
JIMTOF2026の見どころ|いま現場が見るべき6つのテーマとブースで聞く7つのこと
JIMTOF2026(第33回日本国際工作機械見本市)が、2026年10月26日から31日まで東京ビッグサイトで開かれます。
設備投資を考えてJIMTOFへ行くなら、展示機を見て回るだけではもったいないです。会場は広く出展社も多いので、目的を決めずに歩くと疲れてしまいます。候補となる設備を比べ、自社の工程や生産条件に合うかまで確かめて持ち帰りたいところです。
この記事では、いま現場が見るべき6つのテーマと、「これだ」と思ったブースで聞く7つのことをまとめました。会期や会場などの開催概要は、記事後半に記載しています。
この記事の目次[非表示]
いま現場が見るべき6つのテーマ
JIMTOF2026で注目したいのは、ヒューマノイド、自動化、工作機械のAI、予知保全、工程集約、そして回復する設備投資需要の6つです。それぞれ「なぜ今なのか」と「会場で何を見るか」の順に見ていきます。

テーマ1|ヒューマノイドを「作る」のは工作機械
人型ロボット(ヒューマノイド)は、ここ数年で一気に注目が集まった分野です。実用化と量産に向けて、部品をつくる側の技術が問われ始めています。
JIMTOF2026では、主催者企画展示①「“あらゆる現場で働くロボットの未来図” 日の丸ロボティクスの進化を支える工作機械」が東展示棟のガレリアで開かれます。人型ロボット「Kaleido」を製作する川崎重工業の協力を得て、ヒューマノイドの量産化・低コスト化の壁を工作機械技術がどう破るかに焦点を当てる企画です。
ロボットそのものはもちろん見どころですが、それだけではありません。ヒューマノイドロボットの部品の高精度化と量産化という要求に対して、工作機械側がどの加工、どの工程集約、どの自動化で応えようとしているのかも見ておきたいところです。自社がヒューマノイドを作っていなくても、要求される精度が上がったときに何が起きるかを先に見ておけます。
また、ロボットという観点では、南展示棟4階で企画展示②「“ものづくりNEXT STAGE”きさげロボットと匠との協業」も開かれ、匠によるきさげ体験教室が予定されています。
きさげについては以下の記事で解説しています。
きさげ|仕上げ・加工で工作機械の精度と寿命を伸ばす5つのメリット
テーマ2|自動化は「やるか」から「どう入れるか」へ
人手不足への対策として、自動化・省人化が必要なことは多くの現場ですでに認識されています。課題は「やるかどうか」から「どう入れるか」に移り変わってきています。JIMTOF2026では、自社の現場にどう入れるかを確かめられます。
会場で自動化のデモを見るときは、見るポイントを一つ決めておくと各社を比べやすくなります。多品種少量の現場なら、同じワークを流し続けているだけか、ワークが変わるときの段取り替えまで見せているかを確かめてください。
考え方の背景や技術的な内容を知りたいなら、併催のIMEC2026(第21回国際工作機械技術者会議)です。テクニカルセッション1「AIと自動化技術が創る加工現場の未来」では、ヤマザキマザックが「工作機械業界における産業用ロボットを活用した自動化システムの在り方」を講演します。講演では、ロボットの経験がなくても操作できる「プログラミングレス・ティーチングレス」のHMI(操作インターフェース)の設計思想も扱われます。ロボットを入れるかどうかではなく、現場にどう組み込むかという話です。
なお、IMECのオーラルセッションは有料です(一般は1日30,000円)。一方、ポスターセッションは10月26日から31日に南4ホールで開かれ、JIMTOF来場者に広く公開されています。以下で挙げるIMECの講演テーマは、いずれも仮題として公表されているものです。
自動化の進め方や段取り短縮の実例について以下の記事で扱っています。
工場の省人化で人手不足解消!メリット・具体例・補助金など徹底解説
多品種少量×山崎技研フライス盤事例|「1日10分」段取り短縮【株式会社三洋様】
テーマ3|AIは加工工程ごとの実装へ
工作機械関連のAIは、「AIで何ができるか」という一般論から、自分の機械や工程にどう入るのかという具体的な話に移りつつあります。
ブースでAIの提案を見るときは、一つだけ確かめてください。何かを検知して人に知らせるだけなのか、機械の停止や加工条件の変更まで自動で行うのかです。ここが違うと、現場での使われ方も、必要な人の手当ても変わります。
IMEC2026のテクニカルセッション1にも、オークマの「加工診断AIによる自律型工作機械の実現-穴あけ加工における異常検知-」、ナガセインテグレックスの「生成AIを用いた研削中の砥石表面の画像取得およびAI解析」が並びます。穴あけ、研削と、具体的な工程に落ちたAIが論点になっています。
