【3月度 業界トピック】製造業における自動化と人手不足対策


今月は製造業の皆様が抱える課題解決や、今後のビジネス戦略のヒントとなるような情報をお届けいたします。
グローバルな生産技術展から、国内の最新技術動向、そして人手不足対策のヒントまで、幅広いトピックスを実務的な視点から分析し、その効果や成果について解説してまいります。
ぜひ、貴社の今後の取り組みにお役立てください。

この記事の目次[非表示]

  1. ピックアップ記事
    1. 50周年迎えるEMOショー、9月に独ハノーバーで
    2. ブラザー工業、アフターダイカスト展
    3. 人手不足対策展in福山
  2. まとめ

ピックアップ記事

50周年迎えるEMOショー、9月に独ハノーバーで

工作機械業界において、世界屈指の生産技術展として知られるEMOショーが、今年で50周年という記念すべき節目を迎えます。26回目の開催となる「EMO Hannover 2025」(9月22~26日、ドイツ・ハノーバー)を前に、主催者であるドイツ工作機械工業会(VDW)とドイツメッセが合同で記者会見を開きました。

この会見では、VDWのマルクス・ヘーリング氏が、情報過多の現代においても、EMOショーのようなリアルな展示会におけるネットワーキングの重要性を強調しています。パンデミックを経て、直接会って話すことの価値が再認識されているというポイントは、私たち製造業に身を置く人間にとっても非常に共感できるのではないでしょうか。また、自動化、持続可能性、デジタルとAIの組み合わせといったトレンドに注目が集まるだろうと述べられています。

隔年開催されるEMOショーは、前回(2023年)には45カ国から1800以上の出展者が集まり、約140カ国から9万2千人(うち日本から1600人)が訪れた実績があります。今年のテーマは「Innovate Manufacturing」であり、サプライヤーとユーザーに対して新技術の積極的な活用を呼びかけているとのこと。さらに、スタートアップエリアも設けられ、若い世代からのインスピレーションを得る機会も提供されるようです。

モノづくりに携わる企業の経営層や技術者は、このEMOショーを通じて、最新の技術動向を肌で感じ、グローバルなネットワークを構築する絶好の機会となるでしょう。自動化やAIといった先端技術の導入を検討されている企業にとっては、具体的なソリューションを見つけ、ビジネスパートナーとの連携を深める上で、非常に有益な場となるといえます。また、清水伸二・日本工業大学工業技術博物館館長が「毎回独創的な技術に出会え、期待外れがなかった」と語っていることからも、その価値の高さが窺えます。

  50周年迎えるEMOショー、9月に独ハノーバーで|News|Mono Que <モノクエ> https://monoque.jp/news/a7a8af548c4ade32940198f0a81a19633134be06/



ブラザー工業、アフターダイカスト展

ブラザー工業株式会社が、同社の刈谷工場(愛知県)でアフターダイカスト展を開催しました。この展示会では、コントローラーによる簡単な教示で加工経路を自動生成するデバリングセンター「SPEEDIO DG-1」や、100本の工具を搭載可能なマシニングセンタ「SPEEDIO S700Xd2-100T」の実機が世界初公開されました。

特に注目すべきは、「SPEEDIO DG-1」です。アルミの鋳物のバリ取りに特化したこの機械は、ゲームのコントローラーのようなティーチングコントローラーで代表点を教示するだけで、複雑な加工経路を自動で生成します。NCコードの知識がなくても直感的に操作でき、加工プログラムへの自動変換も可能です。これにより、バリ取り加工の立ち上げ工数を約30%短縮したケースもあるとのこと。人手不足が深刻な製造現場において、専門知識がなくても扱える自動化機械は、まさに救世主となる可能性があります。

また、世界初公開となった「SPEEDIO S700Xd2-100T」は、コンパクトながら従来モデルの3倍以上となる100本の工具を搭載できる点が特徴です。これにより、工具交換にかかる時間を大幅に短縮できるだけでなく、同数の工具を収納できる一般的な大型マシニングセンタと比較して接地面積を約40%も削減できるといいます。省スペースでありながら多種多様な加工に対応できるこのモデルは、限られた工場スペースを有効活用したい企業にとって、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

