【インタビュー】松浦機械製作所多面パレット×ナベヤ治具で次世代の生産体制へ【前編】

左写真:松浦機械製作所 営業本部 営業サポート 塚本 涼太様
右写真:株式会社ナベヤ 中部営業所 所長 谷口 真未様

『生産性を向上したい』、『工程集約したい』といった課題をお持ちの方も多いと思います。
30年以上前から5軸マシニングセンタ(以下、5軸加工機)をつくられてきた松浦機械製作所様と治具・工具メーカーで国内シェアトップクラスを誇るナベヤ様の治具を使って、効率的な生産体制を実現してみませんか?
今回は工作機械を勉強中の新米記者が松浦機械製作所様の工場にナベヤ様と共にお邪魔し、"5軸加工機のメリットは何か"、"治具とは何か"など初歩的な質問や時代のニーズへの対応などについて、実機を基に説明いただきながら、インタビューを敢行しました。
前編では松浦機械製作所様を深堀します。

この記事の目次[非表示]

  1. マツウラの5軸加工機のメリット
  2. 3軸加工機との比較
  3. 使いこなせるイメージが湧かない
  4. プログラム作成のスキルが必要
  5. 導入コストが高い
  6. サポート体制への懸念
  7. MXシリーズの特徴
  8. マツウラの強み


5軸マシニングセンタの導入メリット

マツウラの5軸加工機のメリット

―――松浦機械製作所様といえば5軸加工機のイメージがありますが5軸加工機のメリットを教えていただけますでしょうか。
5軸加工機はワンチャッキングで多面加工が行えるため、段取り回数を削減することができ、段取り作業時間の短縮が可能となります。さらに自動でパレットを交換できるオートパレットチェンジャー(以下、APC)の導入や、イケールとバイスを組合せることで作業が効率化できるので、作業者が複数台のマシンを操作することが可能となり、結果的に人手不足を補ってくれます。
また近年の機械加工では、より高精度の加工が求められます。中には1~2ミクロン台の精度(髪の毛でも50~100ミクロン)を要求されることもございます。5軸加工機の場合、ワーク固定で精度を出した後はそのまま多面加工を行えるため、段取り替えによる精度誤差を無くし、より高精度な加工が実現できます。
APCはオプション対応が一般的となりますが、マツウラはすべての5軸加工機で標準オプション化されております。例えば弊社の5軸制御立形マシニングセンタ『MX-420 PC10』の場合、APCを標準で搭載しているため「自動化・無人運転」への対応を可能としています。


3軸加工機との比較

―――3軸加工機と比較した際、どのようなメリットがありますか?
5軸加工機は、ワークを傾斜させることで工具にとって最適の角度で加工出来るため、3軸加工機より工具本来の切削能力が発揮できます。したがって加工時は工具自体にやさしく、加工品質や加工精度を向上させることが可能となります。
一方、3軸加工機では、ワークに工具を垂直に押し当てて加工する場合があり、その時点で刃物の先端は刃がほぼ回転していない状態(周速ゼロ)となります。そのため、加工面がむしれやすく、加工面品位の悪化や切削能力の維持が困難になり、寸法精度を悪化させてしまう課題があります。
5軸加工機のボールエンドミルによる高能率加工では、3軸加工機と比べ最適な加工面での工具の活用が実現し、工具摩耗を減らすことができ、工具寿命の延長・面粗さが向上します。

また、3軸加工機で深いリブを加工する場合、ロングツールやアングルアタッチメントの使用による「たわみ」が発生しますが、5軸加工機の場合は、工具突き出し量が抑えられるため、標準工具をそのまま使用でき、ツール本来の剛性を保ちながら加工品質・精度を向上させることが可能です。

そして、3軸(X,Y,Z軸)+2軸(回転/傾斜)の5軸を同時に動かすことで、滑らかな曲面・複雑形状で付加価値の高い加工を行うことが可能です。さらに、2軸(回転/傾斜)を位置決めし、3軸で加工する割り出し5軸加工も可能になります。


