フライス盤とマシニングセンタの違いをわかりやすく解説【初心者向け】

フライス盤とマシニングセンタの違いをわかりやすく解説【初心者向け】

「フライス盤か、それともマシニングセンタか…」。
製造現場の設備投資を担当されている方なら、一度は頭を悩ませることでしょう。しかし、それぞれの違いを深く理解すれば、自社の課題を解決する最適な答えが見えてきます。

フライス盤とマシニングセンタは、どちらも「素材を削る役割をもつ」切削加工に使われる代表的な工作機械です。

この記事では、フライス盤とマシニングセンタの基本的な違い・得意な加工・導入時の選び方をわかりやすく解説します。初めて設備選定を担当する方でも、『自社にどちらが適しているか』を判断できるようにまとめました。

この記事の目次[非表示]

  1. フライス盤とマシニングセンタの基本を知る
    1. フライス盤とは?基礎知識と代表的な種類
    2. マシニングセンタとは?基礎知識と代表的な種類
  2. フライス盤とマシニングセンタの決定的な違いを比較表で徹底解説
  3. フライス盤を選ぶべき? マシニングセンタを選ぶべき?目的別選定ガイド
    1. フライス盤が適しているケース、できる加工
    2. マシニングセンタが適しているケース、できる加工
  4. フライス盤とマシニングセンタの違い よくある質問
    1. Q. フライス盤とマシニングセンタの最大の違いは何ですか?
    2. Q. マシニングセンタの有名メーカーは?
    3. Q. フライス盤の有名メーカーは?
    4. Q. マシニングセンタの導入で人件費は削減できますか?
    5. Q. 補助金制度の活用など、導入コストを抑える方法はありますか?
  5. 自社に最適なフライス盤 or マシニングセンタ選びで生産性向上を実現するために

フライス盤とマシニングセンタの基本を知る

フライス盤とマシニングセンタがどのようなものか、基本的な知識から見ていきましょう。

フライス盤とは?基礎知識と代表的な種類

フライス盤は、「フライス」と呼ばれる回転する切削工具(フライスカッター)を用いて、テーブルに固定したワーク(加工物)を動かし、平面や溝、曲面などを削り出す工作機械です。

フライス盤は主軸の向きや加工方法で種類が分かれますが、手動で操作を行う「汎用フライス盤」と、数値制御(NC:Numerical Control)で自動化された「NCフライス盤」に分類されます。

フライス盤については、「フライス盤とは?旋盤との違いや種類を初心者向けにわかりやすく解説」記事で詳しく説明しています。

マシニングセンタとは?基礎知識と代表的な種類

マシニングセンタは、自動工具交換機能(ATC)とNC(数値制御)機能を備えた、高機能な工作機械です。つまりマシニングセンタは、「NCフライス盤」をベースにATCを備えた工作機械、ともいえます。

マシニングセンタは、ATCにより自動で工具交換ができるため、NCフライス盤と比較すると、工具交換のための作業時間が短縮でき連続した加工が可能です。

また一度の段取りで「削る(切削加工)」「穴を開ける(穴あけ加工)」「四角い穴を開ける(抜き加工)」など、複数の加工を自動で行えます。コンピュータ制御により、複雑な形状も高い精度で加工できるため、マシニングセンタは製造業において欠かせない存在となっています。

マシニングセンタも主軸の向きによって「立形」「横形」のほか、「門型」や「5軸」「3軸」など多様な種類があります。

マシニングセンタについては、「マシニングセンタとは?簡単に解説|基礎知識とできること・できないこと」記事で詳しく説明しています。

フライス盤とマシニングセンタの決定的な違いを比較表で徹底解説

フライス盤とマシニングセンタの違いを示す図解。汎用フライス盤・NCフライス盤・マシニングセンタの関係を説明フライス盤とマシニングセンタの最も大きな違いは、「自動工具交換機能(ATC)」と「NC(数値制御)」です。

汎用フライス盤はオペレーターが付きっきりで作業する必要がありますが、NCフライス盤とマシニングセンタは、プログラムを一度組めば自動で加工が進みます。そのため人的コストの削減が見込めます。

フライス盤は切削加工がメインですが、マシニングセンタは1台で複数の工程をこなせます。「自動工具交換機能(ATC)」も付属しているため、マシニングセンタはフライス盤と比べて生産効率が格段にアップします。

両者の違いを直感的に理解するには、下の比較表を見るのが分かりやすいです。

特に「導入コスト」「自動化レベル(NC)(ATC)」「得意な加工」の3点を押さえておけば、自社にどちらが適しているか判断しやすくなります。

汎用フライス盤

NCフライス盤

マシニングセンタ

自動工具交換機能(ATC)

