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【2025.8月】省力化投資補助金 販売事業者登録を徹底解説

中小企業の人手不足解消を支援する「省力化投資補助金」が注目を集めています。
特に販売事業者の皆様にとって、この制度への参加は新たなビジネスチャンスとなる可能性があります。

しかし、「どのような仕組みなのか」「どうやって販売事業者として登録するのか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、省力化投資補助金の全体像から販売事業者登録の具体的な手順まで、実務に役立つ情報を詳しく
ご紹介します。

この記事の目次[非表示]

  1. 省力化投資補助金とは?制度の基本を理解しよう
    1. 国の政策として推進される「省力化投資」
    2. 補助金の概要と2つの申請タイプ
  2. カタログ注文型の3つの特徴と販売事業者のメリット
    1. 1. カタログから汎用製品を選択可能
    2. 2. 簡易な手続きと迅速な交付決定
    3. 3. 販売事業者との共同申請が必須
  3. 補助上限額と補助率の詳細
    1. 基本的な補助条件
    2. 大幅な賃上げによる上限額引き上げ
  4. 販売事業者登録の流れと必要書類
    1. 登録は2段階のプロセス
    2. 基本的な必要書類
    3. 製品登録の実績要件と最新の緩和措置
  5. 補助上限額の決定方法と申請の実務
    1. 補助上限額はどのように決まるのか
    2. 申請手続きの実際の流れ
  6. 申請時の注意点と実務上のポイント
    1. 交付決定前の発注は絶対にNG
    2. 審査の進捗状況について
    3. 複数申請と他の補助金との関係
  7. 対象経費の範囲と導入設定費
  8. 販売事業者として知っておきたい制度の将来性
    1. 補助金の実施期間と政策的背景
    2. 登録製品数の増加傾向
  9. まとめ:販売事業者登録で新たなビジネスチャンスを掴む


省力化投資補助金とは?制度の基本を理解しよう

国の政策として推進される「省力化投資」

省力化投資補助金を理解するには、まず「省力化投資」という政策背景を知っておく必要があります。
これまで製造業では「自動化」や「省人化」という言葉が一般的でしたが、現在は国の政策キーワードとして「省力化」が
使われています。

政府の「新しい資本主義実現会議」では、業種ごとの「省力化投資促進プラン」が策定されており、
これは5カ年計画として
国が省力化投資を強力に推進していく方針を示したものです。

補助金の概要と2つの申請タイプ

中小企業省力化投資補助金は、中小企業等の人手不足解消に効果のある省力化製品を導入するための補助金制度です。
申請には「カタログ注文型」と「一般型」の2つのタイプがあります。

カタログ注文型は、あらかじめ事務局に登録されたIoT・ロボット等の汎用製品を対象とした制度。
現在約100カテゴリー、1,000製品以上が登録されており、これらの中から選んで導入する形式です。

一方、一般型は、オーダーメイドやセミオーダーメイドの設備、複数の機器とソフトウェアを組み合わせたシステム導入を
対象としています。

本記事では、特に販売事業者の皆様に関係が深い「カタログ注文型」を中心に解説します。

カタログ注文型の3つの特徴と販売事業者のメリット

カタログ注文型には、従来の補助金制度とは大きく異なる3つの特徴があります。

1. カタログから汎用製品を選択可能

事務局が事前に審査し、省力化効果を認定した製品がカタログに掲載されているため、製品選定が非常に容易です。
清掃ロボットや配膳ロボットなどの非製造業向けから、プレス板金加工用機器、鋳造用機器、工作機械まで幅広い製品が
登録されています。

特に測量機は現在人気が高く、手軽に設置できる製品がこのカタログ型には向いているといえるでしょう。

2. 簡易な手続きと迅速な交付決定

ここが最大の特徴です。申請から交付決定まで最短1ヶ月、通常でも2ヶ月程度というスピードを実現しています。
これは、登録製品がすでに省力化効果を認められているため、製品の審査が不要だからです。