5軸マシニングセンタのデメリットと解決案

―――5軸加工機の導入にはさまざまなメリットがあることがよく解りました。ただ、色々な側面から5軸加工機の導入を躊躇されているお客様もいらっしゃると思います。

使いこなせるイメージが湧かない

5軸加工機で加工するような複雑な加工はしていない、5軸加工機を使いこなす自信がない(難しいイメージを持っている)方もいらっしゃいます。
そのため、まずは3軸加工機で加工している部品を、5軸の割出し加工への置き換え提案をさせていただいております。
また、5軸加工機に難しさを感じている方に配慮し、マツウラでは使い易さとコストに徹底的にこだわったMXシリーズを展開しています。

プログラム作成のスキルが必要

CAMによる5軸プログラム作成の難しさもあります。5軸加工機は従来の3軸加工機とは異なる加工プログラムが必要となります。そのため、CAMソフトウェアの使い方や、加工プログラムの作成スキルが必要となります。しかし、マツウラは機械を販売することはもちろん、CAD/CAM等のソフトウェアを扱う専門の部署があるので、機械とプログラムをトータルでサポートできます。もちろん導入後も、こういう加工が出来るか等ご相談いただくことも可能で、5軸加工機が初めての方でも安心してご導入いただけます。

導入コストが高い

導入コストの面で迷われる方もいらっしゃいます。従来の3軸加工機と比べ5軸の動きを実現する為にかなり複雑な構造になっています。その為、機械本体の製造コストが高くなってしまいます。しかし、マツウラのMXシリーズは5軸専用機で、機能(拡張性)を絞っているためお求めやすい価格になっています。より拡張性の高い5軸加工機MAM72シリーズもラインアップしています。

サポート体制への懸念

5軸加工機は3軸加工機に比べ高度な操作技術が必要です。そのため操作が複雑であり、運用方法のイメージが湧かない、作業者のレベルアップが必要などの問題があります。しかし、マツウラは商談の際に5軸加工機のセミナー(簡単無人運転、運用事例)の実施や、ご購入頂いた後でもマツウラスクール(5軸加工コース、マクロコース)を実施するなど安心して5軸機をご購入頂けます。


マツウラの5軸マシニングセンタ

MXシリーズの特徴

―――MXシリーズは拡張性を絞っているとのことですが、その理由を教えてください
弊社では約30年前より5軸加工機+APCを組み合わせて発売させて頂いておりますが、当時お客様からは"高い" "難しい"という印象から、なかなか売上があがりませんでした。
そこでマツウラはお客様の声をリサーチし、安心・簡単というキーワードを掲げ、使い易さとコストを徹底的にこだわった機械としてMXシリーズを開発しました。ワークへの接近性を追求し、衝突検知システムIPS(Intelligent Protection System)を標準仕様としています。
5軸加工機の性能を保ったまま機能を厳選したことで、2000万円台の(2016年当時)価格を実現しました。MXシリーズは5軸加工機の入門機として当初は「工具本数は60本」「パレットマガジン未搭載」など機能は限定的でしたが、ユーザーニーズにお応えし現在は機能を拡充しています。
―――MXシリーズが入門機と言われる所以が良く解りました。ラインナップも多いですね。
MXシリーズでもMX-330、MX-420 PC10、MX-520、MX-850があります。
5軸加工機の選定では、ワークの最大径が重要な要素となります。マツウラはMAM72シリーズも含め、同シリーズ内に幅広いワーク径に対応した機種をラインナップしています。APCを備えた5軸加工機で、これだけの機種のラインナップは他社に類を見ません。