なし

なし

あり

コンピューター制御(NC)

なし(手動が基本)

あり

あり

加工の種類

平面・溝など比較的単純形状が得意
複雑形状も可能だが技能に依存

複雑形状も安定して加工可能
ただし工程ごとに段取りや工具交換が必要

切削、穴あけ、抜き加工、複合加工など多岐にわたる
複雑形状や多工程加工を高効率・高精度で連続処理できる

オペレーター

常時監視、手動操作が必要

加工プログラムで自動運転可能だが、工具交換は人手

自動運転主体でオペレータの負担が少ない

得意な加工・用途

少量生産、単純加工、初期投資を抑えたい場合

複雑形状の少量多品種加工。精度と再現性を重視

複雑形状・量産・高効率加工。人件費削減や生産性向上

導入コスト

比較的安価

汎用フライス盤より高価

非常に高価

フライス盤を選ぶべき? マシニングセンタを選ぶべき?目的別選定ガイド

どちらの機械を導入すべきかは、加工内容や予算によって変わります。

もし単純な加工が多く、初期投資を抑えてまず一台導入したいのであればフライス盤がおすすめです。
一方で、工程数が多く人手不足を補いたい場合には、マシニングセンタの方が適しています。

例えば自動車部品メーカーではマシニングセンタでの多工程処理が主流ですが、試作や治具製作ではフライス盤の方が効率的な場合もあります。

フライス盤が適しているケース、できる加工

少量多品種生産

1つの製品を少しずつ生産する場合、段取り替えの手間が少ないフライス盤が適しています。

シンプルな形状の加工

平面削りや溝加工など、単純な加工がメインであれば、高価なマシニングセンタは必要ありません。

導入コストを抑えたい

初期投資を抑えたい場合、安価なフライス盤から導入するのがおすすめです。

マシニングセンタが適しているケース、できる加工

複雑な形状の加工

複雑な曲面や、複数の加工工程が必要な製品を製造する場合、マシニングセンタの自動加工能力が力を発揮します。

量産加工

同じ製品を大量に生産する場合、マシニングセンタによる自動化は、生産効率を高め、相対的にコスト削減につながります。

人的コストを削減したい

オペレーターがマシニングセンタで加工中に他の作業が可能です。人件費の削減や生産性の向上を図りたい場合に最適です。

フライス盤とマシニングセンタの違い よくある質問

私たちは多くの製造業のお客様とお話ししますが、お客様からよく聞かれる「フライス盤とマシニングセンタについて」の質問をまとめました。

Q. フライス盤とマシニングセンタの最大の違いは何ですか?

自動工具交換機能(ATC)とNC(数値制御)の違いです。

NCフライス盤では数値制御によりプログラムを行うことができます。

また、マシニングセンタはNC(数値制御)はもちろんのこと、自動工具交換機能(ATC)もあります。そのためマシニングセンタでは、複数の工具を使い分け、さまざまな加工を自動で行うことができます。

Q. マシニングセンタの有名メーカーは?

DMG森精機、ニデックOKK、牧野フライス製作所ヤマザキマザックオークマ松浦機械製作所などがあります。

Q. フライス盤の有名メーカーは?

山崎技研、静岡鐵工所などがあります。

Q. マシニングセンタの導入で人件費は削減できますか?

はい、可能です。
プログラムによる自動加工により、オペレーターは常時付きっきりになる必要がなくなり、他の作業に時間を有効活用できます。

Q. 補助金制度の活用など、導入コストを抑える方法はありますか?

はい、利用できる補助金制度や助成金があります。
ものづくり補助金や中小企業省力化投資補助金、中小企業新事業進出補助金などがあります。
これらの補助金制度を活用することで、初期投資の負担を軽減できます。

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自社に最適なフライス盤 or マシニングセンタ選びで生産性向上を実現するために

フライス盤とマシニングセンタは、どちらも製造業の現場に欠かせない切削加工の機械ですが、それぞれ得意な加工や適した用途が異なります。

フライス盤は、シンプルな加工や少量生産、初期コストを抑えたい場合に適しています。
一方でマシニングセンタは、複雑な加工や量産、人的コストを削減し生産性を向上させたい場合に適しています。

つまり、フライス盤は「シンプルで低コストな切削加工」、マシニングセンタは「自動化と多工程対応」が強みです。

自社の課題や目的に合わせて最適な機械を選定することが、生産性向上への第一歩となります。
私たち山善は機械商社としてさまざまなメーカーさんとお付き合いがあります。貴社の環境に合わせ、課題解決につながる最適な機械のご相談はおまかせ
ください。

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