実際に多くの事業者から「予想より早く補助金が振り込まれた」という声が寄せられており、このスピード感は販売事業者にとって大きなメリットといえます。

3. 販売事業者との共同申請が必須

中小企業は、省力化製品の販売事業者と必ず共同で申請手続きを行います。
つまり、販売事業者として登録することで、補助金を活用した製品販売が可能になるのです。

この仕組みにより、中小企業は専門知識を持つ販売事業者のサポートを受けながら安心して申請を進めることができ、
販売事業者にとっては新たな営業機会を創出できます。

補助上限額と補助率の詳細

基本的な補助条件

従業員数別の補助上限額と賃上げ時の引き上げ効果を整理すると以下のようになります。

補助率は1/2で、補助上限額は中小企業の従業員数に応じて設定されています。

  • 従業員5名以下:200万円
  • 従業員20名以下:500万円
  • 従業員21名以上:1,000万円

例えば、従業員5名以下の企業が400万円の製品を購入した場合、200万円が補助されることになります。

大幅な賃上げによる上限額引き上げ

さらに注目すべきは、大幅な賃上げを宣言し達成した場合、補助上限額が1.5倍に引き上げられることです。
従業員21名以上の場合は最大1,500万円となり、3,000万円までの製品導入が可能となります。

ただし、カタログ型では賃上げは必須要件ではありません。
補助上限額の引き上げを希望する場合のみの要件となっている点がポイントです。

販売事業者登録の流れと必要書類

登録は2段階のプロセス

販売事業者登録は、以下の2段階で進めます。まず全体の流れを確認してみましょう。

  1. 販売事業者としての登録:登記簿などを提出して審査を受け、事業者として登録
  2. 取扱製品の登録:補助金制度で販売したい製品を個別に登録

基本的な必要書類

販売事業者登録時には、以下の書類が必要です。

  • 履歴事項全部証明書(登記簿)
  • 納税証明書(直近1期分)
  • 決算書(損益計算書・貸借対照表)
  • サポート体制がわかる資料(保守体制、営業エリア、アフターフォロー等を記載したカタログやHPの写し等)

特に最後のサポート体制に関する資料は重要です。
なぜなら、補助金が支払われた後も3年間、導入した機器が適切に活用されるよう、販売事業者には保守・メンテナンス等のサポートが求められるためです。

製品登録の実績要件と最新の緩和措置

製品を登録するための要件には、従来から以下の2つがありました。

  1. 登録したい製品と同一型番の製品の販売実績
  2. 登録したい製品の同一メーカーかつ同一カテゴリーに属する別製品の販売実績

しかし、製品カテゴリーが細分化されており販売事業者が実績を示しにくいという課題がありました。
そこで新たに導入されたのが、以下の緩和措置です。


3. 事務局承認済み中間卸事業者との取引実績

例えば事務局が承認した中間卸事業者との取引実績(申請日から2年以内の納品書等)があれば、
メーカーや製品カテゴリーを問わず、その中間卸事業者がカタログに登録している製品を原則すべて登録できるように
なりました。

中間卸事業者との取引実績を用いて登録した事実は対外的には一切公表されません。
また、製品登録のために中間卸事業者との実績を提出しても、実際の仕入れをその事業者から行う義務はないのです。

補助上限額の決定方法と申請の実務

補助上限額はどのように決まるのか

製品ごとの補助上限額は、販売実績の有無によって以下のように決定されます。



同一型番の販売実績を提出した場合
提出した納品書に記載の販売実績額の1/2が補助上限額として設定されます。

販売実績がない場合
別製品の実績や中間卸事業者の実績で登録した場合は、事務局があらかじめ製品ごとに定めた「指定額」が補助上限額と
なります。

この補助上限額は非公開ですが、製品登録が完了すると販売事業者ポータルで各製品の上限額を確認できるように
なります。

申請手続きの実際の流れ

申請手続きは販売事業者と中小企業の連携で行います。

  1. 事業者招待:販売事業者がシステム上で中小企業を招待
  2. 中小企業の入力:基本情報、事業計画、賃金情報等を入力
  3. 販売事業者の入力:製品情報、価格、「省力化判定シート」を作成
  4. 最終確認と提出:中小企業が内容を確認して申請完了