検査工程のAIについては以下の記事で解説しています。
AI画像検査装置とは?ものづくり現場での活用ヒント
AI外観検査とは?導入を考える前に知るべきポイント
テーマ4|センシング・予知保全で「止まらない工場」へ
派手さはありませんが、状態監視は今回の主要なテーマの一つです。出展社のニュースリリースには、米沢工機(東3/E3008)の「『止まらない工場づくり』を支える自動化・保全ソリューションを提案」が出ています。
ここで確かめたいのは、集めたデータをどこまで使うのかです。異常の兆候を見せるところまでなのか、部品の交換時期の判断まで踏み込むのか。 そして、既設の機械にも後から付けられるのかどうか。この2つで、導入後の運用が変わります。
IMEC2026のテクニカルセッション2も「今と未来を見通すセンシング技術」がテーマで、山本金属製作所やベッコフオートメーションが加工のモニタリングについて講演します。
保全の考え方や点検記録の運用について以下の記事で扱っています。
予防保全と予知保全は何が違う?それぞれの概要を紹介
設備保全のスマート化|製造業におけるエクセル管理からの脱却
テーマ5|工程集約・複合加工・5軸で1台に寄せる
テーマ2で触れた段取り替えの話と、裏表の関係にあるのがこのテーマです。段取りを減らす有力な方法の一つが、5軸加工機や複合加工機による工程集約です。
ただし、工程集約が唯一の答えではありません。ワークの形状や生産量によっては、外段取り化や治具の見直し、ワークの供給の仕組みを整えるほうが、投資に対する効果が大きいこともあります。
ワークの供給や測定まで含めて工程をつなぐ例として、山善のブース(南1・2ホール/S1056)では、コンパクトマシニングセンタ、協働ロボット、現場設置型三次元測定機を組み合わせた自動化セルを実機で展示します。加工からワークの搬送、測定までを省スペースで一貫して行うデモで、1台に工程を寄せる方法と見比べることができます。
会場で複合加工機や5軸機の実演を見るときは、「1台で完結するかどうか」ではなく、工程間の持ち替えと再クランプをどこまで減らせるかという目で見ると、自社の工程に当てはめやすくなります。
5軸機の投資判断や軸構成の基本については以下の記事をご覧ください。
【徹底解説】5軸加工機は本当に儲かるのか?現場の課題と投資対効果を分析!
【初心者向け】マシニングセンタの軸構成を完全解説!3軸・4軸・5軸の違いと選び方
テーマ6|受注は回復基調、展示機は「見る」から「選ぶ」へ
工作機械の受注は回復しています。日本工作機械工業会の2026年7月分受注確報では、受注総額が前年同月比150.4%、2026年1月から7月までの累計でも前年同期比137.8%となりました。国内向けの内需も、累計で前年同期比126.5%です。
買う側の関心が戻っている局面です。だからこそ会場では、展示機を眺めるだけで終わらせず、納期、どこまでが標準仕様か、自動化のオプションには何があるかまで並べて比べたいところです。ここから先は、次の章の7つの質問に続きます。
市況の動きや資材価格の状況について以下の記事で扱っています。
【11月度 業界トピック】工作機械受注額の実態と市場展望
工作機械を止めないために 切削油・油圧作動油の「値上げ第2波」と過去最高の受注市場【2026年夏】
受注動向をまとめた工作機械受注動向レポートもご用意しています。
「これだ」と思ったブースで聞く7つのこと
気になる機械を見つけたら、①自社ワークとの近さ、②サイクルタイムの条件、③標準とオプションの範囲、④プログラムの作成、⑤既存設備との接続、⑥納期、⑦立ち上げと保守の7点を確認します。

それぞれを聞く理由は、次の表のとおりです。
聞くこと | なぜ聞くのか | ひと言で聞くなら |
|---|---|---|
①実演しているワークは、自社のものと近いか | 近いかどうかは材質、サイズ、要求精度、ロットで見ます。展示用に整えられたワークで出した数字は、そのままでは自社に当てはまりません。 | 「このワーク、材質と要求精度はどれくらいですか」 |
②そのサイクルタイムはいつの値か | 暖機後の値か、何個目の測定値か、段取り時間を含むか。時間の範囲と、その数字を出したときの条件の両方を確かめます。 | 「その時間、ワークの着脱まで入っていますか」 |
③自動化はどこまでが標準で、どこからが別売か | 搬送、工具交換、ワークの供給が、見積の段階で膨らみやすい部分です。 | 「これは標準ですか、オプションですか」 |
④プログラムやティーチングは誰が作るのか | 自社で作れるのか、毎回メーカーを呼ぶことになるのかで、稼働後の手間が決まります。 | 「これ、うちの担当者でも組めますか」 |
