
【12月度 業界トピック】省スペース化と自動化の最前線
今月は、製造現場が直面する「省スペース化」と「自動化・省人化」という二大テーマに対し、具体的な解決策を提示する革新的な技術の話題が多く見られました。
特に、工作機械の小型化と工程集約による高効率化、そしてこれまで自動化が困難とされてきた段取り替え作業をロボット技術で解決する、といった、現場の生産性を飛躍的に高める取り組みが目立っているといえます。
私たち「もの研」も、こうした最新情報を活用し、皆様の現場改善に役立つ具体的なヒントを提供してまいります。
オークマ、複合機を4割省スペース化
近年、医療機器やEV、ロボットといった分野で、中・小物部品の小型・高機能化が加速しています。
同時に、チタンなどの難削材の採用も進む中、高い精度と切削性能を維持しながら、いかに工場スペースを有効活用するかが重要になっています。
オークマが開発した小型複合加工機「MULTUS U1000/U2000」は、従来機(U3000)と比較して設置面積を41%も縮小し、クラス最小レベルの省スペースを実現している点が大きな注目ポイントです。
この複合加工機は、機械幅を抑えつつも、多品種生産に対応できるよう工具収容本数を従来機比2倍の80本とする大容量ATCマガジンを標準装備しており、作業者の工具交換頻度を最小化することで高い生産性を実現します。
さらに、機械前面がフラット構造になっているため、ロボットを最大限近づけて配置でき、コンパクトな自動化セルの構築に貢献します。
特に、中・小物部品の加工においては、所要床面積を最小化しつつ加工領域を最大化できるため、限られたスペースでも高い生産性を発揮したい工場には非常におすすめできるソリューションになります。
知能化技術による5軸加工の安定維持やAIによる故障防止機能も搭載されており、長時間安定稼働による生産ロス削減も期待できるといった特徴があります。
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マザック、中径パイプ・形鋼高速切断
現在、自動倉庫やデータセンターのラック、建機、農機、建築物のトラスといった幅広い用途で、中径パイプの加工需要が大きく伸びているという業界動向が見えてきます。
この需要に対応するため、ヤマザキマザックが発売した3次元ファイバーレーザー加工機「FT-250」は、φ254までの中径パイプや、I形鋼、H鋼などの各種形鋼に高速で対応できる点が特徴的です。
この機械の生産性向上ポイントは、材料を動かすのではなく、U軸を備えたヘッドが左右に動く構造になっていることにあります。これにより、材料移動に伴う振動や位置ズレがなく、非常に高速かつ高精度な加工が可能になります。
さらに、新しいモデルではU軸とX軸を同時に動かせるようになり、加工速度がさらに向上しました。
また、工程集約と自動化の両立も実現しています。量産向けのバンドル式ローダー標準搭載に加え、多品種少量生産向けには形状の異なる材料を収容できるローダーもオプションで搭載可能です。
オプションの回転工具ユニットを活用すれば、タップ加工(M16まで、軟鋼はM20まで)も可能となり、後工程を削減できるというメリットも見逃せません。
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工作機械の爪交換もケレ交換もロボットで
人手不足が深刻化する製造現場において、工作機械の段取り替えの自動化は長年の課題でした。
特にチャックメーカーである松本機械工業が、自らロボットSIer(システムインテグレーター)として参入し、工作機械周辺の自動化に挑んでいるのは非常に画期的な動きといえます。同社のユニークな自動化システムは、段取り作業における生産性・効率性の向上に直結します。
具体的なメリットとして、まず「ハイブリッドチャック」が挙げられます。
これは、同一チャックでコレットを介して最小φ4の小径ワークから、通常の円盤材まで把持できる世界初の構造で、段取り替えの効率を飛躍的に向上させます。
また、3つ爪を面板ごと一気に交換する「オートジョーチェンジチャック」は、従来の交換方式と比べサイクルタイムを圧倒的に短縮できるという効果が期待できます。
さらに驚くべきは、ロボットによる高精度なワーク挿入を、力覚センサーを使わずティーチングだけで実現している点です。
加えて、高精度が求められ自動化が遅れていた円筒研削盤についても、ケレ(ワークを回転させる補助具)の自動交換パッケージを業界に先駆けて開発し、ロボットハンドによる多点計測とCNCへのフィードバックにより、初品から良品を出す一品流し自動化も実現可能になりました。
これらの技術は、人が張り付く必要があった工程から解放し、「昼間は作業、夜間は自動化」という「一直24時間」の夜間無人稼働を可能にし、競争力強化に大きく寄与します。
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まとめ
12月のニュースからは、製造業が直面する課題解決へ向けた、メーカー各社の具体的な挑戦の姿勢が強く見えてきます。複合加工機やレーザー加工機といった主力製品の進化は、「高機能化」「高精度化」を維持しつつ「省スペース化」と「工程集約」を実現するという方向性が明確になりました。特に、工場のフットプリント(設置面積)を小さくしながら、生産能力を最大化する技術が主流になっているといえるでしょう。
そして、今回の最も重要なトレンドとして、周辺機器メーカーが主導する「自動化の高度化」が挙げられます。従来、工作機械の自動化を阻んでいた要因の一つである「段取り替え」や、高精度な「計測」といった面倒で手間のかかる作業が、チャックメーカーならではの知見とロボット技術の融合により次々と解決されています。力覚センサーといった高価な技術に頼らずとも、独自の工夫(ショートナットランナーの開発やハイブリッドチャック)で高精度な自動化を達成できるという事例は、私たち製造現場の課題解決において非常に実践的な分析のヒントになります。
製造業の競争力を高めるためには、人手不足を前提とした上で、いかに設備を効率よく稼働させ続けるかが鍵となります。ご紹介したように、夜間無人稼働を可能にする「一直24時間」の実現こそが、労働力不足と生産性向上の両方を解決する具体的な展望です。私たちは、最新設備への投資提案はもちろん、周辺の自動化・省人化装置との連携によって、皆様の現場の最大効率化を共に追求してまいります。
私たちものづくり研究所では、工作機械や周辺機器、自動化・省人化装置など、最新の技術動向や設備導入の成功事例、実務に役立つノウハウを厳選してお届けしています。
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