工作機械の省エネ対策 今すぐ始める電気代削減と補助金活用の具体策

工作機械の省エネ対策 | 今すぐ始める電気代削減と補助金活用の具体策

燃料費高騰や気候変動、グリーントランスフォーメーション(GX)への対応が喫緊の課題となる中、製造業において、工場で消費電力を抑えるための対策は不可欠です。
特に、工場の電力消費の大部分を占める工作機械の省エネ化は、コスト削減と環境対応を両立させる上で、重要なテーマとなっています。

本記事では、工作機械の省エネ対策として、工作機械の電気代を抑えるために、現場でできる手軽な対策から、補助金を使って初期投資をおさえる方法をご紹介します。

この記事の目次[非表示]

  1. なぜ今、工作機械の省エネが求められているのか
  2. 現場でできる!工作機械の省エネ対策 5選
    1. 1. 待機電力のカット
    2. 2. 加工条件の見直し
    3. 3. 周辺機器の高効率化
    4. 4. 定期メンテナンスによるエネルギー損失の防止
    5. 5. 省エネモードや教育による全社的意識改革
  3. 省エネ工作機械の選定ポイントと最新技術動向
    1. カタログで注目すべき「消費電力」や「待機電力」
    2. 周辺機器・制御機能まで含めた総合評価
    3. 業界展示会から見る注目の省エネ技術
  4. 導入前に考えたい!コストダウンにつながる設備投資の考え方
    1. ライフサイクルコスト(LCC)で考える省エネ投資
    2. 設備更新による電気代削減と投資回収シミュレーション
  5. 省エネ関連補助金・支援制度の活用法
    1. 主な省エネ関連補助金の種類
    2. 省エネ補助金の採択ポイント
    3. 主な省エネ関連支援制度
  6. 工作機械 省エネ よくある質問
    1. Q. 省エネ対策でどれくらい電気代が安くなりますか?
    2. Q. 周辺機器(コンプレッサーや油圧ユニット)にも省エネ効果はありますか?
    3. Q. 工作機械の「消費電力」はカタログで見られますか?
    4. Q. 工作機械の省エネ補助金、採択率は?
  7. まとめ:工作機械の省エネでコスト削減とGX対応を両立

なぜ今、工作機械の省エネが求められているのか

燃料価格の高騰や、ロシアのウクライナ侵攻、地政学的リスクの高まりといった国際情勢の変化は、エネルギーの安定供給に対する要請を高めています。
このような背景から、政府はエネルギー安定供給、経済成長、グリーントランスフォーメーション、脱炭素を同時に実現する政策を進めており 、製造業もこれに対応することが求められています。

経済産業省 資源エネルギー庁による「令和 5 年度エネルギー消費統計結果概要」を見ると、工場のエネルギー消費量のうち、製造業の消費量は全体の36.8%を占めています。
製造業のエネルギー消費量(生産一単位当たりの最終エネルギー消費量)は、1973年度に比べて2012年度には43%改善しているのですが、1980年代後半以降、改善が停滞しているため、一層の対策が求められています。

また、製造業における燃料種別エネルギー消費量は、特に電力が49.8%と最も多く次いで蒸気・熱が21.7%、石油・石炭製品が16.2%、ガスが11.7%を占めています。
資源エネルギー庁が毎年作成している「夏季の省エネメニュー(事業者向け)」「冬期の省エネメニュー(事業者向け)」によると、製造業の電力消費の内訳は、生産設備が占める割合が80%を超えて高くなっています。

燃料別エネルギー消費量と製造業の電力消費の内訳そのため製造業では、工作機械の省エネ対策が今もっとも求められているのです。

参考)

現場でできる!工作機械の省エネ対策 5選

まずは、設備投資を伴わずにすぐに始められる、製造現場での省エネ対策を紹介します。

1. 待機電力のカット

工作機械は稼働していないときでも、制御装置や油圧ポンプを動かすための待機電力を消費します。
長時間使用しない場合は、こまめに電源をオフにすることで、無駄な電力消費を抑えることができます。

