
製造現場の自動化最前線 光伸社長インタビュー
近年、ものづくり現場において自動化ニーズが高まっていますが、一方でハードルが高いと感じる企業も多いのではないでしょうか。
今回はフルオーダーメイドでの自動化装置やFAシステムの製作を手掛ける大阪府八尾市にある株式会社光伸 後藤社長様に自動化に関するインタビューを行いました。
最近は人手不足の解消や職場環境改善だけでなく、企業ブランディングとして自動化に取り組まれる企業もあるというお話もあり、企業が100年先も持続可能であるかどうか"ESG"や"SDGs"という観点からも、今後さらに自動化の流れは加速していくと感じました。今回のインタビューが皆さまの自動化への取り組みのヒントになれば幸いです。
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自動化装置製作の事業概要
多様な業界向け生産設備の提供
――事業内容について教えてください。
自動車や電機・半導体・食品・日用品など多様な業界の製造工場向けに生産設備を提供しています。搬送、組立、検査、洗浄などあらゆる工程の自動化装置やロボットシステムをオーダーメイド対応にて設計製作しています。
【写真①:昨年導入したオークマ製高精度大型立形マシニングセンタ「MB-80V」。自動化装置に必要な部品を自社で製作する】
製造現場における自動化の実態
2つの自動化パターン
――どのような自動化ができますか?
組立、移載、投入取出し、圧入、箱詰め、洗浄、貼付け、充填、画像検査、計測、レーザー刻印、塗布、溶接など多岐に渡ります。
自動化は大きく分けて2パターンあります。
①人に代わって作業するパターン
単純繰り返し作業など精神的苦痛を伴うもの、肉体的に負荷の高い作業、騒音や暑さ・寒さなど作業環境が悪いもの、怪我のリスクなど危険を伴うもの。
②人にはできない作業をするパターン
精度やスピードが求められる作業、人の力では無理な作業。
②は自動化というより機械化で、これまでも多くの工程が自動化(機械化)されています。
①は製品を大量生産する工場で既に自動化設備が導入されていますが、近年は中量・少量でも自動化ニーズが高まっています。
【写真②:2階の組立フロア。組立作業中の自動化装置が並ぶ。】
業界別の自動化導入傾向
自動車関連産業の動向
――お客様の中で多い業種(製造工程)は何ですか?
また増えてきていると感じる業界・業種はありますか?
市場の大きな自動車のティア1、ティア2向けが多いです。脱エンジン化の流れを受けてエンジン関連の案件は少し減少していますが、電装系や燃料電池などやはり自動車関連向けが多いです。
半導体製造装置の好調
半導体製造装置(前工程)は好調で、2025年位まで受注を頂いています。例えば、前工程の中でもシリコンウェハーを研磨する装置の自動投入取出し装置は今まで何度もやってきました。
食品・日用品業界の増加
その他、食品や日用品業界向けの案件も最近増加しています。食品や日用品は製品単価が安く、設備投資しても費用対効果を生み出しにくいですが、それでも実行する企業が増加している気がします。理由は人手不足対策が一番多いですが、先程の①の要因や、企業のブランディングとして自動化・ロボット化を促進する大手企業も多いです。
また、近年の傾向としては大手・中堅企業中心だった自動化設備投資が中小企業にまで広がっています。こちらも一番の理由は人手不足ですね。
さらに最近では、環境改善や見学ツールとしての"見せる工場"を作りたいと自動化されるお客さんも多く見受けられます。
中小企業への広がり
――ご依頼されるお客様の中にはどのような案件が多いですか?
中小企業であれば、製品の移載や箱詰めの自動化案件が多いです。部品加工会社であれば、マシニングセンタやNC旋盤へのワーク脱着の自動化などですかね。
自動化装置は24時間稼働ができることから単品種大量生産が最も適していますが、近年では価格が安くなってきている産業用ロボットを活用すれば多品種少量といった変種変量にも費用対効果を発揮できるようになってきました。
☆導入事例はこちら
オーダーメイド自動化のメリットと実践法
一貫製作による高いQCDの実現
――貴社にご依頼をするメリットとは?
機械設計から部品加工、組立、電気、据付まで一貫製作できることで、高いQCD(品質、コスト、納期)を実現できます。
長年の経験から培った3次元CAD活用による設計時間の短縮や独自の生産管理システムを導入することにより、部品の発注手配から進捗・原価管理までを確実に行うことができるので生産性向上につながっています。
【写真③:3階オフィス。機械設計や制御設計のフロアとなる。】
段階的な自動化アプローチ
――比較的コストのかからない手軽な自動化はありますか。
最初から無人で完全自動化を目指すのではなく、ある程度人が介入する半自動化であればコストは削減できます。自動化にも向き不向きがあるので、人が向いている作業を無理に自動化するのではなく、自動化しやすいところから段階的に取り組むことをお勧めします。そのため、人手が多い海外では半自動化が多く見受けられますね。
また、最近は事業再構築補助金を活用して自動化に取り組む中小企業も多く、投資費用を半減できます。
おわりに
「人と機械が共生する世界をめざして」をかかげ、昭和22年の創業から機械部品と自動化装置の製造に携わってきた光伸様。中小企業から大企業の案件まで多種多様かつ幅広い工程での自動化ニーズに対応し、最適な自動化を提案できるのは、長年積み上げてきた高い技術力や経験をもつ「人」がいるからであるとインタビューを通じて体感することができました。
このような自動化を検討される方は、ぜひ私たちまでお問い合わせください。
【PROFILE】
取材日:2023年3月
社名:株式会社光伸
所在地:大阪府八尾市竹渕東1丁目23番地
創業:1947年
金属加工からスタートし、現在はFAシステム・自動化装置のOEM製作、フルオーダーメイドの設計製作まで行う。設計から加工、組立、制御、据付まで一貫製作できるという強みや高い技術力で幅広い分野のお客様と取引実績がある。
URL:https://www.kk-koshin.net/