
パレット自動倉庫って何?―ケース式との違いや特長、補助金情報―
物流や製造の現場では日々、多くの荷物(ワーク)を扱います。中でも金属部品やボトルに入った飲料などのワークは人手で運べる重さではないため、フォークリフトが運べるように爪を差し込める穴のあいたパレットに載せた状態でハンドリングされます。樹脂コンテナに入った小さいワークも、トラックで効率よく輸送するためにパレット上に段積みすることも少なくありません。こうした「パレット品」と呼ばれるワークを、自動で棚に保管し、また指示に応じて出庫してくれる便利な設備がパレット自動倉庫です。
パレット品をフォークリフトで固定棚に保管し、番地を管理してその都度また取り出すのは大変な作業です。またフォークリフトがアクセスできる通路幅を確保する必要があるため、棚を詰めて設置することもできず保管効率も上げられません。パレット自動倉庫はこの入出庫と在庫管理をすべて自動化し、上部空間を有効活用して保管効率を高めることが可能です。作業者の工数や負担を軽減し、より付加価値の高い仕事へ配置することも可能になります。この記事では人手不足に悩む製造業や物流業の方々に向けて、
・様々な自動倉庫の種類とそれぞれの導入メリット
・パレット自動倉庫の特徴と活用事例
・パレット自動倉庫を導入する際に活用できる補助金
など、基本的な内容やお役に立つ情報をわかりやすくご紹介します。
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自動倉庫の概要/特長/種類/補助金まで一挙にご紹介!
自動倉庫は先にご紹介したように、モノの保管(入庫)と取り出し(出庫)、そして何がどこにいくつあるかの在庫管理を行ってくれる便利な設備です。まずは基本的な自動倉庫の構成と、導入メリットや種類、導入時に活用できる補助金の情報までを一挙にご案内します。
自動倉庫の種類とそれぞれの利点は
自動倉庫やその類似ソリューションには現在、様々な種類があります。いずれも一長一短があり、自社で扱うワークのサイズや荷姿、保管数や入出庫の頻度に応じて適した設備を選ぶことが重要です。見通しが甘いまま自動倉庫を導入し、のちに保管する荷姿が増えたり変わったり、または入出庫能力が足りなくなってしまうと頭を抱えることにもなりかねません。
ここでは「自動倉庫」つまり保管と入出庫を自動化するソリューションを取り上げ、それぞれの設備のメリットとデメリットをご紹介します。
扱う荷姿は? パレットorケース
まず自動倉庫で扱う荷姿は、大きく分けて以下の2種類に分類できます。
・パレット品
・ケース品
それぞれの荷姿で適した自動倉庫も違いますので、詳しく見ていきます。
パレットの場合
工場で加工した金属部品やコイル材などの材料、また液体を大量に充填した飲料ボトルなどは人手で運ぶのは難しいほどの重量になるため、樹脂や木製のパレットの上に載せて、フォークリフトでまとめて運ぶことになります。また、樹脂コンテナなどのケースに入れた小型の品物も、トラックやフォークリフトでまとめて運ぶためにパレットの上に段積みされることがあります。
こうしたパレットの上にワークを載せた状態の荷物が、いわゆるパレット品です。このパレット品に対応した自動倉庫が「パレット自動倉庫」で、重いパレット品を多数入庫できるよう棚が頑丈な造りになっています。特に製造業では重量のあるワークが多いため、多くのメーカーが工場の一角にパレット自動倉庫を設置しています。
ケース(バケット)の場合
比較的小さく多品種、あるいは数が多い品物を、ひとつずつ個別にハンドリングしていては工数がもったいないので、段ボールや樹脂コンテナ、トレーなどに複数個まとめて入れることが多いです。こうして小さな物を複数個をまとめた荷姿を、一般的にケース品(またはバケット品)と呼びます。これに対応するのが「ケース自動倉庫」。流通分野などで使われるロボット台車型の自動倉庫など、入出庫能力が高い物が多いのも特徴です。
搬送装置別でみる自動倉庫の選び方
本来は人が手やフォークリフトで行っていた入出庫作業と在庫管理を、ロボットなどの機械で代替してくれる自動倉庫。その「人やフォークリフト」の役割、すなわちワークを棚に運び、必要に応じて取り出す作業を行うのが搬送装置です。
物流の人手不足が深刻化したことで、昨今は自動倉庫分野に参入する企業も増え、それに伴い自動倉庫の選択肢も依然と比べると飛躍的に広がりました。かなりの種類があるように見えますが、搬送装置の種類は今でも
・スタッカークレーン式
・ロボット台車式
・リトリーバ式
の3種類に大別できます。それぞれの内容や利点を見ていきます。
スタッカークレーン式
最も一般的で広く普及しているのがこのタイプの自動倉庫です。日本でも高度経済成長期に登場し、それから今にいたるまで長らく、日本の製造や物流の現場を下支えしてきました。