ここで重要なのが「省力化判定シート」です。
これはExcel形式の簡易なシートで、導入環境が補助金の要件に適合しているかを確認するものです。
選択肢形式で回答し、「良」と判定されれば申請可能となります。

申請時の注意点と実務上のポイント

交付決定前の発注は絶対にNG

よくある誤解として、申請と同時に発注を進めてしまうケースがあります。
しかし、必ず交付決定日以降に発注・契約を行う必要があります。
それ以前の日付の契約や発注は補助対象外となってしまうため注意が必要です。

お見積りの取得までは問題ありませんが、正式な契約は交付決定を待つことが重要です。

審査の進捗状況について

審査の進捗状況は個別にお答えできませんが、申請後1週間以内に不備の連絡(差し戻し)がなければ、審査は順調に進んでいると考えて良いでしょう。
要件を満たしていれば、概ね1ヶ月から1ヶ月半で交付決定されます。

複数申請と他の補助金との関係

同一カテゴリーかつ同一型番の製品であれば、複数台を1回の申請でまとめることが可能です。
ただし、カテゴリーや型番が異なる製品を導入する場合は、1つ目の申請の補助金支払いが完了した後に2回目の申請を行う必要があります。

重要な制限として、ものづくり補助金の交付決定を受けてから10ヶ月を経過していない事業者、
または過去3年間に2回以上交付決定を受けている事業者は申請できません。

対象経費の範囲と導入設定費

補助対象となるのは、カタログに登録されている製品本体および付随する周辺機器までです。
カタログに記載のないオプション品は対象外となります。

ただし、「導入設定費」として運搬費や設置・設定にかかる費用は、本体価格の2割を上限として補助対象となります。
この点は実務上、見落としがちなポイントといえるでしょう。

また、500万円以上の製品導入時には、災害や火災などによって機器が破損した場合の補助金返還義務をカバーするための保険加入が必要となります。

販売事業者として知っておきたい制度の将来性

補助金の実施期間と政策的背景

現在のところ、省力化投資補助金は2026年の夏頃まで実施予定とされています。
カタログ注文型は随時公募を受け付けており、一般型は募集回ごとに締め切りが設けられています。

しかし、国の政策として「省力化」は5カ年計画で推進されており、今後も関連する支援が続く可能性があります。
つまり、この制度に早期に参入することで、中長期的なビジネスチャンスを掴める可能性があるのです。

登録製品数の増加傾向

現在、製品カテゴリーは約100種類、製品数は約1000製品が登録されていますが、これらの数は日々増加しています。
販売事業者登録数、申請数ともに着実に増加している状況であり、制度の認知度と活用度が高まっていることがわかります。

まとめ:販売事業者登録で新たなビジネスチャンスを掴む

省力化投資補助金の販売事業者登録は、従来の補助金制度とは異なる魅力的な仕組みを持っています。
特に、申請から交付決定までのスピードの早さと、中間卸事業者との取引実績を活用した登録要件の緩和は、
多くの販売事業者にとって参入しやすい環境を整えています。

重要なのは、この制度が単なる補助金ではなく、国の5カ年政策として位置づけられている「省力化投資」の推進施策であるという点です。
つまり、早期に参入することで、中長期的な視点でビジネス展開を図ることができるでしょう。

製品登録の要件緩和により、これまで実績面で参入が困難だった事業者様も登録しやすくなっています。
この機会に販売事業者として登録し、新たなビジネスチャンスを掴んでみてはいかがでしょうか。


なお、実際の登録手続きから活用事例まで、専門家が詳しく解説したWEBセミナーのアーカイブ動画もご用意しております。
より具体的な内容を知りたい方は、ぜひ併せてご活用ください。
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