2. 加工条件の見直し

加工条件を最適化することで、工作機械の負荷を減らし、消費電力を抑えることが可能です。

切削条件の最適化

適切な切削速度や送り速度を選定し、加工時間を短縮することで、電力使用量を削減できます。

2025年5月に開催されたMEX金沢でも、省エネ化に向けた工作機械が多く出展されていましたが、そこでお聞きした高松機械工業さんのお話が印象的です

省エネにも注力しておりローダーの機外速度を自動で最適化するシステムを搭載し「シャッターが開いてからワークを脱着し機外へ抜けるまでは加工のタクトタイムに関わりますが、それ以外の移動速度は最速でなくてもいいですよね。これまではすべてビュンビュン動かしていましたが、そこを抑制することで省エネに貢献します」と語ります。

引用元:【MEX金沢2025】人手不足解決に挑む!進化する自動化と工程集約技術

新しい設備や新機能への投資が必要な場合もありますが、既存設備で加工条件を設定・最適化することでも省エネにつながります。

クーラントの適正使用

必要な時だけクーラントを供給するように設定を見直すことで、ポンプの稼働時間を短くし、消費電力を減らします。

3. 周辺機器の高効率化

工作機械だけでなく、周辺機器も多くの電力を消費しています。

コンプレッサー

設定圧力を見直したり、エア漏れがないか定期的にチェックすることで、無駄なエネルギー消費を防ぎます。

油圧ユニット

必要時だけ作動するオンデマンド型に切り替えることで、電力消費を大幅に抑えることができます。

他にも照明のLED化など、従来の蛍光灯や白熱灯をLED照明に交換することで、消費電力を60〜80%も削減できると言われています。生産設備ではありませんが、空調や照明など一般設備についても、工場の省エネにおいては費用対効果が高い対策です。

一般設備の省エネについては、「工場の省エネアイデア5選」でまとめています。

4. 定期メンテナンスによるエネルギー損失の防止

工作機械の動作効率が低下すると、余計な電力が消費されてしまいます。定期的なメンテナンスで工作機械本来の性能を維持しましょう。

ベアリングの潤滑

潤滑が不十分だと摩擦抵抗が増加し、モーターの消費電力が上昇します。

フィルター清掃

フィルターの目詰まりは、機械の負荷を高める原因となります。定期的な清掃でエネルギー効率を維持しましょう。

5. 省エネモードや教育による全社的意識改革

最新の工作機械には、一定時間操作がないと自動で電力を抑制する「省エネモード」が搭載されている機械が増えています。
これらの省エネ機能を積極的に活用するよう、従業員への教育と啓蒙活動を徹底することで、工場全体の省エネ意識を高めることができます。

省エネ工作機械の選定ポイントと最新技術動向

現場での改善に加え、設備の高効率化も重要です。ここでは、省エネ性能の高い工作機械を選定する際のポイントと、最新の技術動向について解説します。

カタログで注目すべき「消費電力」や「待機電力」

工作機械のカタログには、稼働時の消費電力や待機電力のデータが記載されています。
これらの数値を比較検討し、よりエネルギー効率の高い機械を選びましょう。

また、エネルギー消費を「見える化」するシステムを導入することで、具体的な削減目標を設定しやすくなります。

周辺機器・制御機能まで含めた総合評価

インバータ制御による回転数制御装置や、電源回生システムなど、高度な省エネ機能を備えた工作機械は、長期的に大きなコスト削減効果をもたらします。

また工作機械単体だけでなく、周辺機器の効率化も重要です。

省エネ法における特定事業者は、エネルギー消費効率を中長期的に年平均1%以上低減するという目標を達成する努力が求められています。さらに特定事業者は、設備更新を含む中長期的な(3~5年程度)計画を毎年作成し、提出する必要があります。

資源エネルギー庁のまとめによると、平成26年度に提出された中長期計画書における省エネ計画では、以下の項目が上位に挙げられています。

  1. 高効率照明器具
  2. 高効率機器採用、高効率機器へ改造
  3. 高効率機器
  4. 適正化(温度、圧力、空気比、流量、湿度等)
  5. 操業スケジュール・運用形態の見直し(生産縮小含む)

工作機械だけでなく工場全体の省エネ対策として、設備投資による効率改善から、運用方法の見直し、さらには組織的な取り組みまで、多岐にわたる省エネ対策が中長期計画書に盛り込まれています。

業界展示会から見る注目の省エネ技術

近年、業界展示会では、AIを活用した生産最適化や、加工と非加工時の電力消費を自動で制御する機能など、高度な省エネ技術が注目を集めています。
これらの技術は、生産性を落とさずにエネルギー消費を抑えることができるため、今後の主流になっていきます。