このタイプはスタッカークレーンと呼ばれる自動クレーンがワークを積載して走行し、フォークなどで棚に出し入れします。スタッカークレーンは床に敷かれたレールの上を走行し、その両サイドに棚がずらりと並ぶのが一般的です。最もスタンダードで歴史も古いため、様々な現場に普及しており、標準化が進み製品としてのクオリティが成熟しています。入出庫の能力も比較的高いので、コストパフォーマンスに優れます。多くの現場がまずはじめに、このタイプの自動倉庫を検討することになるのではないでしょうか。ただし設置できるスタッカークレーンの台数には限りがあるため、それを上回る入出庫能力が必要な場合には、別の方式の自動倉庫を検討することになります。
ロボット台車式
コロナ禍を経て、日本のEC化にいっそうの弾みがつきました。こうしたECの現場では膨大な荷物を素早く仕分けて出荷する必要があり、従来のスタッカークレーン方式では入出庫能力が足りなくなるケースも増えています。
このような背景から近年、数を増やしてきているのがこのタイプ「ロボット台車式自動倉庫」です。スタッカークレーンではなく小型のAGVやAMRのようなロボット台車が棚の内部を走行し、ワークの入庫と出庫を行います。基本的にロボット台車の台数を増やせば入出庫能力を上げることができるので、入出荷の頻度が高い流通分野などでよく使われます。スタッカークレーン方式と違いレールがないので、移転・拡張などレイアウトの柔軟性もスタッカークレーン式より高いです。ただ、規模にもよりますが導入時のイニシャルコストはやや高くなる傾向があります。
リトリーバ式
スタッカークレーンより簡易的な「リトリーバ」と呼ばれる搬送装置が各棚にアクセスし、入出庫を行います。小物を高密度に、限られたスペースで保管する場合はこの設備が向いています。比較的シンプルな構造のため導入費用も抑えられます。ただ、多くの場合は荷姿の自由度があまり高くありません。
パレット自動倉庫の活用事例は
ここまで様々な種類の自動倉庫をご紹介してきました。入庫と出庫を自動化してくれる自動倉庫は、保管作業を自動化できるのはもちろんですが、例えば製造ラインの内部に組み込んで生産順に応じたケースを出庫する順立て設備として活用するなど、他にも様々な使い方が考えられます。ほんの一例ですが、具体的な事例をご紹介します。
完成品・出荷品の保管・順立て
製品を出荷するトラックバースの近くに自動倉庫を設置し、完成品や出荷品をパレット荷姿で一時保管しておき、オーダーに応じて順立てして出荷する使い方です。
予備品・サービスパーツ管理
工場の規模が大きければ大きいほど、工場内で稼働する設備の数も増え、予備品も膨大になります。こうしたひとつひとつの数量こそ少ないものの、種類が膨大な予備品やサービスパーツを自動倉庫で一元管理すれば、保管スペースや在庫管理の手間を大きく減らすことができます。
生産工程における一時保管
生産工程に自動倉庫を組み込み、仕掛品を一時保管して順立てして次の工程へ流せば、在庫不足による生産ラインの停止などのリスクを抑えつつ、生産効率を高めることができます。一時保管と仕分けに重きを置いた使い方です。
ダイフクのパレット自動倉庫「コンパクトシステム(CS-SD-100PL)は補助金活用ができます!」
自動倉庫をはじめとするマテハン機器で世界首位のダイフクは、実績が豊富で信頼性の高いパレット自動倉庫「コンパクトシステム(CS-SD-100PL)」を提供しています。
コンパクトシステム(CS-SD-100PL)とは?
ダイフクが提供するパレット自動倉庫で、先にご紹介したスタッカークレーン式を採用しています。国内外で豊富な実績を持ち、ウレタン車輪で高速走行時にも安定してピタッと止まり、音も静かです。スタッカークレーン式はクレーンの異常時に設備が停止してしまうことが弱点ですが、本製品には独自開発した制御システムを採用し異常停止を防ぎます。万一の障害発生時にもスピーディに復旧できるモニタリング機能も用意されています。
コンパクトシステム(CS-SD-100PL)は補助金の対象です!
中小企業の生産性向上のため、ロボット等の製品導入を支援する「中小企業省力化投資補助金」が2024年から始まっています。賃上げなどの要件を満たした場合の補助上限額は1500万円。ダイフクのコンパクトシステムはこの補助金の対象で、人手不足にお悩みの中小企業の方はこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
またこの補助金では登録された販売事業者と共同で申請を行う必要があり、山善は販売事業者としての認定を受けています。自動化設備の導入経験が豊富な私たちにぜひお問い合わせください。
まとめ
入庫と出庫を自動化してくれる自動倉庫は、現場に適した機種を選定して計画的に導入すれば、人手不足解消に向けた切り札になりえます。なかでも製造業で取り扱うパレット品は重量が重く、このハンドリングを自動化するパレット自動倉庫の導入で省力化や省人化、在庫管理精度の向上など複数の課題を一挙に解決することが可能です。
2024年から開始された「中小企業省力化投資補助金」では、ダイフクのパレット自動倉庫「コンパクトシステム(CS-SD-100PL)」が導入支援を目的とした補助金の対象になっています。補助金の申請は登録を受けた販売事業者と共同で行う必要があり、この要件を満たした私たちと共に、現場の課題を解決しませんか。