
【2月度 業界トピック】工具・機械・ロボットの最新動向
今月は、製造現場の永遠の課題ともいえる「切りくず処理」を解決する新工具の登場から、工作機械メーカー大手の連携による巨大な共創拠点の誕生、そして、より身近になった協働ロボットによる検査の自動化まで、現場の生産性を一段引き上げるための具体的なヒントが詰まっています。
オーエスジー、非鉄向け超硬エンドミルにチップブレーカー
非鉄金属、特にアルミニウム合金などの加工においては、その「削りやすさ」ゆえに発生する大量の切りくずが、実は自動化や高能率化の大きな障壁となっています。今回、オーエスジーが発表したチップブレーカ搭載のエンドミルは、この切りくずを細かく分断することで、エアーや切削油剤による除去を容易にした点が最大の注目ポイントです。切りくずが繋がって機械に絡みつく心配が減るため、夜間の無人運転や長時間の連続稼働を検討されている現場にとっては、非常に心強い味方になるはずです。
また、単に切りくずを分断するだけでなく、チップブレーカの角にR(丸み)を付けることで、刃先の欠け(チッピング)を防ぎ、加工面に筋が残るのを抑えている点も、実務的な配慮が光るところといえます。あわせて発表されたCBNボールエンドミル「CBN-FB22」も、金型材料の高硬度化に対応し、高精度な仕上げ加工を長時間維持できる設計になっています。これらは、リードタイムの短縮と品質の安定化という、現場が常に追い求める成果に直結する工具といえるでしょう。
アルミニウムなどの非鉄加工は、EV化の流れなどで需要が高まっていますが、一方で高能率に削れば削るほど切りくずの堆積という「副作用」に悩まされてきました。今回の新製品のように、工具側の進化によって「切りくず処理」という現場の負担を軽減することは、単なる加工効率の向上以上に、省人化の基盤を作るという意味で大きな価値があります。また、DLCコーティングによる耐溶着性の向上は工具寿命の延長にも寄与するため、トータルコストの低減も期待できるでしょう。
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ニデックG、工作機械4社のテクニカルセンター開所
滋賀県栗東市に新たに開所された「テクニカルセンター」は、ニデックグループ傘下の4社(ニデックマシンツール、ニデックオーケーケー、PAMA、TAKISAWA)が持つ約30台もの工作機械を一堂に集めた、国内屈指の技術拠点です。特筆すべきは、この施設が単なる製品展示の「ショールーム」ではなく、すべての機械が稼働可能な状態で常駐の技術者が顧客の課題解決にあたる「共創型」の拠点であるという点です。
例えば、TAKISAWAの旋盤で削った後に、ニデックマシンツールの歯車加工機で仕上げるといった、メーカーの垣根を超えた工程横断的な加工検証がその場で可能になります。従来、複数のメーカーにまたがる設備導入では、ユーザー側で相性や工程の最適化を検討する必要がありましたが、グループ全体でワンストップの提案を受けられるのは、導入を検討する側にとって非常に大きなメリットになります。
業界動向として、今の製造業に求められているのは、単体機の性能以上に「いかに効率的な工程を構築するか」というシステム提案力です。二井谷社長が語るように、脆弱素材の加工や、ホブ盤から研削盤まで揃う歯車加工のトータルソリューションを実機で確認できる環境は、世界的に見ても稀有といえます。さらに、テストカットの精度をその場で確認できる測定体制や、新入社員・技術者の育成を行う「保全教育エリア」が併設されている点も、人材不足に悩む製造業界にとっては非常に魅力的な取り組みです。
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ファナック、協働ロボで検査セルを小型に
ファナックが披露した、3kg可搬の小型協働ロボット「CRX-3iA」を用いた検査セルは、自動化を「省スペース」かつ「低コスト」で実現したいと考えている現場に最適な提案となっています。このセルでは、ワークの外径をマイクロメーターで測り、内径を専用のゲージで合否判定するというシンプルな構成ですが、これまでは作業者が一つずつ手作業で行うのが一般的でした。
注目すべきは、従来の5kg可搬モデルと比べて、システム全体をよりコンパクトに設計できるようになった点です。製造現場では「自動化したいがロボットを置くスペースがない」という悩みが絶えませんが、このサイズであれば、既存の加工機の横に「ちょい足し」感覚で導入することが現実味を帯びてきます。また、昨年の展示会でアピールされた「マグネットベースによる壁付け」といった設置の自由度の高さも、場所を選ばない自動化を後押しする特徴です。
このような単調で繰り返しの多い検査作業は、作業者の疲労や集中力低下によるミスが懸念されますが、ロボットに任せることで安定した品質管理が可能になります。大規模な自動化ラインを組むのはハードルが高い場合でも、こうした小型セルによる「スモールスタート」は、投資回収の面でも現場への馴染みやすさの面でも非常におすすめです。人がより創造的な仕事に集中できるよう、身近なところからの自動化が、今後の競争力を左右する鍵になるのではないでしょうか。
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まとめ
今月のニュースを俯瞰してみますと、工具、機械、ロボットという異なるレイヤーにおいて、共通して「いかに現場のボトルネックを解消し、自動化の障壁を下げるか」という方向性が強く打ち出されていると感じます。
オーエスジーの切りくず対策も、ファナックの省スペース検査も、すべては現場の「人」が本来すべき仕事に集中できる環境を整えるための進化といえます。
また、ニデックグループのテクニカルセンターのような取り組みは、一社だけの技術に頼るのではなく、「技術の連携」によって最適解を導き出す時代になったことを象徴しています。私たち製造業が抱える課題は複雑化していますが、最新の設備や工具、そしてメーカーの垣根を超えたサポート体制をうまく活用することで、生産性の向上はまだまだ可能であるという展望が見えてきます。
変化の激しい時代ですが、こうした最新トレンドを味方につけ、共に強い現場を創っていきましょう。私たちも、皆さまの課題解決を全力でサポートしてまいります。
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