展示会やセミナーなどで、省エネ対策に力を入れている工作機械の最新動向を実際に見て把握しておきましょう。

導入前に考えたい!コストダウンにつながる設備投資の考え方

工作機械の省エネ設備への投資は初期費用がかかりますが、長期的な視点で見れば、経営にプラスの影響を与えます。

ライフサイクルコスト(LCC)で考える省エネ投資

工作機械の購入費用だけでなく、運用中の設備の電気代、メンテナンス費用、廃棄費用などを含めたライフサイクルコスト(LCC)で評価することが重要です。
古い機械を使い続けることによる非効率な運転コストが、最新の省エネ機器の導入費用を上回ることも珍しくありません。

これは、古い冷蔵庫やエアコンを使い続けるよりも、初期費用がかかっても最新の省エネモデルに買い替えた方が、長期的に見て電気代の節約につながるという、家庭の家電製品と同じ考え方です。

設備更新による電気代削減と投資回収シミュレーション

省エネ型の工作機械に更新することで、電気代をどれだけ削減できるか、投資回収にどのくらいの期間がかかるか、事前にシミュレーションを行いましょう。

経済産業省では中小企業に対し、設備ごとの無駄や即効性のある省エネアドバイスを提供しています。2023年度補正予算では、エネルギー価格高騰の影響を受ける中小企業等への診断も実施されました。
このような機会を利用するのもひとつの方法です。

参考)
省エネ最適化診断とは?|省エネ・節電ポータルサイト
https://www.shindan-net.jp/service/shindan/about.html

省エネ関連補助金・支援制度の活用法

上に記載した「省エネ最適化診断」だけでなく、ほかにも事業者の省エネ対策を後押しするため、さまざまな補助金や支援制度があります。
これらの補助金・支援制度を活用することで、初期投資の負担を大幅に軽減できます。

主な省エネ関連補助金の種類

省エネルギー投資促進支援事業費補助金

省エネルギー投資促進支援事業費補助金は、省エネ性能の高い設備への更新を支援する制度です。一般的に「省エネ補助金」と言われている補助金です。

「ユーティリティ設備」と「生産設備」の2つのカテゴリーがあり、空調やコンプレッサーといったユーティリティ設備にも活用できます。

工作機械などの生産設備も省エネ補助金の対象です。
特に製造業では、マシニングセンタや旋盤など、工作機械の更新に活用するケースが多く見られます。

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金

省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金も「省エネ補助金」のひとつです。

上に記載した「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」は設備更新単位で使え、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」は、工場全体で電化・脱炭素目的の燃転を伴う設備更新で省エネを行う場合に利用できます。

資源エネルギー庁が指定する先進設備・システムの導入、オーダーメイド型設備の導入、SII(環境共創イニシアチブ)の基準を満たした設備の導入だけでなく、より効果的にエネルギー需要の最適化を図るEMS(エネルギーマネジメントシステム)機器の導入も対象です。

もちろん工作機械などの生産設備も対象です。

\ 【最新版】省エネ補助金も含めた補助金一覧ガイドがダウンロードできます /

省エネ補助金の採択ポイント

省エネ補助金の採択を受けるためには、以下の点を明確にすることが重要ですが、とくに具体的な省エネ率の計算方法が採択の鍵となります。

具体的な削減目標

導入する設備が、エネルギー消費量やCO2排出量をどれだけ削減できるか、具体的な数値を提示しましょう。

費用対効果

投資額と削減効果のバランスを考慮し、事業の経済的・環境的なメリットをアピールします。

計画の具体性

導入する工作機械・設備や技術が、どのように省エネに貢献するのか、その計画を具体的に記述します。

主な省エネ関連支援制度

脱炭素社会実現に向けた省エネルギー技術の研究開発・社会実装促進プログラム

2040年に大きな省エネ効果が見込まれる技術の研究開発を支援する制度です。

たとえば2020年度の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム 緊急追加公募」では、「NC平面研削盤における研削加工の自動化技術の開発」というテーマが、NEDO省エネルギー技術開発賞の優良事業者表彰のひとつとして選ばれています。