ブラザー工業の担当者によれば、「DG-1」は15番主軸の繊細な力加減と低トルク機能により、ミスでワークを傷つける心配がなく、「だれでもすぐに直感的に扱える」とのこと。このような使いやすさを追求した機械の登場は、熟練技能者の不足という課題に対する有効な解決策の一つを示唆しています。

  ブラザー工業、アフターダイカスト展|News|Mono Que <モノクエ> https://monoque.jp/news/dff2914e04b1b1707fa203ccdbae05dc160ddcaa/



人手不足対策展in福山

製造業の人手不足に特化した専門展示会「人手不足対策展 in 福山」が、広島県ふくやま産業交流館で開催され、多くの中四国地方のユーザーが来場しました。この展示会では、導入しやすい自動化・省力化機器が多数展示され、地元企業の切実なニーズに応える製品が注目を集めました。

会場で特に注目を集めたのは、オークラ輸送機のブースで初披露されたロボットシステム「EasyPAL」による協働ロボットのパレタイズ・デパレタイズ実演です。新開発のティーチングソフトは、段ボールの規格を入力するだけでパターンが自動提案され、誰でも簡単にティーチングできるという点が大きな特徴です。協働ロボットでありながら、省スペースかつパッケージでの提供により、設置工事から稼働まで2日ほどで完了できるため、導入のハードルが低いというメリットがあります。食品工場など、省人化を急ぐ現場にとっては非常に魅力的なソリューションといえるでしょう。

また、やまびこジャパンが出品したラジコン草刈機「RCM600」は、最大45度までの傾斜地を安定して走行でき、危険な法面の草刈作業を遠隔操作で安全に行える点が評価されています。河川維持作業や農業など、安全性向上と省人化が求められる分野での需要が高まっているとのことです。

さらに、日本ヴィジョン・エンジニアリングのステレオマイクロスコープ「リンクス EVO」と「マンティス」は、人間工学に基づいたアイピースレス光学系により、楽な姿勢での外観検査や精密作業を可能にし、作業効率の向上に貢献すると紹介されています。作業者の負担を軽減し、生産性を高めるこれらの製品は、製造現場や品質管理部門において、幅広い導入が進んでいるようです。

この「人手不足対策展 in 福山」は、地方の中小企業にとって、身近な場所で最新の自動化・省力化技術に触れる貴重な機会となりました。それぞれの企業の課題やニーズに合ったソリューションを見つけ、具体的な導入を検討する上で、非常に有益な展示会であったといえるでしょう。

  人手不足対策展in福山|News|Mono Que <モノクエ> https://monoque.jp/news/6174886a410431c8ac312b8b430e1b84aef06230/


まとめ

今回の「Mono Que」のニュース記事からは、製造業を取り巻く重要なキーワードがいくつか浮かび上がってきました。それは、グローバルな技術動向、省人化・自動化、そして働き方改革です。50周年を迎えるEMOショーは、世界的な技術革新の潮流を捉え、新たなビジネスチャンスを生み出すための重要なプラットフォームとなるでしょう。一方、国内のアフターダイカスト展や人手不足対策展では、具体的な課題解決に繋がる最新の機械やシステムが登場しており、人手不足や生産性向上といった喫緊の課題に対する具体的な解決策が提示されています。

これらの動向を踏まえると、製造業においては、グローバルな視点を持ちながら、自社の課題に合わせた最新技術を積極的に導入し、効率的な生産体制を構築していくことが、今後の競争力を維持・強化していく上で不可欠であるといえます。特に、中小企業においては、導入のハードルが低い自動化・省力化機器を活用し、現場の負担を軽減しながら生産性を向上させていくことが重要となるでしょう。

私たち山善では、製造業における最新動向や技術トレンドについて、メールマガジンを通じて定期的に情報を発信しています。


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