⑤いまの制御装置、CAM、後工程とつながるか | 既存の資産が使えるかどうかで、投資額が変わります。 | 「いま使っているCAMで、この機械・制御装置用のポストプロセッサは用意できますか」 |
⑥納期はどれくらいか | 受注残の状況によって変わります。工作機械は納期が長くなりがちで、補助金の事業期間とぶつかります。 | 「いま発注したら、いつ入りますか」 |
⑦立ち上げと保守は誰が来るのか | 自社の地域に対応拠点があるかどうかで、トラブル時の対応の早さが違います。 | 「据付と保守は、どちらの拠点から来られますか」 |
いずれも、身構えて聞くほどの質問ではありません。実演の合間に一言たずねるだけで、持ち帰れる情報が変わります。
③については、松浦機械製作所様への取材で「APCはオプション対応が一般的となりますが、マツウラはすべての5軸加工機で標準オプション化されております」という話が出ています。どこまでが標準かはメーカーによって違う、ということです。同じ取材では④についても、CAMによる5軸プログラム作成の難しさに触れたうえで、CAD/CAMを扱う専門の部署がサポートすると説明されています。
②については、株式会社三洋様への取材の「機械で削る時間は同じですから、前段取りの時間をいかに短くできるかが重要」という言葉が参考になります。カタログのサイクルタイムだけでは、現場で流れる時間は決まりません。
「うちの工場に入りますか」と聞いて、確認項目リストをもらう
電源容量、床荷重、搬入経路、天井高など、「何を測ればいいか」のリストを確認します。その場で答えられなくてかまいません。測るのは会社に戻ってからで十分です。
補助金を使うなら、見積書の要件と型式が決まるタイミングを聞く
補助金には、交付決定の前に発注すると対象外になる制度があります。見積書に何が必要かは利用する制度の公募要領で確認し、会場では型式がいつ確定するのかを聞いておく。この順で押さえると、申請の日程が詰まりません。
制度の全体像を先に押さえておきたい方は、資料のはやわかり補助金支援制度一覧をご覧ください。設備投資の税制については【2025年版】設備投資の税制優遇まとめ|即時償却・税額控除の選び方で解説しています。
JIMTOF2026の開催概要(会期・会場・今回の注意点)
項目 | 内容 |
|---|---|
会期 | 2026年10月26日(月)〜10月31日(土)の6日間 |
開場時間 | 10:00〜17:00(最終日は16:00まで) |
会場 | 東京ビッグサイト(東※・西・南展示棟)※東4〜6ホールを除く |
主催 | 一般社団法人 日本工作機械工業会、株式会社 東京ビッグサイト |
入場 | 完全登録制。当日3,000円/前売1,000円(税込)、学生は無料 |
併催 | IMEC2026(第21回国際工作機械技術者会議)10月28日(水)・29日(木) |
前回と大きく違うのは会場構成です。大規模改修工事の影響で、今回は東4〜6ホールが休館となります。前回と同じ感覚で回り方を組むと、目当ての機械が思ったところにない、ということが起こります。
山善も出展します。ブースは南1・2ホールの小間番号S1056です。自動化セルの実機デモのほか、ガラスやセラミックス、SiCなどの脆性材加工向けに高性能濾過フィルターや超音波ホルダを紹介する「脆性材加工コーナー」、設備管理や図面管理など製造現場のデジタル化を支援する「ゲンバト」も展示します。
展示会そのものや今回の技術トレンドの背景については以下の記事をご覧ください。
JIMTOFとは?世界4大工作機械見本市JIMTOF2024を振り返る
EMO Hannover 2025レポートから考える|技術トレンドとJIMTOF2026の注目点
まとめ|持ち帰るのはカタログではなく、仕様確認シートとテストカットの約束
6つのテーマは、会場で何を見るかの地図です。7つの質問は、良さそうな機械を見つけたあとの道具としてお役立てください。
カタログは後からでも取り寄せられます。会場でしか手に入らないのは、自社のワークを前提に話をした記録と、その場でしか聞けない条件です。さきほどの7つを聞いて埋めた記録が、そのまま仕様確認シートになります。
機械がいくつかに絞れてきたら、自社のワークでテストカットをお願いできるかまで話を進めておくと、帰ってからの検討が具体的になります。持ち帰りたいのは、カタログではなく、仕様確認シートとテストカットの約束です。
山善では「この機械、うちに入るだろうか」という段階からご相談いただけます。会場で気になる機械が見つかったら、設備の選定から見積の読み方、補助金の使い方まで、お気軽にお問い合わせください。会期中は山善のブース(S1056)にもぜひお立ち寄りください。
JIMTOF2026の関連情報は特集ページでも順次お届けしています。