参考)
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
(戦略的省エネルギー技術革新プログラム2020年度緊急追加公募)
テーマ:
NC平面研削盤における研削加工の自動化技術の開発
助成事業者: 株式会社メトロール 共同研究・委託先:株式会社岡本工作機械製作所
https://www.nedo.go.jp/content/100971704.pdf

中小企業等エネルギー利用最適化推進事業費

前に紹介しました中小企業向けの省エネ診断や、地域ごとの「省エネお助け隊」によるきめ細かな支援を行っています。
省エネお助け隊とは、登録した専門家から、省エネ診断や補助金活用のアドバイスを受けられる制度です。

私たち山善は、一般社団法人カーボンマネジメントイニシアティブとともに、設備単位だけでなく工場・事業場単位での省エネ診断・現地調査や測定・具体的提案・補助金申請代行も行っています。

「今まで自分たちで考えられる省エネ対策はやってきたけど、そろそろ頭打ちになってきた。もっと最適化できるところはないのか?」

このようなお悩みがありましたらぜひ私たちにご相談ください。
貴社の環境や状況を調査し理解したうえで、省エネに向けたアドバイスや具体的な設備更新提案などを行いながら、貴社とともに考えていきます。

工作機械 省エネ よくある質問

Q. 省エネ対策でどれくらい電気代が安くなりますか?

省エネ対策の内容や規模によって変わります。
工作機械の省エネに特化した電気代の削減事例をご紹介します。

一般財団法人省エネルギーセンターが運営する「省エネ・節電ポータルサイト」では、省エネ診断の事例も掲載されています。
たとえば、光通信用機器・部品の製造会社では、以下のような試算がされています。

射出成型機のヒーター部の保温対策や冷却水ポンプのインバータ化などの生産設備の更新、照明の更新といった高効率設備への投資を行い、さらにコンプレッサの電力消費量削減などの運用改善により、3,411千円/年間で削減でき、12.4%の省エネ効果が得られる、と試算しています。

参考)
電気・電子機器(情報通信機械器具(光通信用機器・部品))|省エネ診断事例|省エネ・節電ポータルサイト
https://www.shindan-net.jp/case/426_F134019.html

また、2024年度省エネ大賞の「省エネルギーセンター会長賞」を受賞したリョービ社は以下の対応を行い、3.46%の使用電力量を削減したそうです。

同社静岡工場において部門横断的に組織されたCFT(Cross Functional Team)で取り組みを行った。電力使用量の見える化による削減活動の土台作りを推進し、モデル機による電力量削減に取り組み、2021年 実績比で3.46%の使用電力量を削減した。

引用元)https://www.eccj.or.jp/bigaward/winner24/pdf/e-all24.pdf

Q. 周辺機器(コンプレッサーや油圧ユニット)にも省エネ効果はありますか?

はい、あります。
工場の電力消費の多くを占めるコンプレッサーや油圧ユニットを高効率なものに更新したり、運転方法・運用を見直すことは、大きな省エネ効果を生み出します。

Q. 工作機械の「消費電力」はカタログで見られますか?

多くのメーカーのカタログに、機械の消費電力や待機電力のデータが記載されています。これを参考に、機種ごとの効率を比較することができます。

私たちは機械商社ですので、多くのメーカーさんとおつきあいがあり、さまざまなカタログを保有しています。
カタログがご入用でしたら、
「カタログ請求」より必要な設備をリクエストいただければすぐにご案内いたします。

Q. 工作機械の省エネ補助金、採択率は?

工作機械の採択率は、令和6年度補正予算 省エネ補助金の1次公募では68.8%、2次公募では83.7%でした。

令和5年度に比べると工作機械の採択率は高くなっています。

参考)
SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|事業トップ(令和6年度補正予算 省エネルギー投資促進支援事業)
https://sii.or.jp/setsubi06r/

まとめ:工作機械の省エネでコスト削減とGX対応を両立

工作機械の省エネ対策は、電気代の高騰に直面する製造業にとって、コスト削減とGX対応の両方を実現するための重要な戦略です。

手軽に始められる現場での改善から、最新設備の導入、そして政府の補助金制度の活用まで、多角的なアプローチで取り組むことが成功の鍵となります。

省エネ対策の次の打ち手に悩まれているようでしたら、ぜひ私たちにご相談ください。これまでご相談いただいたお客様から、「新しい発見があった」とご評価いただいています。

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