そして生成AI関連投資に牽引される半導体製造装置市場の力強い成長といった、ものづくり業界の活気ある動向が鮮明に見えてきます。
また、各メーカーの新製品に共通して見られるのは、ナノ領域での高精度加工、板金加工の全自動化、サイクルタイムの劇的な短縮、複数工程の複合化による省スペース・省リードタイム、そして省スペースでの長時間無人運転といった、生産現場の喫緊の課題に応える技術革新です。

これらの最新動向や革新的な設備は、私たち製造業が直面する「人手不足」「生産性向上」「コスト削減」「品質競争力強化」といった多岐にわたる課題を解決するための強力なソリューションとなるといえます。
特に、自動化・省人化技術の進化は、限られたリソースの中で最大の成果を生み出す上で不可欠な要素です。
私たちはこれらの先端技術を積極的に取り入れ、変化する市場ニーズに対応することで、持続的な成長と競争力の強化を目指していくべきでしょう。


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