マツウラの強み

―――それが"5軸のマツウラ"と言われる所以ですね。
そうですね。弊社売上における5軸パレットシステムの割合は7割強に達しています。大量生産はロボットのイメージが強いですが、弊社が謳っているパレットシステムは、パレットごとに異なるワークを載せることで変種変量生産が出来ることです。10個のパレットがあるので10種類のワークができます。この考えは2000年代以前の大量生産の時代には不利でしたが、現代は必要なものを必要な分だけ作る(変種変量生産)時代となり、お客様から好評を得ています。
―――リピート案件も多そうですね。
5軸加工機+APCによる加工のメリットをご理解頂いた上で、3軸加工機から5軸加工機に移行されるお客様が多く、リピート率が高いです。
MXシリーズ導入後により多数のパレットが必要となった際には、ハイエンド機(MAM72シリーズなど)をご購入いただくケースが多くなります。商談時に5軸加工機+ APCの運用方法やメリットをご理解頂けたお客様は、最初からハイエンド機のMAM72シリーズをご購入いただくケースもあります。
5軸加工機+APCは、使い方次第で無限の可能性を秘めています。



写真:MXシリーズのハイエンド機にあたるMAM72の外観写真


―――松浦様のマルチパレット機×ナベヤ様の治具で生産性向上の提案をされていた動画も拝見しました。市場環境により自動化や人手不足の課題などユーザーニーズが変化している中でどう対応されていますか?
10年振りに刷新したオペレーティングシステムMiOS 4は、30年以上培ってきた変種変量生産に関するノウハウを凝縮し、さらにパネルデザインを一新しました。
例えば、工具管理には弊社独自の工具寿命管理システム、パレット管理には独自のスケジュール管理システムが搭載しており、安心・簡単・確実な変種変量生産を実現しています。 
プログラム管理も多面イケールに対応しており、1パレットにつき4つのプロジェクト(プログラム)を設定する事が可能です。
パレット交換の際、搬送アームは上下、旋回、伸縮といったシンプルな動作のみを行うため、多関節ロボットのような複雑な動きが不要で、故障リスクが低くなります。
さらに、パレットごとワークを移動させるため、ワーク形状に合わせたロボットハンド交換が不要で、高い汎用性を備えています。

写真:MX420 PC10の操作盤


5軸マシニングセンタへの治具導入 

―――ユーザーの治具導入のタイミングやきっかけを教えてください。
お客様の仕事内容によって異なるため一概には言えませんが、3軸加工機から5軸加工機を初めて導入されたお客様には、マツウラでは以下の方法を推奨しています。

  1. これまで3軸加工機で加工していた単純形状の量産品を、イケールに搭載して加工し、5軸加工機+ APCよる無人運転のメリットを体感していただきます。
  2. 1で得られた知見や経験を、5軸バイスを用いた5軸加工に落とし込んでいただく方法を推奨しています。

―――治具があれば5軸加工機の性能をさらに生かすことができますね。
仰せの通りです。しかし、一般的な5軸加工機は干渉領域が多く、イケールを搭載してもフルストロークで動かせない場合が多いです。一方、マツウラの5軸加工機は干渉領域を可能な限り抑えた専用設計のため、イケール搭載のメリットを最大限活かせ、相性が非常に良いと言えます。


松浦機械製作所様のホームページにあるMedia Libraryではユーザーボイスとして様々な導入事例が掲載されています。
余談ですが、今回取材にご対応頂いた塚本さんが製作に携わっている〇〇作ってみた。動画は好評だとか!
▶導入事例はこちら
▶○○作ってみた。はこちら


後編はナベヤさまのインタビューをお届けします。


5軸加工機または治具の導入を検討される方は、ぜひ私たちまでお問い合わせください。


まずは相談



【Profile
社名:株式会社松浦機械製作所
代表者:代表取締役社長 松浦勝俊
所在地:〒910-8530 福井県福井市東森田4丁目201番地
創業:1935年8月
会社設立:1960年9月
事業内容:工作機械(マシニングセンタ)製造、販売
     金属光造形複合加工機製造、販売
     CAD/CAMシステム販売
URL:https://www.matsuura.co.jp/japan/

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